フォード フォーカス

<1.5Lエコブーストエンジンが搭載され、180ps&240Nmを発揮。燃費は、やや良くなり14.3㎞/Lに向上!>

フォードフォーカスフォードは、Cセグメントに属するコンパクトカーであるフォーカスを大幅マイナーチェンジし発売を開始した。

フォード フォーカスは、2013年に登場した。一時、日本から撤退したフォーカスだったが、現行モデルにフルモデルチェンジしたことをきっかけに、再び日本マーケットに投入された。3代目となった新型フォーカスは、フォードのデザインテーマであるキネティックデザインが採用され、キレのある躍動感をもつユニークなデザインをもつ。

フォーカスが属するクラスは、欧州などでCセグメントと呼ばれている。このクラスは、欧州だけでなく日本でも激戦が繰り広げられている。VWゴルフやメルセデス・ベンツAクラス、ボルボV40などが多くのライバルが存在し競い合っている状態だ。フォードと言う車名からどうしてもアメ車てきなイメージが強くなるフォーカスだが、こうしたCセグメントに属するライバルと戦うために、非常に走行性能が優れたクルマなのも特徴だ。とくに、スポーティなハンドリング性能には定評がある。

そんなデビュー当時のフォーカスには、2.0Lの自然吸気エンジンが搭載されていた。170ps&202Nmを発揮し、なかなパワフルなエンジンで6速のツインクラッチミッションと組み合わされていた。ただし、日本仕様を生産するタイの工場の都合でエコブーストエンジンの搭載が見送られていたのだ。デビュー当時、すでにダウンサイジングターボエンジンが全盛ともいえる時期だったのに、やや時代遅れのエンジンを搭載せざる負えない状況だったのだ。

今回大幅改良されたフォーカスには、ようやく1.5Lのエコブーストエンジンが搭載された。この直4 1.5Lターボエンジンは、180ps&240Nmという出力を誇る。2.0Lエンジンに対して10ps&38Nmのアップとなっている。燃費は14.3㎞/Lとなった。つい最近発売されたばかりのボルボV40 T3も1.5Lターボエンジンを搭載しており、152ps&250Nm、燃費16.5㎞/Lとなっている。フォーカスは、V40 T3と比べると燃費で大きく引き離されているものの、パワーで圧倒していることが分かる。また、最高出力の発生回転数もフォーカスが6,000回転なのに対して、V40 T3が5,000回転。フォーカスは、燃費性能というよりはパワー重視のエンジンといえる。

このパワフルなパワーユニットに組み合わされているミッションは、従来のツインクラッチタイプからパドルシフト付きの6速ATへと変更されている。

パワーユニットの変更だけでなく、足回りも進化した。ボディやサブフレームの剛性強化、サスペンションジオメトリーの最適化、ショックアブソーバーのチューニングによって、より俊敏性を向上している。従来から俊敏性の高いフォーカスが、さらにキレのある走りをもつようになった。同時に、乗り心地性能の向上も行われている。

フォードフォーカス安全装備面では、自動ブレーキのアクティブ・シティ・ストップが進化。対応速度が従来の30㎞/hから50㎞/h以下へとアップし、より安全性が高められている。しかし、残念ながら、歩行者検知式の自動ブレーキではない。フォーカスの安全装備が進化したのは良いことなのだが、まだまだ性能的には物足りない。トップクラスの安全装備をもつV40 T3に比べると、大きな差が付いてしまっている。さらに、安全装備はグレードにより差が付けられている。上級グレードの「Sport+ EcoBoost(スポーツプラス エコブースト)」には、車両と一定の車間距離を保ちながら、設定速度に従って加減速を自動で行うアダプティブ・クルーズコントロールや縦列駐車および後退による車庫入れ駐車時のハンドル操作を自動で行うアクティブ・パークアシスト、さらに車線逸脱補正システムであるレーンキープ・システムなどが標準装備された。

デザイン面も随分変化が見られる。新世代のフォード・グローバル・デザインDNAが注ぎ込まれ、大型の台形グリルやエンジンフード中央部が隆起した「パワードーム」デザインが採用された。ヘッドランプもよりシャープな形状のものに変更。リアのテールランプデザインも変更されている。どちらかというと、随分洗練された印象は出たが、大幅変更前のモデルの方がユニークさが際立っていた。

フォーカスのグレードは2タイプが用意されている。価格はSport+ EcoBoost(スポーツプラス エコブースト)が3,490,000円。Sport EcoBoost(スポーツ エコブースト)が3,090,000円となっている。価格差は40万円。お勧めは、上級ミニバンのスポーツプラス エコブースト。エントリグレードでは、前車追従タイプのアダプディブクルーズコントロールやアクティブパークアシスト、本革シート、パワーシート、レーンキープシステム、リアビューカメラ、360度センシングシステムなどの魅力的な装備がない。これだけの装備が標準装備化されて、40万円の差であるなら十分納得できる金額と言える。

フォーカスの弱点は、なんといってもリセールバリューが弱いところ。クルマそのものの出来はいいだけに残念なポイント。そのため、短期での乗り換えには向かないクルマ。乗り潰すのであれば、何の問題も無い。逆に言えば、中古車になったときのバリューは非常に高い1台だ。フォーカスの優れたハンドリング性能は、多くの自動車メーカーがベンチマークしているほどだ。

■フォード フォーカス価格

・フォーカスSport+ EcoBoost(スポーツプラス エコブースト) 3,490,000円
・フォーカスSport EcoBoost(スポーツ エコブースト) 3,090,000円