トヨタ ヴィッツハイブリッドトヨタは、Bセグメントと呼ばれるクラスにに属するコンパクトカー、ヴィッツをマイナーチェンジし発売を開始した。今回のマイナーチェンジでは、外観デザインが変更されたほか、ハイブリッド専用車であるアクアと同じ1.5Lのハイブリッドシステムが搭載され、34.4km/Lというクラストップレベルの低燃費を実現した。

  1. 目次
  2. 1 トヨタ ヴィッツ ハイブリッドについて
  3. 1-1 トヨタ ヴィッツの歴史
  4. 1-2 アクアと同じようなコンパクトカーを投入する理由
  5. 1-3 アクアを超える超低燃費性能を実現!ただしグレードに注意
  6. 1-4 自動ブレーキなどの安全装備は物足りないまま
  7. 1-5 ヴィッツ ハイブリッドの選び方。お勧めはジュエラ
  8. 1-6 ヴィッツ ハイブリッドの価格
  9. 2 トヨタ ヴィッツを売りたい!買取相場は?
  10. 3 トヨタ ヴィッツの中古車情報

トヨタ ヴィッツの歴史


トヨタ ヴィッツは、2010年にフルモデルチェンジし、現行モデルは3代目。ヴィッツは、海外ではヤリスと呼ばれ、1999年の発売以来、約80の国と地域で販売し累計世界販売台数が700万台を超すトヨタの基幹モデルだ。

しかし、3代目ヴィッツの国内販売は低迷する。まず、3代目ヴィッツの開発中にリーマンショックがあった。開発コストを大幅に低減することが求められた時代だ。そのため、3代目ヴィッツは、ややチープなクルマとなってしまった。さらに、翌年の2011年には、ヴィッツの属するBセグメントに待望のハイブリッド専用車アクアが投入された。商品力的にやや微妙な状況だったヴィッツに対して、圧倒的な低燃費性能を誇り話題になったアクア。あっという間にアクアは人気モデルになり、ガソリン車しかないヴィッツの販売台数は大幅に激減していった。

その後、ヴィッツは2014年に大幅マイナーチェンジ。不評だった内外装や走行性能部分を刷新。主力の1.3Lエンジンは、25.0km/Lというハイブリッド車に迫る低燃費を実現。しかし、時代は完全にハイブリッド車に移行しており、ヴィッツがコンパクトカーの中で、注目を集めることは無かった。

さて、現在ヴィッツの2016年販売台数は71,909台となった。軽自動車を除く新車販売台数ランキングでは、10位と健闘している。順位こそまずまずなのだが、同じBセグメントのコンパクトカー比較では、アクアが168,208台とヴィッツの2倍以上のセールスを記録。また、11月までハイブリッド車が無く、同じガソリン車だけだった日産ノートが102,402台売っていることから、ガソリン車しかないヴィッツがいかに厳しい状況に追い込まれていることがよくわかる。


アクアと同じようなBセグメントコンパクトカーを投入する理由


トヨタ ヴィッツハイブリッドヴィッツが売れない。そんな理由から、ヴィッツハイブリッドが導入されたわけだが、ヴィッツは海外でヤリスで売られており、ヤリスにはハイブリッド車が用意されていた。いつでも日本国内に導入することはできたはずなのだが、やはりアクアと食い合いになるのを避けた格好になっていた。

そんなトヨタだったが、ヴィッツハイブリッドを導入しなくてはならない理由が明確になってきたようだ。それは、ネッツ店の存在だ。アクアは全チャネルで売られているが、ヴィッツはネッツ店の専売モデルだ。アクアの方が売りやすいので、ネッツ店の営業力はヴィッツからアクアに移行してしまうという現状がある。

販売店は儲けが同じなら、売りやすい方を売るのは当然だ。しかし、メーカー側は、それでは困る。クルマは、一定の製造計画があり、それを割り込むと赤字になる。また、生産工場毎の稼働率を含めた効率も利益に大きな影響を与える。アクアと食い合いになるからと言って、ヴィッツが売れないままだと赤字となる。最終的に利益が減る。

そして、営業面でも重要な役割がある。アクアは、トヨタ全チャネルで売られている。このことから、トヨタの異なるチャネル同士での競合され、値引き額が大きくなる傾向となる。それを避けるために、ヴィッツハイブリッドはネッツ店の専売車種とすることで、無用な競合による値引き拡大を避ける狙いもあるのだ。

また、日産ノートが独自のハイブリッド車であるノートe-POWERを投入。2017年にはフィットがマイナーチェンジし商品力をアップする予定だ。ライバル車がバージョンアップし商品力を強化するなか、モデル後期に入り目新しさに欠けるアクアだけでは、販売面で少々厳しい戦いになる。トヨタは、ヴィッツハイブリッドを投入することで、顧客にアクアとは違う選択肢を与えることで、例えアクアと食い合いになったとしても、トヨタ全体のBセグメントの販売台数増を狙う戦略でもある。


