新型プラットフォーム、SGP(スバル グローバル プラットフォーム)が採用され、安全&走りの性能が大幅向上!

スバルインプレッサスバルはインプレッサをフルモデルチェンジし、発売を開始した。このフルモデルチェンジで、インプレッサは5代目となる。


5代目インプレッサ、先代との違いは?

5代目新型インプレッサの大きなポイントは、新型プラットフォームであるSGP(スバル グローバル プラットフォーム)が採用されたこと。このSGPが採用されたことにより、新型インプレッサは、走行性能や衝突安全性能が飛躍的に向上している。さらに、このSGPは、近い将来搭載される予定のハイブリッドシステムを考慮した設計になっている。 衝突安全性能では、衝突時のエネルギー吸収量を増大させて、乗員保護性能をいちだんと高めた。なんと、従来のプラットフォームに比べ、1.4倍もの衝突エネルギーを吸収できるようになっている。そして、質量増を抑えながら、前面・側面・後面すべての衝突安全性を向上させた。コンセプト・デザイン・装備・走行性能については、本記事とともに、先代モデルとの新旧比較記事も是非参考にしてみてほしい。

‖異次元レベルの走行性能

スバルインプレッサまず、足回りでは、フロントサスペンションのクロスメンバー構造を変更。エンジンマウント取付け部の剛性を向上させ、振動を遮断するようにした。また、リヤサスペンションでは、サブフレームブッシュの形状を工夫することで、ブッシュを硬くすることなくサブフレームのロールを抑えている。これにより運動性能と振動騒音の低減を両立している。

そして、乗り心地の向上のため、フロントスタビライザーリンクの取付け位置を従来のアームフロントからストラットに変更。リヤスタビライザーリンクも従来のアームからハウジングに変更した。さらに、車体に直接取り付ける方式に変更することで、スタビライザーの効率を高めロール剛性を向上させている。こうした変更により、ダンパー減衰力とスプリングのバネ定数の最適化が可能になり、操縦安定性と乗り心地の向上を両立している。 こうしたサスペンションの向上を受け、さらにスポーティなハンドリング性能とするために、ステアリングギヤボックスの機構部と制御を見直し、操舵フィーリングと操舵応答性を向上。ステアリングのギヤ比を従来の14.5:1から13:1とクイックな設定としている。

スバルインプレッサ新型インプレッサの走行性能は、こうしたボディとサスペンションまわりの変更により大幅に進化。もはや、先代インプレッサとでは、比較にならないほどの進化だ。新型インプレッサで最もパワフルな2.0Lエンジン車でも、完全にボディやサスペンションが勝っていて、アンダーパワーに感じてしまうほどだ。

ハンドリング性能は、まさにオン・ザ・レール感覚。リヤまわりの剛性も非常に高く、リヤタイヤは路面をシッカリとつかみはなさない。そのため、非常に安定感がある。驚きなのは、スポーツ走行している時だけでなく、ゆっくり走っている時でも、ステアリング操作に対する手応えが良いため、楽しいと感じるほどの仕上がりをみせている。

‖エンジンとCVTは、進化したものの古さを感じる


スバルインプレッサ優れたハンドリング性能に対して、エンジンとミッションは少々物足りなく感じる。それでも、新開発2.0L直噴NAエンジンを採用し、燃料システムの直噴化をはじめ、約80%の部品の設計を見直すと共に、従来型比約12kg の軽量化を実現。実用面では進化しているのだが、優れたハンドリング性能に合ったエンジンかというと話が別になる。高回転域でイッキに伸びていくパワー感などフィーリングにあまりスポーツ感がないのだ。

ミッションにも同じことがいえる。CVTであるリニアトロニックも大幅に改良された。CVTのチェーンをさらなるショートピッチ化。レシオカバレンジ(変速範囲)を6.28から7.03に拡大。発進加速性能と高速巡航時の燃費の双方を向上させている。さらにトルクコンバーターの小型化やケースの肉厚最適化により、従来型比で約7.8kgの軽量化を実現し、車両全体の燃費向上とドライバビリティの向上に貢献した。

