
<新エンジン搭載でさらに燃費向上、その上、最新の安全装備も装着した大幅マイナーチェンジ>

現行フォルクスワーゲン ポロは、2009年10月に日本でデビューした。当初は、現在のダウンサイジングターボであるTSIではなく、1.4L自然吸気ガソリンエンジンと7速DSGの組み合わせだったのだが、1年も経たず2010年6月に1.2LのTSIエンジンが搭載された。
このTSIとツインクラッチ機能をもつATのDSGという組み合わせによる低燃費性能や、日本でも使いやすく全長4mに満たない小さなボディサイズでありながら、広い室内とシッカリとしたハンドリング性能は、まさに隙のないコンパクトカーとして高く評価された。その結果、「2010-2011 日本カー・オブ・ザ・イヤー インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。スタイルこそ、やや地味目なのだが、まさにクルマとしては「完璧」とプロを唸らせる完成度を誇っていた。
その後もポロの改良は続く。スポーツモデルのポロGTI の追加やエンジン改良が小まめに行われた。そして、2013年9月には、気筒休止システムであるアクティブシリンダーマネジメント(ACT)を採用した1.4L TSIエンジンを搭載したポロ ブルーGTがデビュー。低燃費性能と高い走行性能を両立したモデルが投入されている。デビューから、4年でいったい何回エンジンの改良や新モデルが追加されたか分からないくらい、地道に進化させてきたクルマがポロなのだ。
今回のマイナーチェンジでは、更なる進化を目指しエンジンを刷新。ほぼ別物の1.2L TSIエンジンが搭載された。従来のSOHC 8バルブから、DOHC 16バルブに。さらに、前方吸気/後方排気のレイアウトに変更されている。そうした変更により、最高出力は 66kW(90PS)/4,400~5,400rpm、最大トルクは160Nm/1,400~3,500rpmとなった。
このパワーとトルクは、従来モデルのエンジンと比較すると15PS、15Nmダウンしている。扱いやすさは維持しながらパワーダウンすることで燃費性能を約5%向上しているといった印象だ。燃費は22.2㎞/Lとなった。ドンと押し出すような豪快なトルク感は薄れ随分マイルドになった印象だ。パワーダウンによって、実際の加速力は遅くなったようにも感じるのだが、高回転域が苦手だった従来モデルと比べると、高回転まで気持ちよく回るようになった。その分、エンジンを回した時のフィーリングはかなり良くなったのが特徴だ。

また、前方の車両との車間をミリ波レーダーで監視し、自動的に加減速を行って車間を調節する「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」もコンフォートラインにオプション設定。この機能は、ドライバーの長距離走行の負担を軽減してくれるので、高速道路での移動が多い人にはお勧めの装備だ。

国産コンパクトカーの場合、ポロと比べる車種はハイブリッドかクリーンディーゼルになる。これらの国産車の多くは、安全装備がほとんどオプションなので、ポロ並みの装備にすると限りなくポロに近くなる。さすがのポロも、燃費性能ではハイブリッドとクリーンディーゼルには対抗できない。また、ポロは輸入車なのでハイオク仕様となる。そのため、燃費性能や燃料費重視というのであれば、ハイブリッドかクリーンディーゼルという選択になるだろう。走行性能と安全装備はポロが優勢、燃費や燃料費では国産コンパクトが有利。どの部分を重視して選ぶのかが重要だ。
■価格:ポロ TSI コンフォートライン:2,239,000円/ポロ TSI コンフォートライン アップグレードパッケージ:2,495,000円
ポロのカタログ情報
- 現行モデル
- 平成30年3月(2018年3月)〜現在
- 新車時価格
- 209.8万円〜362.1万円