
新型FR用GA-Lプラットフォームによる劇的な走りの進化に期待
新型レクサスLCのボディサイズは、全長4,770×全幅1,920×全高1,345mm。レクサスには、すでにRCというクーペが存在するが、新型LCはRCよりひと回り大きいボディサイズをもつクーペだ。このクラスのクーペは、意外と少なくメルセデス・ベンツSクラスクーペやBMW6シリーズなどと比べると、新型LCはやや全長が短く、全幅はワイド、全高は低い傾向にある。
新型LCで注目したいポイントは、新開発されたFR(後輪駆動)用GA-Lプラットフォームだ。トヨタ車も含め、久しぶりの新型FRプラットフォームの誕生となる。このGA-Lプラットフォームは、原点に立ち返った基本性能の追求を目指しキーワードは“BACK to BASICS”とされた。
ラグジュアリークーペとはいえ、走りの質は重要。そこで、正確なステアリングフィールを実現するため、フロントミッドシップレイアウトが採用された。BMWと同じ考え方で、エンジンなどの重量物を車両中心近くに配置した。さらに、軽量だが高価なCFRP(カーボンファイバー)やアルミ部材を使い重心高を下げる工夫がされている。CFRP化は、ルーフやドアなど多岐に及んでいる。フロントミッドシップ&低重心化により、新型LCは慣性モーメントを低減。優れた旋回性能などを実現している。
また、強固なボディ剛性を確保するため、パネルを面で結合し、剛性の向上と振動の減衰特性を高める構造用接着剤が積極的に使用された。
今回採用されたGA-Lプラットフォームは、新型LCだけのものではなく、今後トヨタのFR車にドンドンと採用されていく。まず、次はレクサスLSが2017年秋ごろに登場予定だ。FR用の新型プラットフォームは、久しぶりのフルモデルチェンジなので、動的な運動性能が飛躍的に進化していると予想できる。
低いフード高にこだわった新開発サスペンション

また、タイヤ&ホイールは、大径の20もしくは21インチを設定。タイヤは、パンク時にも一定距離の走行が可能なランフラットタイヤが採用された。大径タイヤの性能を生かすために、当然ブレーキも相応のものとなっている。フロントには、20インチディスクローターと対向6ポッドアルミモノブロックキャリパーを装備した。また、ディスクローターのハット部は軽さと剛性にすぐれたアルミ製を採用。バネ下重量の低減と車体取付部の高剛性化を両立している。
新型LCには、より走りを重視した“S package”と呼ばれるグレードが設定されている。このグレードには、レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム(LDH)が標準装備化。この装備には、新しくトルセンLSDが組み合わされ、旋回中の加速性能を向上。また、ダイナミックリヤステアリング(DRS)の制御を進化させたアンダーステア/オーバーステア制御や、VGRS、アクティブリヤスポイラーなどの先進技術を積極的に採用。ラグジュアリークーペでありながら、キレのあるハンドリング性能が楽しめるようになっている。
走りの質を高めた世界初マルチステージハイブリッドシステムを搭載!

この高出力化されたエンジンと組み合わされたのが、世界初マルチステージハイブリッドシステム。従来のハイブリッドシステムに4段ギヤを組み合わせたもので、モーター+エンジンの出力軸に変速機構を追加し、駆動力を増幅している。
従来のハイブリッドシステムは、ラバーバントフィールなどと呼ばれ、エンジンの回転が先に上がり後から加速するようなダイレクト感に欠けていたり、高回転域でのパンチの無さが不評だった。こうした部分を改善したのが、マルチステージハイブリッドシステムとなる。
追加された変速機構は4段なのだが、電気式の無段変速機が組み合わされていることから変速制御は10段となっている。10段もドライバーが自ら使い続けるのには、ちょっと難しいような気がする。
新型LCのシステム出力は359ps。0-100km/h加速タイム5秒以下という瞬足ハイブリッド車となった。燃費は、15.8㎞/L。車重が2トン越えということや、走りを重視した結果だろう。飛び抜けて良い燃費ではない。
未だアイドリングストップ機能さえ装備されない旧態依然のV8 5.0Lエンジンも存続

このエンジンンは、もはや旧型ともいえるもので、このCO2排出量減が求められる時代なのにアイドリングストップ機能さえも装備されていない。アウディR8もAMG GTといったスポーツモデルでも、率先してアイドリングストップ機能は装備している。もはや、スポーツモデルだからと言って、環境性能を無視していいい時代ではないのだ。一方で低燃費なハイブリッドを売り、その一方で今もなおアイドリングストップ機能さえも付いていないモデルを売るというマッチポンプな状況では、レクサスのブランドに傷を付けるだけだろう。こうした旧タイプのエンジンを、いつまでもだましだまし使っていることが現在のレクサスの中途半端さを感じさせる部分だ。
この旧タイプのV8 5.0Lエンジンと組み合わされたミッションは、新開発Direct Shift-10AT。アクセルやブレーキ、車両のG(重力加速度)から、ドライバーの意図を読み取り、最適なギヤを選択する新制御も採用された。変速スピードは、Dレンジで約0.2秒、Mレンジで約0.1秒というクラストップレベルの変速時間誇る。
一定水準に達したものの、世界トップレベルとは呼べない先進予防安全装備
高級車である以上、安全装備は重要だ。新型LCには、予防安全パッケージであるレクサス セーフティシステム+が全車標準装備された。歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ「プリクラッシュセーフティ」、車線逸脱による事故の予防に貢献する「レーンキーピングアシスト」(LKA)、夜間歩行者の早期発見に寄与しロー・ハイビームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」(AHB)、そして設定車速内で先行車の車速に合わせて速度を調節することで一定の車間距離を保ちながら追従走行できる「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」をパッケージ化したものだ。
その他、後側方から接近する車両に対して警告を発するブラインドスポットモニター[BSM]、後退時に後方から接近するクルマに対して警告を出すリヤクロストラフィックアラート[RCTA]なども標準装備化。こうした安全装備は、高級車としては当然と言える装備。
ただ、他の高級車は、すでに先を行っている。後突する恐れのある車両に対する警告や二次被害の軽減をする機能、夜間でも人などを見つけ衝突を回避する赤外線カメラを使ったナイトビジョンなどの機能、自動で車線変更ができる機能などが用意されている。現状の新型LCの装備は、残念ながら世界トップレベルとはい言えない状況。レクサスの先進予防安全装備は、やや遅れている。
なんとも艶のあるデザイン。レクサスのデザインは、また一段と進化した