アクアを超える超低燃費性能を実現!ただしグレードに注意


トヨタ ヴィッツハイブリッドヴィッツハイブリッドには、基本的にアクアと同じ1.5Lハイブリッドシステムが搭載されシステム出力は100psとなっている。燃費は34.4㎞/L。これは、アクアの燃費37.0㎞/Lを超えていないように見えるが、実際にはアクア越えの燃費値と言える数値。アクアはカタログには37.0㎞/Lと記載されているが、実際に購入するときには、なんらかのオプションを選択するため実際の燃費値は33.8㎞/Lになるからだ。そんな視点から見ると、ヴィッツハイブリッドの燃費値はクラストップとなる。

低燃費で魅力的なコンパクトカーヴィッツだが、購入時には注意が必要。コンパクトカーなのに小回り性能が5.6mという大型ミニバン並みの最小回転半径を誇るグレードが存在する。コンパクトカーなのに、狭い道や駐車場では小回りが苦手というのでは本末転倒。そんな仕様になっているグレードは、ハイブリッドU“Sporty U F Jewelaパッケージ”だ。16インチアルミホイールを標準装備化したことで、ハンドルの切れ角が少なくなり、5.6mという大型ミニバン並みの最小回転半径になっている。コンパクトカーに求められる狭いところでの扱いやすさを求めるのなら、このグレードは選択しない方がいい。他のグレードの最小回転半径は4.7mと、平均的なコンパクトカー並みだ。

自動ブレーキなどの安全装備は物足りないまま


トヨタ ヴィッツハイブリッド安全装備は、アクア同様に物足りないままだ。未だ歩行者を検知できない仕様の自動ブレーキ「トヨタ セーフティセンスC」が多くのグレードに標準装備化されたが、一部グレードではオプションのままだ。サイドエアバッグも全車オプションといった状態。

高齢者事故の多発など今後、自動ブレーキなどの安全装備は非常に重要な役割となっている。今では軽自動車の方が進んでいて、歩行者検知式自動ブレーキが主流になっている。歩行者が検知できないばかりか、自動ブレーキでさえ標準装備化されていないグレードがあるのは非常に微妙は安全装備といえる。

トヨタの傘下ともいえるスバルは、新型インプレッサに歩行者検知式自動ブレーキである「アイサイト」に、国産メーカー初となる歩行者エアバッグやサイドエアバック&ニーエアバッグを全車に標準装備化した。これほどの装備を標準装備化しながら、エントリーグレードは、200万円を切るという安価な設定としている。メーカーによって、安全に関する考え方は大きく異なる。業界のリーダーであるトヨタが、なぜスバルのようにできないのか?今後、トヨタの安全思想が問われるようになるかもしれない。

ヴィッツ ハイブリッドの選び方。お勧めグレードは、装備のバランスがよいジュエラ


トヨタ ヴィッツハイブリッドヴィッツハイブリッドのエントリーグレードであるFグレードの価格は1,819,800円。安価に感じるかもしれないが、装備はかなりシンプルで、主に営業車やレンタカー向けといえるほど。一般ユーザーにお勧めできるグレードではない。

そうなると、ジュエラかU、Uスポーティパッケージというグレードから選ぶことになる。ただ、注意しないといけないのが、前述したとおりUスポーティパッケージ。16インチアルミホイールを履き、エアロパーツ類が装着されるなど、スポーティさが魅力ではあるが最小回転半径は5.6mと大型ミニバン並み。狭い道や駐車場ではかなり扱いにくい。コンパクトカーの魅力が半減するため、よほどカッコ重視、と割り切れる人以外お勧めできない。

残る選択肢は2つ。ジュエラかUかということになるが、お勧めはジュエラ。ジュエラは、Fに上級装備を施したといった仕様で、自動ブレーキのトヨタ セーフティセンスCやナノイーエアコンなどが装備されている。装備的には、まずまずといったところ。

Uはジュエラに対して、スマートエントリーや15インチホイール、クルーズコントロールなどが標準装備される。Uとジュエラの価格差は約10万円。クルーズコントロールは、先行車追従式ではないので、あまり意味がない。約10万円の差なら、ジュエラを選択して、LEDヘッドランプやリヤコンビネーションランプが装着されるオプションのLEDランプセット(86,400円)を選んだ方が高級感があって満足度も高いだろう。

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トヨタ ヴィッツハイブリッド価格


・HYBRID F 1,819,800円
・HYBRID Jewela 1,983,960円
・HYBRID U 2,087,640円/“Sportyパッケージ”2,237,760円

トヨタ ヴィッツを売りたい!買取相場は?


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トヨタ ヴィッツの中古車情報