プジョー3008プジョーは、コンパクトSUVの3008をフルモデルチェンジし発売を開始。3008は、今回のフルモデルチェンジで2代目となった。




やや高価で苦戦したものの、背が高いSUVでも抜群のフットワークを誇った先代3008


初代プジョー3008は、プジョー初となるクロスオーバーSUVとして2010年に登場した。プジョーの車名は、3008のように4桁になるとSUVやクロスオーバー車となる。また、3008はハッチバックの308をベースとしたSUVだ。3008の外観デザインは、308をベースとしながらも、まったく異なるデザインが施され、独自性の強いモデルになっていた。

3008のデビュー当時に搭載されたエンジンは、BMWと共同開発された1.6Lターボ。このエンジンに6ATが組み合わされ、なかなかパワフルでスムースな走りが魅力的だった。

当時、欧州を中心にSUVの人気は急激に高まっていた。そうした影響もあってか、3008の価格設定は400万円を切っていたものの、308と比べるとやや強気な設定となっていた。

元々、日本におけるプジョーのブランド力はそれほど強くない。さらに、当時、まだSUVブームが来る前の日本マーケットでは、単に高価なコンパクトSUVという印象が強く、販売面では厳しい状況が続いた。そうしたこともあり、3008はリーズナブルな価格設定をした特別仕様車が度々出ることになる。

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販売面では厳しい状況だったものの、3008のクルマとしてのパフォーマンスは非常に高いものがあった。背の高いSUVでありながら、快適な乗り心地と軽快なフットワークをもち、気持ちよく走れるモデルだった。

まるで、飛行機のコックピットのようなインテリアをもつ新型3008


プジョー3008フルモデルチェンジした新型プジョー3008のボディサイズは、全長4,450×全幅1,840×全高1,630mm、ホイールベースは2,675㎜となった。先代3008と比べると全長が+85㎜、全幅が+5mm、全高が-5㎜、ホイールベースは+60㎜となっている。先代3008より、やや全長が伸び大きくなっているのが特徴だ。

新型3008のデザインは、先代イメージを継承しながら、より力強いSUVらしさを強調している。直立したフロントフェイスと大型グリル、長くフラットなボンネット、高いウェストラインとワイドなプロテクター、大径18インチアロイホイールを組み合わせることにより、タフで力強いSUV感を表現している。

インテリアデザインは、新型3008の魅力的な部分。力強いタフな外観とはやや異なるデザインが印象的。まるで、飛行機のコックピットをイメージさせるデザインとなっていて、計器類のほとんどがドライバー方向に傾斜が付けられた。センタコンソールもドライバーを包み込む左右非対称なデザインが採用されている。

さらに、プジョーが呼ぶ新世代New i-Cockpitは、デジタルヘッドアップインストルメントパネルが採用されている。デジタルグラフィクスによる美しく躍動感ある動きにより、情報を伝達する高画質12.3インチデジタルディスプレイは、目的に合わせた4つのディスプレイモードから選択可能だ。

プジョー3008ダッシュボード中央には、8インチタッチスクリーンが設置され、オーディオ、電話、エアコン、ナビゲーション、ドライビングアシストなどの操作が可能。ただ、タッチスクリーンは、流行のアイテムだがクルマにはあまり向かない。揺れる車内で、小さな部分を正確にタッチすることは難しい。その上、センタコンソール部分に設置されたモニターでは、視線移動量も大きくなる。結果的に、視線を大きく外し、指先を注視するようになるため安全面では少々疑問が残る。

そして、使いにくいタッチパネルに反して操作系は、タッチスクリーン下に指先でシッカリと操作できるトグルスイッチを配置。指先を注視して操作する必要がなく、全ての機能を直感的に操作することを可能とした。使いにくいタッチパネルと、使いやすいスイッチの組み合わせというなんともいえない微妙な使い勝手さをもつ操作系となっている。

 

遅れていた歩行者検知式自動ブレーキを標準装備化。安全性能が大幅に向上!


