1429618819<欧州車のトレンドであるダウンサイジングターボエンジンを搭載し19.4㎞/Lという低燃費を実現!>

トヨタオーリストヨタのコンパクトカーであるオーリスがマイナーチェンジし発売が開始された。

初代オーリスは、欧州のCセグメントに挑戦するため2006年に初代がデビュー。Cセグメントは、フォルクスワーゲン ゴルフなどの強敵がしのぎを削る激戦クラス。そのため、「直感性能」を開発テーマに、徹底的に走りを磨いたモデルとして登場した。

しかし、日本では輸入車以外でこのクラスの5ドアHB はニーズが無く販売台数は低迷する。そんな環境下にあり、2代目トヨタ オーリスが2012年8月にデビューした。2代目は初代オーリスのイメージをまったく感じさせないデザインとなった。まず、全高を55mm下げた低重心フォルムとなり「キーンルック」と呼ばれるトヨタ独自のデザインが採用されている。カッコいいのか悪いのかは好みがあるので何とも言えないが、個性的になった。それでも、オーリスは売れない。直近1年では、1,000台/月の販売台数にも満たないトヨタブランドでは珍しいクルマでもある。

今回のマイナーチェンジは、1.5Lと1.8Lのガソリンエンジンに加え新開発の1.2L直噴ターボエンジン(8NR-FTS)が搭載された。このエンジンが搭載されたグレードは「120T」と呼ばれ新設定された。この新エンジンは、いわゆるダウンサイジングターボエンジンで、1.2Lながら1.8Lガソリン車並みの最大トルク185Nmをわずか1,500回転で発生し116psを発揮する。ライバル車であるゴルフなどと同じタイプのエンジンだ。ゴルフは、105ps&175Nmと出力はオーリスが勝っている。

オーリス120Tの燃費は、19.4㎞/Lとなった。1.8L並みの最大トルクながら、1.8L車180Sの16.2㎞/Lという燃費を上回る性能をもつ。ただし、カタログ値ではゴルフの燃費21.0㎞/Lには負けている。

トヨタオーリス日本でも期待されるエンジンのように思えるが、なんとこの新エンジンはハイオク仕様となっている。オーリスの主戦場が欧州なので、欧州のガソリン事情に合わせた仕様としたものをそのまま日本に持ち込んでいるのだ。もはや、国内で売られている国産車のほとんどがレギュラーガソリン仕様。スバルも1.6Lのダウンサイジングターボエンジンは、国内向けにレギュラーガソリン仕様としているくらいだ。

ゴルフも同じなのだが、燃費が良くてもハイオク仕様でガソリン代がアップするのであれば顧客のメリットはあまりなくなる。輸入車は趣味性が強いことや、高価帯なので許されているところがあるが、国産車はそうはいかない。グローバル化とはいえ、日本のメーカーであるトヨタが日本マーケットに合わない仕様のクルマを導入していることになる。欧州のオーリスにはハイブリッド車が設定されている。欧州で支持されるダウンサイジングターボより、国内で支持されるハイブリッド車を導入したほうが売れるのではないか? とさえ感じる部分だ。

また、価格設定も約259万円と高価。ゴルフのエントリグレードより約5万円安いという設定だ。装備類が若干違うものの、国産車の価格優位性は感じられない。この価格設定も、オーリスを選ぶ難しさの要因となっている。

今回のマイナーチェンジで評価したいのは、早々にトヨタの自動ブレーキ関連の安全装備「トヨタ セーフティセンスC」が装備されたこと。カローラ系に引き続き、トヨタ車では2番目となる。ただ、このトヨタ セーフティセンスCは、価格も安い普及型として安全に寄与するとしているトヨタだが、1.2Lターボと1.8L車には標準装備されているものの、1.5L車にはオプションとなっている。普及型というのであれば、全車標準装備であってほしいところだ。

トヨタオーリスさて、オーリスの選び方。新1.2Lターボエンジンを搭載した120Tは、約259万円とかなり高価な価格。ゴルフのトレンドラインが264万円なので、価格差は微妙。使う燃料はどちらもハイオク。装備類は、それぞれ一長一短。ミッションはオーリスがCVTなのに対して、ゴルフはツインクラッチタイプのDSGなので、このあたりのフィーリングは大きく違う。この2車種は、まずは試乗して決めたらいいだろう。

そして、メインは1.5Lガソリンエンジン車。1.8LやRSになるとリヤサスペンションもグレードアップされるものの、価格が約238万円からと高価。アクセラの2.0Lエントリグレードなら228万円で買える。RSはMT車という価値はあるものの、ハイオク仕様でもそれほどエンジン出力も高くない。

1.5Lは、1.5Xのみに4WD の設定もある。1.5Xには、さらにCパッケージとSパッケージが用意されている。Cパッケージは、装備をやや簡素化したグレードになるので、ビジネスユース以外は選びにくい。Sパッケージは、LEDヘッドライトやアルミホイールが装備されている上級仕様となるので、満足度の高いグレードだ。1.5Lは自動ブレーキ関連の安全装備トヨタセーフティセンスCがオプション設定なので、これは必ず選択したい。安全面だけでなく、恐らく、これから自動ブレーキが装備されていない場合、リセールバリューが低くなる可能性が高いからだ。実際のオーリスの購入時には、ゴルフだけでなくアクセラも試乗して決めるといだろう。この3車を競合させれば、値引き額もよりアップすると可能性もある。

■トヨタ オーリス価格
・150X FF 2WD CVT 1,892,945円/“C Package”1,789,855円/“S Package”2,085,382円
・150X FF 4WD CVT 2,087,345円/“C Package”1,984,255円/“S Package”2,279,782円
・180S FF 2WD CVT 2,376,000円
・RS FF 2WD 6MT 2,460,437円
・120T FF 2WD CVT 2,590,037円