ホンダ フィットホンダは、人気コンパクトカーのフィットを6月下旬にマイナーチェンジすると発表。同時に、マイナーチェンジ後のモデルを自社サイト内で先行公開した。

歩行者検知式自動ブレーキ「ホンダセンシング」を用意! 安全性能を大幅にアップしたマイナーチェンジ!


フィットのマイナーチェンジ情報は、先行公開ということで内容は限られるが、まず歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「ホンダセンシング」が用意される。フィットが属するクラスのコンパクトカーで、歩行者検知式の自動ブレーキがほぼ標準装備化されているのは、日産ノートだけ。その他のアクアやヴィッツ、デミオなどは歩行者が検知できないタイプだ。

今回のホンダセンシングは、単に歩行者検知式の自動ブレーキが装備できるだけでなく、車線維持支援システム、路外逸脱抑制機能、誤発進抑制機能など計8つの先進機能で安全運転や運転支援を行う。これだけの機能が揃えば、このクラスではクラストップレベルの安全性能を手に入れたことになる。

リコール続きで顧客の信頼を失い売れなくなったフィット

ホンダ フィット現在のフィットは、2013年9月にフルモデルチェンジし3代目となっている。このモデルは、かなり気合が入ったモデルで、ホンダ独自のハイブリッドシステムであるスポーツ・ハイブリッドi-DCD(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)を搭載した。トヨタのハイブリッドシステムTHSIIに対抗して、先代モデルの簡易型ハイブリッドシステムIMAから、わずか数年で新型のハイブリッドシステムを投入してきた。さすが先進技術にこだわるホンダといえるものだった。

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デビュー当時、フィットハイブリッドの燃費は、36.4km/Lという低燃費を実現。当然、ライバルのトヨタ アクアの燃費値を超えた。しかし、急速に開発した弊害だったのか、スポーツ・ハイブリッドi-DCDの7速DCTが、デビュー直後からリコールとなる。その後、リコールが繰り返された。

結果的に、顧客の信頼を失っていき、せっかくアクアから奪った新車販売台数ナンバー1の座も長続きせず、再びアクアに奪い返された。その後、フィットはジリ貧状態が続いていく。直近の2016年度の販売台数は、98,923台。モデル末期のノート(123,938台)にも大敗してしまったのだ。

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再び販売台数ナンバー1の座を奪取できるのか?

ホンダ フィット初代、2代目とフィットは、販売店網で圧倒するトヨタを相手にコンパクトカーのトップ争いをする人気車だった。それだけに今回のマイナーチェンジは非常に重要な意味がある。今回公開されたマイナーチェンジモデルの外観は、なかなか精悍な印象がありスポーティにまとまっている。また、内装の質感もかなり向上しているようだ。しかし、こうしたマイナーチェンジ前のモデルのバージョンアップ程度では、非常に厳しい戦いになると予想できる。
というのも、ライバル車があまりに熾烈な争いの結果、かなり進化している。まず、王者トヨタは、アクアがあまりに売れすぎたことで飽きられてきていることを見越し、ヴィッツにもハイブリッド車を投入。顧客への選択肢の幅を増やした。

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ノートは、リーフと同じ駆動用モーターを搭載し、力強い走りを売りにするe-POWERを投入。これが大ヒットしている。そして、デミオは歩行者検知式自動ブレーキではなく、簡易式型の自動ブレーキを標準装備化し、後側方のクルマが接近した時に警報を行う機能や踏み間違え防止機能など全車に標準装備化し安全性能を高めている。

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こうなると、こうした強力なライバルに対しフィットはどれだけ独自性をアピールできるかが重要だ。もはや、ホンダセンシングの標準装備化くらいでは勝負にならず、燃費もクラスナンバー1を再び奪取し、燃費&安全性能でクラスナンバー1となるくらいでないと、存在感は示せないかもしれない。

マイナーチェンジ後の、ホンダ フィットはどこまで進化したのか? 注目だ。

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。