マツダCX-5マツダは、人気SUVであるCX-5をフルモデルチェンジし2017年2月より発売を開始する予定だ。マツダCX-5は、これで2代目となる。

マツダの基幹車種として、重要な車種となったCX-5

初代マツダCX-5は、2012年2月にデビュー。当時、マツダは経営不振に陥っており、起死回生を狙う新世代商品のトップバッターとして登場した。まさに、マツダの命運をかけたモデルといえる。初代CX-5には、優れた環境性能をもつスカイアクティブエンジンと新デザインテーマ「魂動(こどう)」を初めて全面的に採用した。

デビュー当時、CX-5が注目されたのは、国産モデルとしては珍しいクリーンディーゼル エンジン「SKYACTIV-D 2.2」を搭載していたこと。高価なNOx後処理装置なしで、ポスト新長期規制に適合し420Nmという大トルクでありながら18.6km/L(デビュー時)という低燃費を実現していた。欧州では、すでにクリーディーゼルが主流ということもあり、クルマ好きを中心に話題となった。

また、クルマ好きだけでなく、誰でもひと目で分かるスタイリッシュな魂動(こどう)デザインによるスタイルや、ソウルレッドと呼ばれる赤いボディカラーをメイン色にするなど、見た目の斬新さもアピールしたこともあり、多くの新しい顧客を得ることができた。

こうした優れた商品性が高く評価され、CX-5はあっという間に人気モデルへの道を歩むこととなった。さらに、2012-2013 日本カー・オブ・ザ・イヤー も受賞するなど、専門家にも高く評価され、CX-5は良く売れた。こうした高い評価は海外でも同じで、CX-5は不調のマツダの救世主となる。そして、現在では、マツダのグローバル販売の1/4を占める基幹車種となっている。

やや早いフルモデルチェンジは、プラットフォーム(車台)がキャリーオーバーだから?

マツダCX-5新型CX-5は、約5年でのやや早めのフルモデルチェンジとなった。クルマのベースとなるプラットフォーム(車台)は、先代CX-5からキャリーオーバーとなっている。さらに、エンジン、サスペンション形式なども含め、先代CX-5とほぼ同じだ。一見、スキンチェンジともいえる内容となっているが、その中身はより熟成されたものとなっている。何かが大きく進化したというよりは、深みが増したといえるフルモデルチェンジだ。

搭載されるエンジンは、従来と同じ2.0Lと2.5Lの直4ガソリンエンジンと、2.2Lクリーンディーゼルの3タイプを用意。2.0Lは155ps&196Nm、2.5L(FF)は190ps&251Nmを発揮する。2.5Lエンジンは、実用燃費を高めるため、ピストンのオイルリングに上下非対称形状を採用。ピストン周りの油膜の厚さを最適化し、機械抵抗を大幅に低減し、実燃費を向上させた。

こうした実燃費の向上というものは、初代CX-5から新型に乗り換えたような顧客でないと分からないような変更部分。ある意味、言ったもの勝ちともいえるが、国交省はJC08モードからより実燃費値に近い表示になる国際基準のWLTPモードへ変更する予定だ。こうなると、今回の改良のようにJC08モード燃費では分からない燃費向上分も分かるようになるかもしれない。もしかしたら、そうした燃費評価基準への対応かもしれない。

マツダCX-5CX-5で最も注目されている2.2Lクリーンディーゼルは、1.5Lのクリーンディーゼルに導入された技術を採用。アクセル操作に対するクルマの反応をよりダイレクトにする「DE精密過給制御」、ノック音を低減する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」、ノック音の発生そのものを極限まで抑制する「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を採用。よりドライバーの感覚に合う加速性能や静粛性を手に入れている。

組み合わされるミッションは6速AT。ATの多段化が進む中、より高級SUVらしさをアピールするには、そろそろ6速では厳しい状況になってきている。この6速ATも若干進化。車速やアクセル開度、エンジン回転数などからドライバーの操作の意図を読みとってシフトする新しい変速制御を採用。特にコーナリング中やコーナーを立ち上がるときの不要な変速を抑えることで、滑らかな挙動を実現した。

さらに、2.2Lディーゼル用の6速ATは、低剛性のロックアップダンパーを初めて採用。静粛性の向上と、ロックアップ領域の拡大でこちらも実用燃費を向上させているという。

そして、電子制御式の4WDシステムであるi-ACTIV AWDも熟成されている。ます、AWD用のオイルを低粘度化し、軸受け部をすべてボールベアリング化した。こうした変更により、従来のモデルより約30%もの抵抗低減を実現。実用燃費を約2%向上した。AWDでも、より優れた低燃費性能を得ることができるようになっている。

乗る人すべてが快適に! がテーマ。よりラグジュアリー感のあるSUVに

マツダCX-5先代CX-5は、どちらかというとドライバー中心の走行性能をアピールしていた。しかし、新型CX-5は、ドライバーだけでなく、乗るすべての人がドライブをゆったりと楽しめる、心地よい居住性を目指して開発された。

