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「気になるくるま」第6回 初代セリカXX(A40/A50型 1978)

ひとことでくるまと言っても、誰にも知られていないようなマイナーなものから、みんなの憧れのようなスーパーカーまで、実に様々です。そんなクルマたちの中から、マニアックカー・マニアでもある遠藤イヅルが、独断と偏見で選び出したくるまたちをイラストとともにみなさんにお送りいたします。第6回は1970年代を代表する日本のグランドツーリングカー、初代セリカXX(ダブルエックス)をお送りいたします。


◆「Z」の対抗策として誕生したラグジュアリークーペ


トヨタが1970年に発売したスペシャリティクーペ、セリカは実用性とほどよい高性能のバランスがよく、若々しいイメージと「ダルマセリカ」とも称された愛嬌あるデザインでヒット作となりました。1977年には2代目が登場。大きくなったボディのデザインはCALTY(アメリカトヨタのデザイン部門)が担当。初代に比べて窓が大きくなり、隆起したリアフェンダーなどの処理もなくなったためスリークな印象です。

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そして1978年。その2代目セリカの上位版として、北米における日産“Z”(日本名フェアレディZ)の好評を受け北米トヨタディーラーからの要望で開発されたのがセリカXXです。簡単にいうと、4気筒のセリカに6気筒エンジンを載せたバージョンです。スポーティなイメージが強いセリカと異なり、また、フェアレディZが2シーター主体のスポーツカーであったことに対し、セリカXXにはラグジュアリーな高級スペシャリティカー、GT(グランドツーリング)カーという性格付けで発売されています。


◆80年代ハイソカーの源流


基本的はセリカのスタイリングを持ちつつもホイールベース・全長が伸ばされたこと、前後パンパーがカラードに、フロントが角形4灯になったことでエレガントな印象になり、内装も毛足の長い赤いモケットを採用、高級感を大幅にアップしています。この高級感の演出は、3年後に登場する高級パーソナリティクーペ「ソアラ」や、1980年代に一世を風靡した“ハイソカー3兄弟”のマークII、チェイサー、クレスタに引き継がれて行きました。

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エンジンはM型SOHC直6で、当初は2リットル(M-EU)と2.6リットル(4M-EU)が用意されましたが、1980年にマイナーチェンジが行われて2.6リットルは2.8リットル(5M-EU)に置き換えられています。


◆その名はスープラ


copyright_izuru_endo_2016_08_celica_xx_1280_743(クリックで拡大)初代セリカXXは3年しか製造されませんでしたが、これはベースの2代目セリカよりセリカXXが1年遅れて登場しているためです。セリカは国産車の標準的な4年のモデルチェンジサイクルを守り1981年に3代目になりましたが、セリカXXもそれに合わせて2代目にフルモデルチェンジしています。高級スペシャリティカーとして同年にソアラがデビューしていたため、2代目セリカXXはスポーツイメージを押し出しています。

なお、セリカXXは2世代で終わり、3代目となるモデルから「スープラ」を名乗っていますが、北米では初代からセリカXXを「スープラ」と呼んでいました。つまり、セリカXXは日本専用の名前だったことになります。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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