レクサスRX

<歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化され、ようやく一定水準の安全性能を得た>

レクサスRXレクサスは、SUVのRXをフルモデルチェンジし発売を開始した。

レクサスRXは、これで4代目。初代と2代目は、国内でも発売されていたハリアーだった。3代目になり、ハリアーとは決別しレクサス専用モデルとなる。レクサスRXは、その歴史から基本的に北米をターゲットにしたモデルとして開発されている。北米では、セグメントナンバー1にも輝くほどの人気モデル。レクサスブランドの基幹車種ともいえる重要なモデルだ。

日本マーケットでは、ハイブリッドモデルが多少人気を集めたが、600万円を超える高価な価格帯ということもあり、販売台数はそれほど多くない。当然、北米をターゲットにしたモデルであるため、ボディサイズが大きい。日本では、ひとクラス下のNX が人気で、今やNXは、国内レクサスの基幹車種ともいえる存在に成長した。

そのため、新型RXは日本マーケットのことは、それほど考えられていない。フルモデルチェンジでは、ただでさえ大きかったボディサイズが、さらに拡大された。新型RXのボディサイズは全長4,890×全幅1,895×全高1,710㎜。このボディサイズは、先代と比べると全長+120㎜、全幅+10mm、全高+20mmとなっている。さらに、ホイールベースは、2,790㎜となり50㎜延長された。こうしたことで、前後シートのカップルディスタンスは+18㎜とやや広くなった。

このボディサイズの拡大は、室内スペースの確保というようりは、主にデザインに使われた。デザインコンセプトは「Seductive Strength」“色気のある力強さ”だ。拡大されたボディサイズにより、タイヤサイズが拡大され、上級グレードでは、20インチホイールを履きSUVらしい力強さをアピールする。SUVは、タイヤサイズが大径の方がカッコいいという要望によるものだ。ライバル車の多くも20インチホイールが用意されている。

レクサスRX新型RXのボディ全体は、非常に複雑なキャラクターラインがいくつも入れられている。その造形は、ボディを削り出したような塊感あるものとなっていて、力強さを感じるものとなった。これだけ複雑なボディパネルを組み合わせること自体、非常に難しく、大量生産を可能としたトヨタの生産技術は非常に高いレベルにある。

インテリアは、ホテルのラウンジのような解放感とラグジュアリーな空間で満たされている。レクサスインテリアの基本であるインストルメントパネルの水平軸を低い位置にしっかり通し、ワイド感と開放感のある骨格を表現。太めのセンターコンソールは、SUVらしいタフネス感をアピールする。

注目したいのは、センターコンソール上部に鎮座した超大型の12.3インチのワイドディスプレーだ。画面がこれだけ大きいと、視認性に優れて、高齢者にも非常に見やすく安全面でもメリットは大きい。ただし、相変わらず微妙なのがレクサスが採用するリモートタッチ。節度感がなく、グニャグニャした操作フィーリングは今ひとつ。それでも、クラウンなどに使われているタッチパネルよりは、姿勢や視点変化量が少なく安全面では優れている。

新型RXに搭載されるパワーユニットは2つ。旧型にあった2.7Lと3.5Lのガソリンエンジンがラインアップから姿を消した。この旧世代のエンジンに代わって投入されたのが、新世代ダウンサイジングターボの2.0Lエンジン。NXと同じ8AR-FTS型だ。238ps&350Nmという出力とトルクを誇る。RX200tの燃費は2WDが11.8㎞/L、AWDが11.4㎞/Lとなっている。

レクサスRX従来からあったハイブリッドシステムは、進化型が搭載された。新型RXのハイブリッド車450hは、システム出力313psを誇り、先代の299psに比べ大幅にパワーアップした。この出力向上は、主要部品を一新したエンジンによるもの。また、さすがトヨタと感じさせる部分は、パワーアップしながら先代の17.4㎞/Lから新型は18.8㎞/Lと燃費を向上させている点だ。燃費と出力、両方を向上させているのは高く評価できる部分だ。

安全装備面では、ようやく多くのライバルと同等レベルになった。新型RXには、レクサスの自動ブレーキ関連の安全装備であるレクサス セーフティシステム+が装備された。これは、トヨタ セーフティセンスPと同じで、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたもの。歩行者検知機能をもつ自動ブレーキの他、車線キープをアシストするレーンキーピングアシスト、全車速追従式レーダクルーズコントロールなどが用意されている。この機能を新型RXは、全車に標準装備した。ただし、後側方の隣接する車線から接近する車両を検知するブラインドスポットモニターと同様な機能が一部でオプションとなっているのは残念。ライバル車などは、こうした装備が標準装備されている場合が多く、その点でレクサスは高級車なのに、安全思想は低い水準にいる。

また、新型RX には、走行性能を重視したFスポーツがRX200tとRX450h両方に用意されている。Fスポーツは、専用のスポーティなエアロパーツやメーター、シートなどが用意されたグレード。少々違和感があったのが、ハイブリッド車に搭載されたサウンドジェネレーター。ハイブリッド特有の静かな車内に、わざわざエンジン音を聞かせるというのが少々疑問。こうした装備こそオプション装備にするべきだ。同じくハイブリッド車には、電動アクティブスタビライザーを装備。電動で素早く車両のロールを制御するというもの。これによって、フラットでスムーズな車両姿勢を保つ。

さて、レクサスRXの選び方。RXでは、まずエンジンの選択からだ。エンジンの選択で、予算が大きく異なる。ハイブリッド車かガソリン車かで、価格差は100万円を超える。ただし、ハイブリッド車はエコカー減税免税モデルなので、実際の支払総額では20万円程度差が縮まる。それでも約80万円もの差となる。

ガソリン車とハイブリッド車、予算を抜きに考えるのなら、やはりハイブリッドのRX450hがお勧めだ。RX200tでも350Nmというトルクがあるので、十分といえる加速性能をもつものの、車重が2トン越えのRXでは余裕があるとはいいがたく、やはりハイブリッド車の方が高級車に相応しい余裕を感じる。当然、燃費も良いので給油回数も減り、ランニングコストや時間の節約面でも満足度は高い。もちろん、リセールバリューもハイブリッド車の方が期待できる。

グレード選びでは、Fスポーツがお勧めだ。日本マーケットでは、こうしたエアロを装備したスポーティなグレードが好まれる。メルセデス・ベンツならAMGパッケージや、BMWならMスポーツなどが高い人気を得ており、結果的にリセールバリューも高くなっており、短期間での乗り換えにも有利だ。

注意したいのが安全装備。自動ブレーキやエアバッグ類は問題ないが、バージョンL以外には、後側方の隣接車線から接近する車両を検知。この状態で、気付かず車線変更をしそうになると警報を発するブラインドスポットモニターがオプション装備となっている。この装備は、夜やトンネル、薄暗い道などで効果があり、日常的に安全確認ができるので、非常に高い安全性を担保する。とくに、死角が多くなる大型のSUVには必須アイテムだ。他の輸入車では、標準装備が当たり前の装備。オプションで選択しておかないと「レクサスって、高級車なのにこんな装備も付いてないの?」とライバル車に乗るオーナーに言われてしまうかもしれない。

■レクサスRX200t価格

・RX200t 2WD 4,950,000円/AWD 5,210,000円
・RX200t“version L” 2WD 5,950,000円/AWD 6,210,000円
・RX200t“F SPORT” AWD 6,050,000円

■レクサスRX450h価格
・RX450h 2WD 6,025,000円/AWD 6,285,000円
・RX450h“version L”2WD 7,025,000円/AWD 7,285,000円
・RX450h“F SPORT”AWD 7,425,000円