新型CX-5の走りの質を支えるサスペンションは、フロントがストラット、リヤがマルチリンクと従来と同じだが、従来モデルに対して、フロントサスペンションでは、ダンパー径を拡大し減衰性を最適化した。コーナーリング初期に滑らかにロールし、旋回中の安定性を高めている。さらに、フロントロアアームには、液体封入式のブッシュを採用。ドライバーが感じる浮遊感や不快に感じやすい振動を抑制した。

そして、心地よい居住性を高めるために重要な走行騒音は、先代モデル比で約20km/h低い車速騒音レベルに低減されている。こうした静粛性は、パーツ形状の最適化による振動そのものの最小化や、細かく振動をコントロールする工夫により、特に粗い路面での低周波のロードノイズを低減。車内への音の侵入経路を徹底的に遮断するタイヤ騒音対策や、空気の流れを乱さない空力形状を採用するなどの風騒音対策により、高速走行時の高周波のタイヤ騒音と風騒音を低減している。

マツダCX-5安全装備面では、歩行者検知式自動ブレーキの採用が遅れていた。今回、フルモデルチェンジでようやく歩行者検知式自動ブレーキi-ACTIVSENSEが全車標準装備された。大きく重いSUVなので、歩行者と接触すれば死亡事故になる可能性が高いので、こうした安全装備の標準装備化は高く評価できる。ただ、一部グレードには後退時のAT誤発進抑制制御が無かったりと少々微妙なところも残る。

そして、こちらも待望のマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)が、追従可能な下限速度域を従来の30km/hから0km/hへと拡大した。これで、渋滞時などの追従走行が可能となり、ドライバーの疲労軽減に大きく貢献してくれるようになった。

大人な高級感がある内装&外装デザイン

新型CX-5のデザインは、先代と比べると随分落ち着いた雰囲気になり高級感が出た。新型CX-5は「REFINED TOUGHNESS=洗練された力強さ」をキーワードに掲げ、「成熟した骨格」「品格のあるフォルム」「仕立ての良い質感」の3つを軸に、エクステリア、インテリアデザインをつくり上げた。

リヤまわりのデザインは、あまり代わり映えしない。対して、フロントまわりのデザインは、違うクルマのように見える。全体的に彫りの深いディテールデザインとなり、精悍なエクステリアを実現。彫の深くない立体感ある造形は、なかなか個性的だ。最近の流行である、とにかく大きな顔の強面迫力系デザインとは異なり、ある意味品格を感じる。

インテリアは、水平基調で広がり感あるデザインとなっている。各部のディテールもSUVというよりや高級セダンのようなラグジュアリー感ある質感になった。また、フロントガラスに情報を表示するアクティブ・ドライビング・ディスプレイを新採用。見やすさを高めた新構造の7インチWVGAセンターディスプレイをダッシュボード上に配置された。ダッシュボード上に設置したことで、視線移動も少なく安全性は高いのだが、今時7インチモニターでは少々小さく感じる。とくに、中高年のドライバーにとっては文字も小さく見にくい印象が残るだろう。

リセールバリューを考えると、クリーンディーゼル+4WDの組み合わせで安全装備が充実したXD PROACTIVEがお勧め

マツダCX-5の選び方。良いセダンがないから、こうしたSUVに乗るので別にFFでもいい、もしくは積雪地域など走らないので予算重視というのであれば、FFでも十分。ただし、リセールバリューを考えると、こうしたSUVは4WDを選んでおいた方が無難だ。リセールバリューは、3年もしくは5年といった短い期間で乗り換える人でなければ、それほど意識する必要がない。

また、エンジンの選択だが、CX-5の魅力を存分に楽しみたいのなら、2.2Lクリーンディーゼル車がお勧め。420Nmという大トルクは、ゆったりとしたクルージング時でも余裕を感じさせてくれる。そして、いざアクセルを大きく踏み込めば、豪快な加速力を見せ、なかなかスポーティな走りも楽しめる。価格はガソリン車より30万円以上高くなるが、価値がある。

そして、グレード選び。CX-5は、価格が上がり高価なSUVとなっている。この価格帯のクルマとしての安全装備を考えるのなら、やはりPROACTIVE程度は無いとちょっとガッカリするだろう。また、ロングドライブでは重宝するマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)[全車速追従機能付]は必須のアイテムといえる。この装備は、渋滞時の疲労を大幅に軽減してくれるので、ぜひとも装着しておきたい。

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マツダCX-5の価格

・20S FF 2,462,400円
・20S PROACTIVE FF 2,689,200円
・25S 4WD 2,689,200円
・25S PROACTIVE 4WD 2,916,000円
・25S L Package FF 2,986,200円/4WD 3,213,000円
・XD 2WD FF 2,775,600円/4WD 3,002,400円
・XD PROACTIVE FF 3,002,400円/4WD 3,229,200円
・XD L Package FF 3,299,400円/4WD 3,526,200円