フォードエコスポーツ<個性的なスタイリングに1.5Lエンジン+デュアルクラッチ6速ATを搭載。やや品質に不安も>

フォードエコスポーツエクスプローラーやクーガというSUVラインアップをもつフォード。そのSUVラインアップ中、最もコンパクトな SUVが、この新型エコスポーツだ。

Bセグメントと呼ばれるクラスに属するエコスポーツのボディサイズは、全長4,195×1,765×1,655mm。昨今人気のこのセグメントには、続々と新型車が送り込まれており、同じ輸入車ライバルは、プジョー 2008 やルノー キャプチャー 、フォルクスワーゲン クロスポロ などがある。このサイズのSUVでは、国産も新型車が投入されており、1.5Lエンジンと1.5Lエンジン+ハイブリッドの組み合わせをもつホンダ ヴェゼルが2013年末に登場。ユニークな存在として人気モデルとなっていた日産 ジューク を脅かす存在となっている。また、元祖コンパクトSUVともいえる三菱RVRもある。

このクラスは、本格派SUVという視点だけではなく、SUV的なアウトドア的ライフスタイルを取り入れたいということもありFF車が中心。FFだと4WDに比べ、価格も安い。さらに、背が高いことによる運転中の視界の良さも美点。セダンやコンパクトでは、あまりに面白みがないと考える顧客に支持されている。

搭載エンジンは、1.5Lで111ps&140Nmを発生する1.5L Ti-VCT。これにデュアルクラッチの6速パワーシフトを搭載。燃費は14.5㎞/Lだ。この燃費は、エコという名にあまり相応しくなく、ヴェゼルが20.6㎞/L、ジュークが18.0㎞/Lと同じ1.5Lエンジンでも大きく引き離されている。日本で戦うには少々物足りない数値といえる。実燃費に期待するしかない。

エコスポーツも他の輸入コンパクトSUVと同様に、4WD車はなく、FFモデルのみの設定となっている。FFのみとはいえ、カッコだけのSUVではないのが特徴。アプローチアングル25度、デパーチャーアングルは35度、ロードクリアランス180mmとなっていて、ちょっとしたオフロード走行も想定された機能的デザインが特徴だ。

エクステリアデザインは、さすがフォードと思えるほど存在感のあるものだ。新世代グローバル・デザインテーマ「New Global Design Language」が反映された躍動感あふれるものとなっている。

面白いのは、リヤビューに背面タイヤが装備されていること。今時のSUVには無いユニークな存在だ。背面タイヤが装備されていることもあり、ハッチゲートは上方に開くのではなく横開きとなっている。

フォードエコスポーツインテリアは、近未来感のあるデザインを採用。シルバーの加飾を使い、ハイコントラストな仕上げで、スポーティにまとめている。ただし、ナビの装着場所が無い。ダッシュボードに置くタイプか、スマフォを使ったナビ用フォルダーなどがディーラーオプションで用意されるという。

こういったところがフォードが日本マーケットに対して真剣に取り組んでいない部分。本国フォードは、日本フォードの要望をシッカリと聞き、製品に反映する体制を取らなくてはならない。走行性能では、非常に優れたハンドリング性能などをもつクルマだけに残念な部分だ。

安全装備は、ESPや運転席ニーエアバッグなど7つのエアバックを装備。一定水準以上の装備が用意されているので安心だが、追突被害軽減自動ブレーキなどは用意されていない。

エコスポーツグレードは、タイタニアムの1グレードのみ。価格は246万円。生産はインドのチェンナイ工場。この工場から、日本や欧州などに輸出されている。この工場での品質が少々不安がある。エコスポーツの試乗時に、ダッシュボード奥に傷があったり、インテリアのパネル類の合わせ面にバリが残っていたりと、最近では見たことのないような作りこみの粗さがあった。こういった部分は、徐々に改善されていくとは思うが、実際に購入するときはこのあたりもチェックしたほうがよい。

また、BセグメントのSUVの魅力は、小さいボディを生かした機動性。しかし、エコスポーツの最小回転半径が5.5mと日産セレナ などのミニバン並みだ。小さいのに小回りが苦手では意味がない。エコスポーツだけでなく、プジョー2008も5.5m。ジュークやヴェゼルも5.3mとなっており、イマイチな結果。しかし、クロスポロは4.9mと卓越した機動性をもつ。コンパクトカー を選ぶ場合、こういった指標も参考にしてクルマを選ぶと良い。