フォルクスワーゲンビートル

<メルセデス・ベンツに大敗! フォルクスワーゲン グループ ジャパンの社長が退任するほどの一大事!>

フォルクスワーゲンザ・ビートル「ゴキゲン♪ワーゲン」とブランドCMを積極的に行っているフォルクスワーゲンだが、2015年の販売状況はまさに「フキゲン♪ワーゲン」状態に陥っている。

フォルクスワーゲンは、15年連続で輸入車販売台数ナンバー1を続けてきたが、今年の上半期にはメルセデス・ベンツに首位の座を奪われた。それも、輸入車の中で一人負け状態。16年連続輸入車販売台数ナンバー1に赤信号が点滅したのだ。

フォルクスワーゲンの本国ドイツから見れば、大衆車でもあるフォルクスワーゲンがより高額な価格帯となるメルセデス・ベンツに販売台数で負けるというのは、あり得ない状況だ。その結果、この責任を取るかたちになり、フォルクスワーゲン グループ ジャパンの庄司社長は辞任している。現状はまさに「フキゲン♪ワーゲン」なのである。

そうした状況下の中で、フォルクスワーゲン は、フォルクスワーゲンのアイコンとも呼べる「ザ・ビートル(The Beetle)」 のエントリーグレードとして、「ザ・ビートル・ベース(The Beetle Base )」を新設定し発売を開始した。

ザ・ビートルは、2012年に日本デビューし3代目ビートルとなった。新設定されたザ・ビートル・ベースの価格は、2,299,000円。ザ・ビートルシリーズ中、最安値のグレードとなっている。

フォルクスワーゲンザ・ビートルこの新グレードであるザ・ビートル・ベースの装備は、なかなか割り切った超シンプル仕様となっている。ひとつ上のグレードのザ・ビートル デザインと比べると、スタティックコーナーリングライトやオートライト、フォグランプ、レインセンサー、自動防眩ルームミラー、スマートエントリー、クルーズコントロール、レザー巻きのステアリング/ハンドブレーキ/シフトノブ、アルミホイールなどが省かれている。 シンプル仕様とはいえ、安全装備であるサイドエアバッグが省かれていない点などは、好感がもてる仕様だ。

ひとクラス上のザ・ビートル デザインとの価格差は約30万円。この装備差が30万円分相当分に相応しいかというと、少々微妙。フォルクスワーゲンは、このエントリグレードであるザ・ビートル・ベースの価格設定を、とにかく230万円を切った価格にしたかったのではないだろうか。

輸入車を買う顧客の多くは、充実装備のグレードを選ぶケースが多いことを考えると、ザ・ビートル ベースは、それほどビートルのラインアップ上、重要なグレードになるとは思えない。このグレードは、いわゆる囮グレードの可能性が高い。どのメーカーもやっている手法だが、ほとんど売るつもりの装備を簡略化した安価なグレードを設定。テレビCMやチラシなどで、とにかく価格が安いことをアピールするために使う。こうすることで、店舗に行くきっかけを生み出している。

同時に、売れ筋グレードとなるザ・ビートル デザインも変更を受けた。従来モデルよりレインセンサー、オートライトシステムや、スマートエントリー&スタートシステム“Keyless Access”を新たに装着しながら、価格を49,000円下げ、260万円とした。

まず、安価なザ・ビートル ベースで来店させ、実際に買わせるのは売れ筋グレードであるザ・ビートル デザインということになる。ザ・ビートルデザインの価格も引き下げているので、より魅力的に見える。

トップグレードともいえるザ・ビートルターボは、従来標準装備していたナビゲーションシステムをオプション化。顧客ニーズの高かったオプション「Coolsterパッケージ」(3連メーターやバイキセノンヘッドライトなど)を、標準装備し価格を266,000円下げ、3,349,000円という価格設定としている。このモデルは、なかなかお買い得感のある設定となっている。

フォルクスワーゲンザ・ビートルフォルクスワーゲンは、2015年1月にザ・ビートル など一部の車種を除き価格を引き上げた。本来ならば、実質価格引き下げという逆な戦略を取る理由はどこにもない。それほど、メルセデス・ベンツとの戦いが厳しということが予想できる。この戦術で、ザ・ビートルの販売台数が伸びれば、他の車種もこうした戦術を取る可能性もあるだろう。

また、ビートルの価格引き下げだけでなく、主力のポロやゴルフ、ゴルフヴァリアント を対象に金利0%、メンテナンス費用3年間ゼロという「ゴキゲン♪ゼロゼロキャンペーン」を実施中だ。こういうキャンペーンは、クルマが売れていない、もしくはもっと売りたいというときに始まる。販売台数が厳しい現在、とにかく売りたいというフォルクスワーゲンの悲痛なメッセージでもある。

このことから、今は買い手が有利。フォルクスワーゲン車を狙っているのなら、今が買い時だ。メルセデス・ベンツのFF系であるAクラスや、マツダのクリーンディーゼル車、トヨタのハイブリッド車などと競合させれば、大幅値引きも可能だろう。

■フォルクスワーゲン ザ・ビートル(The Beetle)価格

・The Beetle Base(ザ・ビートル・ベース) 2,299,000 円
・The Beetle Design(ザ・ビートル・デザイン) 2,600,000 円
・The Beetle Turbo(ザ・ビートル・ターボ) 3,349,000 円