リヤのデザインは、独自性が高い。トヨタ シエンタのように歌舞伎の隈取をイメージさせる処理が施され、日本的なデザイン要素もプラスされている。こうしたオリジナリティの高さは、他のプレミアムブランド車と明確に違う味があるデザインだ。
インテリアデザインは、水平基調でどこかクラシカルな雰囲気をもつ。素材や工業製品としての高い質感は、さすがレクサスクオリティといえるもので、インテリアはラグジュアリー感の強い空間に仕上げられている。こうした室内空間は、スポーツカーのものではなく、LCがラグジュアリークーペであることを強烈に感じさせる。
新型レクサスLCの選び方。ハイブリッド車を選択することが必須!?

次はグレード選び。新型LCのグレードは、標準車とSパッケージ、Lパッケージと3つ。端的に言えば、Lパッケージはよりラグジュアリー仕様。Sパッケージは、よりスポーティ仕様となる。この部分は、好みにより選択するといい。中途半端なのが標準車となる。
Lパッケージ車は、セミアニリン本革シートやガラスパノラマルーフ、運転席・助手席10Way調整式パワーシートなどが専用装備になる。Sパッケージの専用装備は、ギヤ比可変ステアリング[VGRS]、トルセンLSD、アクティブリヤウィング (格納式)、VDIM (アクティブステアリング統合制御付)、LDH (レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)などが大きなところ。
リセールバリューを考えると、日本では、スポーティなグレードが好まれるためSパッケージがお勧め。こうしたクーペ系でも、スポーティグレードの人気が高いので、リセールバリューも高くなる傾向になるからだ。
<関連記事>
今買うならこれ!【最新】リセールバリューランキング
レクサスLC価格
<レクサスLC500価格>・レクサスLC500 13,000,000円
“S package” 14,000,000円
“L package” 13,000,000円
<レクサスLC500h価格>
・レクサスLC500h 13,500,000円
“S package” 14,500,000円
“L package” 13,500,000円
<関連情報>
レクサスを売りたい!車種情報と最新の買取相場はこちらから
こちらの記事もよく読まれています
-
人気ミニバン10種類をシートアレンジで比較!「本当に使いやすい車」はこれだ!
ファミリーカーなら?レジャーで活躍するのは?安さ、ママに便利、燃費…
-
トヨタ「クラウン」とレクサスを徹底比較:似ているように見えるが実際は…?
かたや日本を中心に長年愛され、トヨタブランドで売り出されている…
-
トヨタ「クラウン」と「カムリ」を徹底比較!トヨタの高級ハイブリッド車ならどちらを選ぶべき?
トヨタの「クラウン」と「カムリ」は、価格帯こそやや異なるものの、…
-
「クラウン」とメルセデス・ベンツ「Eクラス」徹底比較!サイズや性能の差は?
国産セダンの中では最高級クラスの「クラウンマジェスタ」。日本を代…
-
新車と中古車どっち?!メリットとデメリットを徹底比較
「新車と中古車、どっちにすればいいの?!」好みに合わせるなら?エコカー減税は?選択肢の豊富さは?それぞれのメリット・デメリット…
-
SUV 人気オススメランキング 2017年冬【新車編】
車の乗り換えや購入を検討している方で、車種選びにお悩み中の方へ。コリズム編集長で車評論家の大岡氏に、この冬新車でおすすめのSUV…
-
高級セダンオススメランキング 2017年冬【中古車】
車評論家の大岡氏が選ぶセダンおすすめランキングベスト3です。燃費を含めた維持費、走行性能、内装・デザイン、安全性から比較分析しま…
-
関東おすすめ日帰りドライブスポットまとめ
「家族で楽しめる近場のおでかけスポットを知りたい」そんな方々に、日帰りで楽しめる関東のおすすめドライブスポットをまとめてご紹介…
-
今買うならこれ!【最新】リセールバリューランキング
値下がりしにくい車(リセールバリューが高い車)を毎月ランキング形式で発表。リセールバリューとは新車の3年後の価値を予想し指標化…
-
クルマの税金の種類とは?
クルマの購入時や維持していくのに必要な様々な税金について、事例を交えてご説明します。…
-
最近注目されてるカーリースって結局どうなの?
新しいクルマとの付き合い方として注目されているのがカーリース。購入した場合との違いは何なのでしょうか?メリット・デメリットに…
LCのカタログ情報
- 現行モデル
- 平成29年3月(2017年3月)〜現在
- 新車時価格
- 1300.0万円〜1760.0万円