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悩ましき2台 トヨタ ヴォクシー と ホンダ ステップワゴン


クルマ選びって楽しいですよね。でも、最後に選ぶ決め手ってなんだろう?って思うこと、ありませんか。このコーナーは、クルマ選びで悩み疲れたそんなアナタの背中をドーンと押しちゃいます。迷える子羊よ、存分に迷いたまえ・・・・

今回は、いまや日本のスタンダードカーともなった、5ナンバークラスミニバン。限られたサイズの中で考え抜かれた使い勝手と優れた燃費を持たねばならず、各社とも熾烈な競争を繰り広げています。2014年にトヨタはノア・ヴォクシーを、そして今年2015年はホンダはステップワゴンを刷新しました。そこで今回は互角の勝負を繰り広げる最新のこの2台を比べてみましょう…うーん、果たしていったいどっちを選んだらいいのでしょうか!?


◆2台の大きな違いは?


ノア・ヴォクシーからヴォクシーに車種を絞ってみましょう。ノアよりも少しアグレッシブな印象を与えられたトヨタの5ナンバークラスミニバン・ヴォクシーは、エアロ仕様であるZS系でなくてもエアロ風のルックスを持ちます。ステップワゴンもエアロ仕様のスパーダ系とノーマルのラインの2種を持ち、ユーザーの好みに合わせた商品展開をしています。

いずれもFF(もしくは4WD)で直4エンジンをフロントに横置きする7人(8人)乗りという基本スペックは変わりませんが、2リットルガソリンエンジン以外にもトヨタお得意のハイブリッドモデルを持つヴォクシーに対して、ステップワゴンはエンジンをダウンサイジングして1.5リットル+ターボとしたのが新しいところです


◆ヴォクシーに死角なし?

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ボディを5ナンバー枠いっぱいにひろげた新型ヴォクシー。先代比で室内高を+60mmアップ、窓を大きくして視界を拡大したり、ボンネットを四角くして見切りを良くして運転のしやすさを追求したほか、乗降性を改善するなどと見えるところ見えないところでの涙ぐましいまでの改良が行われています。

シートアレンジももちろん考え抜かれていて、ワンタッチ跳ね上げの3列目シートはもちろんのこと、7人乗りでは2列目を寄せて810mmも後部にスライド出来るようになっています。大柄なクルマで気になる燃費も、23.8km/lを誇るハイブリッド仕様が用意されていることもあり、まさに全方位死角のない一台と言えるでしょう


◆若々しさとアイデア溢れるステップワゴン

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5代目となったステップワゴンの目玉は、リアゲート。これまで5ナンバークラスミニバンは跳ね上げ式のゲートが主流だったのですが、大きく重いだけでなく開ける時のスペースも結構必要でした。そこでホンダはリアゲートに工夫をしました。ゲートの片側を車体の真ん中あたりを軸にしてドアのように開くようにしたのです。これなら駐車スペースの狭いところでも問題ありません。

しかも3列目シートはワンタッチで床下に収納出来ちゃうので、リアゲートから乗り降りするといった楽しいことも可能。また、このリアゲート、今までのようにふつうに跳ね上げもOKなのです。「わくわくゲート」っていうネーミングがまさにぴったりです。


◆決め手は、どこに!?


相手を研究し尽くしてあるだけあって装備も性能も価格も安全性もほぼ互角。細かく違いをあげていけば、1.5リッターVTEC+ターボエンジンによる扱いやすさはステップワゴン、ハイブリッドの設定ではヴォクシー(価格はあがるが)、シートアレンジではヴォクシー、でもリアゲートはステップワゴンのほうが面白いし、安全面では後発であるステップワゴンに一日の長あり・・・となるのですが、あげればあげるほど悩みが増える感じです。まさに迷える子羊状態になってしまいますよね。

となると、やはり決め手は「好き」「ここが気にいった」「デザインはこっちがいい」「自分に似合う」「トヨタが好きだ」「ホンダが好きだ」という感覚的なところになってくるのではないかと思います。ここからは私感ですが、ぼくならステップワゴンを選びたいです。外観ならエアロ系だとスパーダのほうが洗練されているように感じますし、ノーマルなら凝ったデザインながらもおとなしい雰囲気が漂います。

ヴォクシーももちろんとても良く出来たクルマですが、ダウンサイジングを敢行したりリアゲートに新しいアイデアを持って来たステップワゴンは、ホンダのもつ「何かしてやろう」的なチャレンジスピリッツが垣間見えてついつい嬉しくなってしまうのです。こんな風にクルマづくりの考えた方で選ぶ、という選択もありではないでしょうか。


◆ 迷える子羊よ、迷いは消えただろうか


ということで、迷っているアナタ、いかがでしたでしょうか。気になったらぜひ現車に乗り、触れ、いろいろ感じてみてくださいね。
くるま選びは楽しくもあり、そして悩むもの。これからもいろいろな視点でのクルマ選びをこのコーナーで提案出来たら、と思います。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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