• 新型オデッセイハイブリッド(2016年・平成28年〜)

  • REPORT 試乗レポート

クラストップレベルの低燃費26.0㎞/Lを達成したオデッセイハイブリッド。
オデッセイ用に改良されたハイブリッドシステムを搭載。さらに、サスペンションも熟成。
そんな新型オデッセイハイブリッドの実力を評価した。

  1. レポートをまとめると…
  2. クラストップレベルの26.0㎞/Lという低燃費を実現
  3. オデッセイ用に改良された高出力化されたハイブリッドシステムを搭載
  4. 高級ハイブリッド車らしい高い静粛性を実現し、歩行者検知式自動ブレーキ「ホンダ センシング」がほぼ標準装備化された

概要

2013年11月にガソリン車のオデッセイが発売された後、約2年半近く遅れて登場したオデッセイハイブリッド。基本的なシステムは、すでに発売されているアコードハイブリッド用と同じ。しかし、遅れて出た分だけ進化した。大きく重いミニバン用に対応するため、より高出力化。2.0Lながら、非力さを感じさせない走行性能をもつ。

この改良したハイブリッドシステムの搭載により、オデッセイハイブリッドの燃費は26.0㎞/Lとなった。これは、ややボディサイズや排気量が小さいハイブリッドシステムを搭載するトヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイアハイブリッド車の23.8㎞/Lを超える燃費値。もちろん、2.5Lハイブリッドシステムを搭載するトヨタ ヴェルファイア/アルファードをも超え、ミニバンクラストップの燃費値となっている。

また、ガソリン車に比べ静粛性を高めているのも特徴。全席で静粛性を高めていて、高級ミニバンであることをアピール。また、歩行者検知式自動ブレーキが一部のグレードを除き標準装備化され高い予防安全性能を得た。

コンセプト・エクステリア

車名はオデッセイだが、クルマそのものはハイルーフでスライドドアのミニバンなので、実際にはエリシオンの後継車になる。そうした流れを受けていることもあり、ホンダのこだわりである低床・低重心がコンセプト。

クルマである以上、低床・低重心は重要。低床であることは、クルマへの乗り降りがしやすく、子供やお年寄りにも優しい。低床にすることで低重心化も進む。背の高いミニバンは、もしもの時に必ず横転の危険性がある。重心を低くすることで、横転のリスクを軽減。また、低重心化はカーブなどで高い操縦安定性をもち運転も楽しくなる。また、乗員も頭を揺すられるケースが少なくなるので、乗車していても疲れないし車酔いもしにくくなる。

こうした低床・低重心フロアを生かし、ルーフを低めに設定しスポーティなシルエットをもっているのがオデッセイだ。全高をむやみに上げても重心は高くなり、クルマは不安定傾向となり、さらに空気抵抗も増え燃費も悪くなるからだ。室内高が一定以上あれば、むやみに背を高くする理由は無い。

ガソリン車では、スポーティな人気グレード「アブソルート」が全体の90%以上を占める。そのため、オデッセイハイブリッドは標準車も用意されているが、限りなくアブソルートに近いデザインとなった。シャープなスポーティさと、押し出し感を融合したホンダらしいフェイスメイクと言える。

インテリア・装備

ハイブリッド化する上で困るのは、ハイブリッド用の大型リチウムイオンバッテリーの設置場所だ。アコードハイブリッドなどは、後席後方にバッテリーを搭載したことで、トランクが狭くなっている。しかし、オデッセイハイブリッドは、1列目シート下にバッテリーを設置。ミニバンの魅力である室内のスペースを犠牲にすることなくハイブリッド化に成功した。

そして、オデッセイハイブリッドのインテリアで最も優れているのは静粛性だ。ガソリン車では、運転席&助手席の静粛性は一定レベルにあったが、2列目から3列目にいくほど騒音レベルは大きかった。ハイブリッド車は、ハイブリッド車の高い静粛性を生かすために遮音材・吸音材を追加するなどし、全席で静粛性を大幅に向上。とくに、3列目シートはまったく違うクルマといえるくらい静粛性が良くなっている。

