高い安全装備とユニークさで勝負すコンパクトSUV


日産ジューク日産はコンパクトSUVのジュークを一部改良。同時に、特別仕様車を追加し発売を開始した。

日産ジュークの歴史


日産ジュークのデビューは2006年。日産自らニッチ層向けと発言するほど、ジュークのデザインは際立って個性的だった。これだけ好き嫌いのハッキリでるデザインで、SUVなのにFFのみの割り切った設定ということもあり、多くの販売台数は期待できないと思われていた。ところがmデビュー直後からイッキに人気モデルとなる。多い時には7,000台/月弱の販売台数を記録。その後も、コンスタントに2~3,000台/月を販売。国内日産の販売台数を支える1台として成長していく。また、今では多くのモデルが存在するが、コンパクトSUVというマーケットを切り開いたのがジューク。ジュークの登場以降、やや遅れて多くのコンパクトSUVモデルが日本マーケットに投入された。

日産ジュークさすがに、SUVなのにFFだけでは分が悪いいうことになり、その後、1.6Lターボの4WD車16GT FOURなどが追加。1.5Lのジュークに4WDの設定があれば、降雪地域を中心いそれなりの需要が見込めそうなのだが、今も4WDの設定はない。また、全高を1,550㎜にし、全高を低くしたアーバンセレクションも用意。これは、都市部の立体駐車場の全高制限が1,550㎜となっている場合が多いから。立体駐車場を使う都市部の顧客に配慮したグレードだ。そして、2013年1月には、ニスモブランドが復活。ニスモバージョンの第一弾となるジューク ニスモが登場。し、ラインアップを増やしていった。

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次々とバリエーションを追加し、販売増を目指していたジュークだが、2013年に入るとホンダからハイブリッドシステムを搭載したコンパクトSUVであるヴェゼルが登場する。こうした新型のライバルが現れ、ジュークそのものも新鮮味に欠けてきたこともあり、ジュークの販売台数はジリジリと落ちていく。

日産ジュークさらに、マツダがCX-3を投入。クリーンディーゼルの力強さと低燃費性に美しいデザインをもったCX-3は、イッキにコンパクトSUVの人気モデルとなる。低燃費性能では、ライバルに及ばない状況で4WDも無い。環境性能面では、確実に一世代前のクルマとしての印象が強くなった。

そこで、他のライバルに無い手法でジュークのユニークさをアピールしたのが、今回の一部改良だ。まず、歩行者検知式自動ブレーキである「エマージェンシーブレーキ」が全車標準装備された。ライバルのCX-3やヴェゼルには、歩行者検知式自動ブレーキが用意されていない。明確にライバルと差を付けられるのは、この自動ブレーキになる。

国内交通死亡事故の多くは、クルマと歩行者の衝突によるものが大半を占める。当たり前だが、こうした事故の被害者や加害者にはなりたくない。人間はミスするものだ。万が一のミスにこうした自動ブレーキが補助的役割を果たしてくれれば、悲惨な事故は減り、ドライバーのリスクも軽減できる。全車標準装備化すれば、普及は進みより安全なクルマが多く走ることになり、交通安全で社会貢献できることになる。こうした装備は、標準装備化されてこそ意味がある。顧客任せにしていては、多くの自動車メーカーがアピールする交通死亡事故ゼロなど夢のまた夢。そうした意味では、歩行者検知式自動ブレーキの標準装備化は日産の英断だ。

こうした自動ブレーキの他に、特別仕様車「15RX Vセレクション」を設定。ジュークの人気グレード「15RX」をベースにフォグランプ、インテリジェントキー、プッシュエンジンスターター、エンジンイモビライザー、17インチアルミホイールを標準装備。装備を充実させたモデルだ。

同時に、専用2トーンカラーの特別仕様車「ドレスアップ」も用意。ドレスアップは「15RX Vセレクション」「16GT」「16GT FOUR」をベースにアズライトブルーとブリリアントシルバーを組み合わせ、ジュークの個性的なスタイリングを更に刺激的にした。インテリアでは、ライトシルバーの専用内装カラーをセンターコンソール、ウィンドウスイッチフィニッシャーに採用。より個性的なジュークに仕上げている。ルーフの色を変える2トーンカラーは、軽自動車を中心に流行っているが、ジュークは大胆にもボンネットまで塗り替え、より強烈な個性をアピールする。これくらい大胆なことができるのもジュークならではだろう。

日産ジュークそして、注目したい新グレードが追加された。これからの売れ筋グレードとなる期待が高い「ニスモ(NISMO)」だ。ニスモは、ハイパフォーマンスモデルであるニスモRSのテイストを生かしたながら、装備を簡略化し買い得感を与えたモデル。ニスモRSの外観やインテリアパーツでまとめた1台。ニスモ専用の装備として、インテリアに専用スエード調シート(nismoロゴ入り、レッドステッチ付)、専用内装フィニッシャー(シフト周り)を採用。走行性能面では、専用車速感応式電動パワーステアリングや専用サスペンションを搭載。外観通りのスポーティなハンドリング性能と上質な乗り心地、高速安定性を高い次元でまとめている。こうしたグレード設定は、BMWのMスポーツやメルセデス・ベンツのAMGパッケージともよく似ている。

さて、日産ジュークの選び方。人気グレードの15RX Vセレクションの価格は2,020,680円 。ベースの15RXが1,975,320円なので、約4.5万円高。この価格アップ分で、フォグランプ、インテリジェントキー、プッシュエンジンスターター、エンジンイモビライザー、17インチアルミホイールが追加装備されているので、なかなかお買い得な特別仕様車となっている。1.5LのFF車を狙っているのなら、15RX Vセレクションを中心に考えるといいだろう。ただ、歩行者検知式自動ブレーキはついているものの、サイドエアバッグなどは用意されていないのが、いかにも日産らしいところ。サイドエアバックやアラウンドビューモニターを装備すれば十分といえる仕様になるだろう。

そして、新規設定されたニスモの価格は2,971,080円。なんとか300万円を切った価格。ベースとなる16GT FOURに対して約27万円高。プラスされた装備を考えると、かなりお買い得な価格設定だ。しかし、安価な1.5Lの設定は無い。1.5Lのニスモが欲しいと感じる顧客も多いだろう。300万円を切っているとはいえ、このクラスのSUV300万円というのは、よほど好きでないと買えない。ただ、1.6Lターボのパフォーマンスはクラストップといえるもの。CX-3のクリーンディーゼル車には燃費で大負けするが、高回転域でのパワフルさやハンドリング性能はCX-3を上回るものがある。ニスモRSの走りは間違いなく楽しく刺激的だ。

■日産ジューク価格

15RX 1,975,320円
15RX Vセレクション 2,020,680円
15RX Vセレクション パーソナライゼーション 2,090,880円
15RX Vセレクション ドレスアップ 2,130,840円
15RX Vアーバンセレクション 2,204,280円
15RX Vアーバンセレクション パーソナライゼーション 2,274,480円
16GT 2,426,760円
16GT パーソナライゼーション 2,496,960円
16GT ドレスアップ 2,528,280円
16GT FOUR 2,700,000円
16GT FOUR パーソナライゼーション 2,770,200円
16GT FOUR ドレスアップ 2,801,520円
NISMO 2,971,080円
NISMO RS 3,468,960円