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一枚の名車絵 第15回 ルノー シュペール5(Renault Super 5)


現在小型車の主流となっている1.5BOXの「ハッチバック車」。車体後部にハッチドアを持つ車は1960年代から存在していましたが、ハッチバック車を小型実用車の類型の代表にしたのは、1972年登場のフランス車、ルノー・サンク(フランス語で5=CINQ:サンク。略してR5)ではないかと思います。


◆大ヒットしたハッチバックの基本形


ベースとなったルノー4(キャトル)は、4ドアにハッチドアを設けたスタイルで、利便性は高かったが小型バンのようでもありました。ルノー5はパワートレーンやプラットフォームをこのルノー4からお幅に流用しているものの、その上に構築されるボディはモダンで、ドアも2枚(+ハッチドア)という斬新なスタイリングでした。メッキバンパーが全盛だった1970年代に樹脂製バンパーを採用していたことも特筆に値します。

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ルノー5はその愛らしいデザインと使い勝手の良さから欧州全土で大ヒットを記録。排気量アップ、内外装の変更、5ドアハッチバックの追加など熟成を重ね、スポーツバージョンであるアルピーヌやラリー参戦用ベース車でエンジンをミッドに搭載したモンスター「5ターボ」なども展開、1984年に後継となる「シュペール5」が発売されるまで生産されました。

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なお、モデルチェンジをすると車名が変わることが多かったフランス車・ルノーにおいて、車名をそのまま引き継ぐ珍しいパターンとなりましたが、初代と区別をするために「シュペール(スーパー)5」と呼ばれることになりました。
 デザインはランボルギーニ・カウンタックなどのデザイナーとして有名なマルチェロ・ガンディーニが担当しました。初代5の特徴であった四角いヘッドライトと台形のリアスタイルをイメージとして残しつつモダンでシンプルなデザインとなっています。


◆メカニズム一新でまたまた大ヒット


外観は印象を引き継ぎましたが、メカニズム的には一新。1960年代から変わらない縦置きエンジンの前輪駆動(FF)からようやくFFの基本設計ともいえる横置きエンジンの「ジアコーザ式」となり、室内の広さやハンドリングの向上に大きく寄与しています。

copyright_izuru_endo_2016_10_renault_super5_1280_890(クリックで拡大)シュペール5も登場当初は3ドアのみでしたが、1985年には待望の5ドアを追加。5ドアモデルは初代と異なりホイールベース、全長ともに伸ばされ、後席の居住性アップに充てられています。エンジンは登場当初1リットル、1.1リットルOHVと1.4リットルOHVで、1リットルおよび1.1リットルエンジンはルノー4からの流用で、1.4リットルエンジンはシュペール5よりも早くジアコーザ式を採用したひとまわり大きな車種ルノー9(ヌフ)と共用していました。のちに1.7リットルSOHCや、115psを発生した1.4リットルOHV+ターボなどを追加していますが、ターボエンジンを搭載した「5GTターボ」は軽い車重と固められたサスペンションも手伝って素晴らしいホットハッチに仕上がっていました。

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愛くるしいスタイリングとコンパクトなボディサイズ、優れた経済性などによりシュペール5も大ヒットとなり、後継の初代クリオ(日本名ルーテシア)が1990年に、1993年に初代トゥインゴが登場したのちも1997年までに約400万台を生産しました。

日本にもジヤクス(JAX)によって数多くのバリエーションが正規輸入されており、現在でもその姿を路上で見ることが出来ます。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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