確かに36.4km/Lとアクアの35.4㎞/Lを超えたものの、ナンバー1燃費になったのは一部モデルのみ
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そんな屈辱を受けたホンダは、わずか3年でまったく新しいハイブリッドシステムであるスポーツ・ハイブリッドi-DCD(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)を新開発し、新型フィットハイブリッドに搭載した。この新システムは、IMAと同じく1モーター式が採用されている。ここはホンダのこだわりの部分で、コンパクトカーに求められる軽量、スペース、価格を考えると1モーター式が最適と判断された。
搭載されるエンジンは、1.5Lのアトキンソンサイクルエンジン。この高効率化されたエンジンに、22Kwを誇るモーターが組み合わされる。システム電圧を173ボルトまで高めることで高出力化を達成した。このシステムと組み合わされるのは、ツインクラッチ式の7速DCT。ワイドなギヤレシオを可能とし、ダイレクトな走行フィールと高い動力の伝達を可能とした。
この7速DCTは、モーターと一体化された。高出力化され発熱するモーターは、なんとトランスミッションオイルで冷却することにより、大出力ながら従来と同じ程度のコンパクトさを維持した。このモーターは、1-3-5-7という奇数段のギヤと接続されており、状況により最適なギヤを選択してトルク伝達や回生を行っている。
7速DCTを上手くコントロールしているのも特徴。クラッチを切り、エンジンを完全にモーターと切り離し効率よくEV走行や回生をしたり、エンジンのみ、またはエンジン+モーターなど状況によって最適な方法を選択してくれる。モーター走行から、エンジン+モーターに切り替えなどの制御も素晴らしく、変速ショックなどはほとんど感じられないほどだ。このスムースさはCVT並みともいえる。
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ハイブリッド車は、電気で走っていると考えている人は多い。しかし、厳密にいえば外部からの電力の供給は受けていないので、電気で走っている訳ではない。ハイブリッド車は、今まで熱として捨てていた減速エネルギーや、加速時に必要のない動力で発電モーターを動かし発電しバッテリーに蓄電。その電気を再び取り出し、モーターで走るのだ。つまり、ガソリンで得たエネルギーを極限まで使っていると考えていい。
そのエネルギーの再利用に重要なのが、減速するときのエネルギー。協調回生ブレーキで電力として戻している。ドライバーはブレーキを踏んでいるつもりでも、クルマは実際に油圧でブレーキをかけておらず、モーターの回生抵抗で減速していることが多い。油圧とモーターを細かく使い分けて、電力を得ているのだ。
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その結果、フィットハイブリッドの燃費は36.4km/Lを達成。ライバルであるトヨタ アクアの35.4km/Lを越え燃費ナンバー1の座を奪取した。
しかし、これにはカラクリがあった。この36.4km/Lという燃費は、廉価モデルでほとんど売れない一部モデルのみなのだ。それなりの装備であるFパッケージやLパッケージ装備車の燃費は33.6㎞/Lで、スポーティなSパッケージ車は31.4㎞/Lとなっていて、実質はアクアを超えていないのだ。アクアはすべてのグレードで35.4㎞/Lを達成している。実燃費は使用環境により変わるので何とも言えないが、スペック的にはフィットハイブリッドは本当の意味でアクアを超えたとは言えない状況だ。
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フィットハイブリッドは、アクアと比べて価格が安いのが特徴。フィットハイブリッドが安いというよりは、アクアが高価過ぎるという価格設定。フィットハイブリッドが安いからといって、装備や室内スペース、性能が劣るということもないのでコストパフォーマンス的にはフィットハイブリッドが優位。さらに、アクアのフットワークはカタメに対して、フィットハイブリッドはなかなかしなやか。このあたりは試乗して確かめるといいだろう。
ホンダ フィットハイブリッド価格
・HYBRID 1,635,000円
・HYBRID Fパッケージ 1,720,000円
・HYBRID Lパッケージ 1,830,000円
・HYBRID Sパッケージ 1,930,000円
フィットのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和2年2月(2020年2月)〜現在
- 新車時価格
- 155.8万円〜286.7万円
フィットの在庫が現在180件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。