プジョー3008プジョーは、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備の装着が遅れていた。新型3008になり、ようやくそうした安全装備であるアクティブセーフティブレーキが全車に標準装備された。その他、レーンキープアシストやアクティブブラインドスポットモニターシステム、フロント&バックソナー、インテリジェントハイビーム、アクティブクルーズコントロール(ブレーキサポート付)なども用意され、安全性と利便性を大幅に向上させている。アクティブセーフティブレーキを標準装備化したのは、高く評価できる点で、国産車の多くは、装備が無かったり、あってもオプションだったりするからだ。

そして、走行性能面の装備として、よりラフロードでの走破性を高めるためにアドバンスドグリップコントロールが用意された。これは、FF(前輪駆動)しかない新型3008にとって、苦肉の策ともいえる装備。技術的には、横滑り防止装置の延長線上にある制御技術で、駆動輪へのエンジントルクとブレーキを制御して滑りやすい路面での走行をサポートする。路面状況に合わせ「スノー」、「マッド(泥、ぬかるみ)」、「サンド(砂地)」のモードをセレクト可能。最適なトラクション性能を得ることができる。また、新しく追加された「ヒルディセントコントロール」は、急な下り坂で繊細なブレーキングをすることなく低速(約5km/h以下)で安定して下降することが可能だ。

プジョー3008そして、SUVである以上、ラゲッジスペースの広さは重要だ。新型3008は、520Lのラゲッジスペースが用意された。開口部と一体のラゲッジフロアで、サイドの張り出しが少ないスクエアなスペースとなり使いやすさは良好。ワンタッチラゲッジルームフラット機能、前方可倒式助手席バックレスト、ハンズフリー電動テールゲートなどの上級装備もある。このスペースは、標準的レベルといったところ。さすがに、フォルクスワーゲン ティグアンの615Lというレベルには達していない。ただし、メルセデス・ベンツGLAの421Lと比べれば、かなり広いということになる。このあたりは、自分が何を積むかということが重要。良く積む荷物が、簡単に積載できるか実際に試してみるといいだろう。

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新型3008の選び方。 本命のクリーンディーゼル車が登場するのを待て!


プジョー3008新型3008に搭載されたエンジンは、1.6Lターボのみで165ps&240Nmを誇り、6ATと組み合わされている。残念ながら、クリーンディーゼルの搭載は見送られている。燃費は14.5㎞/Lとなっており、まずまずといった燃費値となった。

こうなると、新型3008は非常に選びにくい。コンパクトSUVで、使用する燃料はハイオクガソリンで高価。2017年のエコカー減税の恩恵を受けるレベルにないので、税制、燃料経済性上のメリットがほとんどない。コンパクトカーなので、経済性は重要だ。BMWは、ミニ クロスオーバーにガソリン車の設定をしなかったほどだ。

端的に言えば、新型3008の選び方として、クリーディーゼル車が投入されるまで購入はしばらく待ったほうがいい。今時、環境・軽税制など含めると、コンパクトカーで単なるガソリン車では、選ぶ理由が見当たらないからだ。新型3008には、欧州では当然クリーンディーゼル車も用意されている。また、プジョーは308にクリーンディーゼル車を用意しているので、3008にもクリーンディーゼル車が用意されるのは時間の問題だからだ。

輸入車は、急速にクリーディーゼル車人気が高まっている。そうした傾向を考えると、今後、クリーディーゼル車のリセールバリューが高くなることも予想できる。リセールバリューを考慮したクルマ選びをするなら、尚更クリーディーゼル車の登場を待った方がいいだろう。

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プジョー3008価格


・3008 Allure 3,540,000 円
・3008 Allure LEDパッケージ 3,690,000 円
・3008 Allure DEBUT EDITION (限定80台) 3,980,000 円
・3008 GT Line DEBUT EDITION (限定180台) 4,000,000 円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。