しかし、CVTの限界か、スポーツドライビングをすると、ややダイレクト感に欠けるフィーリングに少々テンションが下がる。改良し続けるのもいいが、よりダイレクト感あるデュアルクラッチタイプや通常のATにしたいところだろう。


‖更なる特徴は、安全装備の拡充

愛されるクルマになるためには、他人を傷つけない! アイサイト&歩行者エアバッグ全車標準装備。
スバルインプレッサ今回の新型最大の特徴といえるのが安全装備。従来はFFのモデルには装備されていなかった歩行者検知式自動ブレーキ関連の安全装備「アイサイト」が全車に標準装備化。さらに、国産車初となる歩行者用エアバッグも全車標準装備された。そして、乗員を守るサイド&カーテンエアバッグ、さらに運転席ニーエアバッグまでもが標準装備化されているのだ。これだけの安全装備を得たことで、新型インプレッサはクラストップレベルの安全性能をもったクルマになった。

全車に標準装備化している点が重要。安全装備は普及しなければ意味がないからだ。 こうした安全装備を充実させることは、非常に重要だ。クルマは、使い方を間違えると人を殺してしまう。いわゆる交通死亡事故だ。これは、いつ、どこで、誰が被害者や加害者になるか分からない。歩行者検知式自動ブレーキであるアイサイトが標準装備化されたことで、新型インプレッサを買えば、まず交通事故のリスクが大幅に軽減できることになる。誰もが交通死亡事故の被害者や加害者になりたくはないはずだ。

自動車メーカーのほとんどが、安全思想として「交通死亡事故ゼロを目指す」としている。しかし、実態は「安全装備を付けて価格を上げると顧客が買ってくれない」などと、歩行者検知式自動ブレーキや歩行者エアバッグの装着は進まない。最新の技術を使えば、守れる命を本気で守ろうとしない現状がある。また、こうした装備をもっていても、オプション設定し「安全は顧客の財布の中身次第」としている点もおかしい。そもそも、人を傷つける可能性のある商品を売っているのだから、標準装備化するのは製造者としての責任だ。

‖世界最高峰と言われる、スバルの安全性能はすべての人に


スバルインプレッサスバルもその昔は、他のメーカーと同様に安全装備に関しては積極的ではなかった。 スバルもこの新型インプレッサ以前では、他の自動車メーカー同様の考え方をしていた。アイサイトがデビューした当時約20万円を超える価格で、まったく売れなかった。アイサイト開発チームは、会社のお荷物とかムダ金ばかり使ってと揶揄されることも多かったという。

しかし、アイサイトの価格を大幅に引き下げ約10万円とした頃から、イッキに流れが変わる。より安全性を重視する顧客から圧倒的な支持を得た。今では、完全にアイサイトという安全装備の名前は、スバルの車種名を超えるくらい認知度が高くなっているほどだ。このあたりから、スバルは大きく方向転換。安全と走る楽しさの両立に舵を切ることになる。

やや商売的な考え方があるにせよ、クルマが歩行者を傷つけないようにという考え方は正しい。環境破壊だけでなく、人も傷つけ続けるのであればクルマは愛されない。そうなれば、いずれ、100%自動運転のクルマ社会になりインフラ化し、走る楽しみなど認められなくなるからだ。

そして、新型インプレッサは「安全と走る楽しさの両立」という目標を達成した。クルマとして、あるべき姿になったといえ、高く評価されるべきクルマになった。このクラスでは、世界的に見てもクラストップレベルといえる仕上がりだ。

また、注目したいのは価格。エントリーグレードで200万円を切っている。安価な価格設定としていることで、より安全で楽しいクルマが世の中に増やしたいという願いがあるのだろう。よいクルマが高価なのは当たり前。マーケットに求められるのは、より安全で楽しく安価なクルマであることは間違いない。価格設定を低く抑えたのも高く評価したいポイントのひとつだ。


選ぶならどのグレードが良い?