装備面では、エントリーグレードを除き、歩行者検知式自動ブレーキ「ホンダセンシング」が標準装備された。
ホンダセンシングには車線維持支援システム、路外逸脱抑制機能、誤発進抑制機能なども用意されているので予防安全装備としては高いレベルにある。また、衝突安全装備でもサイドエアバッグ&カーテンエアバッグも標準装備されているので安心だ。

走り・メカニズム

オデッセイハイブリッドのハイブリッドシステムは、すでに発売済みのアコードハイブリッドと同じ「スポーツハイブリッドi-MMD」。EVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードと3つのパターンを最も効率の良い状態で使い分ける。
オデッセイハイブリッドでは、アコードハイブリッド用を大きく重いミニバン用にパワーアップし小型化した進化型を搭載。車重はガソリン車に対して少々重くなっているものの、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクを発生するモーターの特性もあり、なかなか力強い走りを誇る。繊細なアクセル操作が必要だが、中・高速域でEV走行も可能で、この時の静粛性の高さは、高級ミニバンに乗っているという満足感を得られる瞬間だ。

車重がやや重くなったことや、サスペンションの改良もあり乗り心地も快適だ。とくに3列目シートの乗り心地は大幅に改善されていて、良いクルマに仕上がっている。また、全高が1,685㎜という低さからくる低重心化により、このクラスでは最も安定して気持ちよく走れるミニバンに仕上がっている。

お勧めグレード

まず、選択肢からは外すのは標準車のエントリーグレードであるハイブリッドと呼ばれるグレード。このグレードには、ホンダの歩行者検知式自動ブレーキであるホンダセンシングがオプションで右側のパワースライドドアもオプションだ。それ以外のグレードは、それほど装備も悪くなく、予算次第で選べばよいといった状況。

ただし、発売1か月後の受注状況をみると、ハイブリッド車の内90%がアブソルートを選んでいる。とくに短期の乗り換えの場合、こうなるとアブソルートの中から選ぶことをお勧めする。これだけグレード間で人気に差が出ると、リセールバリューも大きな差が付く可能性が高いからだ。
アブソルートには、さらに3つのグレードがある。標準車とアドバンスドパッケージ、EXパッケージがある。標準車でも十分と言える装備だが、LEDアクティブコーナーリングライト、ブラインドスポットインフォメーション、100V AC電源(1500W)などがEXのみの専用装備。これらのどれかを装備したいとなるとEXしか選べなくなる。車線変更時に後側方の車両を検知し警報を出してくれるブラインドスポットインフォメーションは、使う頻度が高く、またミニバンのように死角の多いクルマには便利で安心な装備。また、100V AC電源(1500W)も便利で、とくにアウトドアレジャーでは家電製品がクルマで使えるようになる。また、災害時に電源車として使うことも可能だ。まさに、ハイブリッド車のメリットを生かした装備。予算次第だが、こうなるとEXパッケージを選択肢して、ナビ+リンクアップフリー+ETC車載器をオプションで選ぶと満足度が高くお勧めだ。
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中古車の価格帯(2016年3月時点)
  1. 新型オデッセイ ハイブリッド

    39〜330万円

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ホンダ 新型オデッセイ ハイブリッド
ボディサイズ
(全長×全幅×全高)
4830×1820×1685mm
ホイールベース 2900mm
車両重量 1880kg
排気量 1993cc
最高出力 107kW(145ps)/6200rpm
最大トルク 175N・m(17.8㎏-m)/ 4000rpm
トランスミッション
燃費(JC08モード) 24.4km/l
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自動車評論家 松下 宏(まつした ひろし)

自動車評論家
松下 宏(まつした ひろし)

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。

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