スバルインプレッサ新型スバル インプレッサの購入ガイド。まず、新型インプレッサは、セダンのG4かハッチバックのスポーツから選ぶことになる。そして、エンジンの選択となる。エンジンは1.6Lと2.0Lが用意されている。街中中心というのであれば、1.6Lでも十分といったところ。2.0Lは、新型インプレッサの優れたハンドリング性能をより走りを楽しみたい人やロングドライブが多い人に向く。

新型インプレッサの燃費は、1.6L車が18.2㎞/L(FF)、17.0㎞/L(AWD)。2.0Lは2.0i-L EyeSightが17.0㎞/L(FF)、16.8㎞/L(AWD)。2.0i-S EyeSightが16.0㎞/L、15.8㎞/Lとなっている。燃費値は、それほど良いという訳ではなく標準的な数値だ。

悩みどころは、FFかAWDかという選択になる。FFの軽快さも魅力だが、スバルの魅力のひとつでもあるAWDを積極的に選びたいところ。FFとAWDの価格差は約22万円。リセールバリューも加味すると、多少無理してでもAWDを選択したいところだ。

グレードはシンプル。1.6Lが1グレード。2.0Lが2グレードとなった。1.6L車は、ややシンプルな仕様。SI-DRIVEやキーレスアクセス、レザー巻きステアリングなどが無い。2.0i-S EyeSightは、2.0i-L EyeSightに対してスポーティな内外装パーツやLEDヘッドライト、アクティブ・トルク・ベクタリング、225/40R18タイヤ&ホイールなどがプラスされている。2.0i-S EyeSight AWDの価格は、なかなか高価で約259万円。ただ、2.0i-S EyeSight AWDには、アクティブ・トルク・ベクタリングと18インチホイールが装備されている。これが、なかなか大きな走行性能差となっていて、より楽しい走りを求めるのなら2.0i-S EyeSightがお勧めとなる。走りの質は、2.0i-L EyeSightより、確実に1ランク上だ。

新型インプレッサの値引きは、しばらくの間期待できない。しかし、少々時間が経過すれば一定の値引きが引き出せるようになる。商談時に競合させたいのは、マツダ アクセラやトヨタ オーリス、フォルクスワーゲン ゴルフなど。いわゆるCセグメント車と呼ばれている車種だ。アクセラは値引きゼロ戦略を続けているので意味がないように感じるが、競合させること自体に意味がある。このクラスでは、インプレッサが一番売れていたが、アクセラに1.5Lディーゼル車が投入され販売台数が伸びている。当然、スバルもライバル視しているので、値引き対応するしかない状態になる。とくに、スバルはインプレッサで国内のシェアを拡大させたい考えもあるので有効だ。

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スバル インプレッサ車種情報

インプレッサG4、インプレッサSPORTの価格、スペック情報は以下。

■スバル インプレッサG4価格

・1.6i-L EyeSight 2WD 1,922,400円/AWD 2,138,400円

・2.0i-L EyeSight 2WD 2,160,000円/AWD 2,376,000円

・2.0i-S EyeSight 2WD 2,376,000円/AWD 2,592,000円

■インプレッサSPORT価格

・1.6i-L EyeSight 2WD 1,922,400円/AWD 2,138,400円

・2.0i-L EyeSight 2WD 2,160,000円/AWD 2,376,000円

・2.0i-S EyeSight 2WD 2,376,000円/AWD 2,592,000円

■新型スバル インプレッサSPORT/G4燃費、スペックなど

全長×全幅×全高(mm) G4 4625×1775×1455 SPORT 4460×1775×1480 ホイールベース(mm) 2670

エンジン 排気量 1.6ℓ DOHC 16バルブデュアルAVCS/2.0ℓ DOHC 16バルブデュアルAVCS 直噴

最大出力[ネット][kW(PS)] 85(115)/6200 113(154)/6000 最大トルク[ネット][N・m(kgf・m)] 148(15.1)/3600 196(20.0)/4000 燃費[km/ℓ] 1.6ℓ 18.2[17.0] 2.0ℓ 17.0[16.8]16.0[15.8]

トランスミッション リニアトロニック 駆動方式 2WD / AWD(常時全輪駆動)

サスペンション形式[前/後] ストラット式/ダブルウィッシュボーン式

タイヤサイズ 205/55R16 205/50R17  225/40R18

[ ]内はAWD車の数値

■装備

歩行者エアバッグ国内初全車標準装備 運転席ニーエアバッグ、サイドエアバッグなど7エアバッグ全車標準装備 EyeSight(ver.3)全車に標準装備

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