【キミにも使える!「AED(自動体外式除細動器)」体験記】

いつ遭遇するか分からない事故現場、そのときのために

 サーキットで救急支援活動を行う団体「モータースポーツ・ライフセービング機構(L.S.O)」が、報道陣を対象に「突然の事故や急病 私たちにできる手当て」をテーマにした特別講習を開いた。テーマは、街でいつ遭遇するか分からない事故現場での対応。そして「AED(エー・イー・ディー)」の操作に関する内容だ。
 AEDは、病院外における突然の心臓発作を救うための救命装置だ。近年、街中の公共施設などで良くみかけるようになったのでご存知の方も多いだろう。心電図の解析から通電までが誰でもカンタンな操作で行えるという。とはいえ、一度も触ったことがなければさすがに心もとないところ。このまたとない機会に、CORISM編集部でもさっそく講習を受けてみることにした。

【「AED(自動体外式除細動器)】体験記】「モータースポーツ・ライフセービング機構(L.S.O)」の講師
日頃国内のサーキットで安全活動を行っている「モータースポーツ・ライフセービング機構(L.S.O)」の現役スタッフにより、応急手当の講習が行われた。一度は受けておきたい講習だ!
【「AED(自動体外式除細動器)】体験記】感染防止のため防止用グローブを着用する
傷病者に接触する際には必ず感染防止用グローブを着用。これは傷病者の血液や体液による感染症を防ぐためで、救助者の身を守るために必要なことだ。AEDの機器内にも入っているので活用しよう。
【「AED(自動体外式除細動器)】体験記】AED(自動体外式除細動器)の本体
これがAED(自動体外式除細動器)の本体。心電図の解析から通電までの指示を音声で出してくれるから、救助者はそれに従い操作をする。非常にカンタンで、誰でも扱うことが可能。

突然の心臓発作、救急車が来る前に「CPR」と「AED」を!

 驚くことに、日本での心疾患による死亡はがんに次いで2番目。年に16万人が亡くなっているという。また、日常の生活の最中に心臓発作によって心停止する例は、年間およそ2〜3万件にも及ぶ。中でも突然の心臓停止で最も多く起きると言われているのが、心臓がポンプ機能を果たさずに細かくけいれんした状態となる「心室細動」だ。これを電気ショックによって取り除くことで心臓の機能を取り戻させる手当てのことを「除細動」という。
 心室細動は心停止直後に起こり、その後わずかな時間で心停止に移行する。そうなるともはや除細動は効果がないという。つまり、救急車の到着を待っていては助からない命もあるのだ。しかし人工呼吸と胸骨圧迫による心肺蘇生(CPR)と除細動をいち早く行うことで、その救命率を高めることが出来る。もちろん、それを行うのはその場に居合わせた我々市民なのだ。

【心肺蘇生と除細動 その手順例】

※「私は手当ての訓練を受けましたので、協力させてください」などと手短に傷病者や周囲に声をかけることで怪我などで不安な本人も安心し、周囲の手助けも得やすくなる。
【「AED(自動体外式除細動器)】まず最初は声をかける!
「大丈夫ですか」と大きな声で呼びかけ、やさしく肩をたたく。反応がない場合はまず、1.「119番を呼ぶ」2.「AEDを頼む」そして気道を確保する。出血の有無の確認も忘れずに。
【「AED(自動体外式除細動器)】呼吸が正常でない場合は心肺蘇生(CPR)を開始
呼吸の有無、普段通りの息か、見て聞いて感じ、確認。あえぎ呼吸は心停止のサインとなる。呼吸が正常でない場合、心肺蘇生(CPR)を開始する。吹き込み用具があれば使用。
【「AED(自動体外式除細動器)】CPRの基本は30:2!
最初の人工呼吸は2回連続で吹き込む。30回圧迫、2回吹き込み。30:2を続ける。ポイントは「強く、速く、絶え間なく」!AEDセットが到着するまで絶え間なく続ける。
【「AED(自動体外式除細動器)】AEDその1.電源を入れる
AED:その1.「電源を入れる」
AEDが到着したら電源ON。音声で手順を教えてくれるので従う。傷病者の胸部が出るよう衣服を取り、電極パッドを装着。貼り方はパッド表面に描いてあるので参照する。その際もCPRは中断せず行うのがポイントだ。
【「AED(自動体外式除細動器)】AEDその2.心電図解析
AED:その2.「心電図解析」
解析ボタンを押す。自動的に心電図を測るので、その際は誰も触れないようにする。除細動が必要な場合は音声で知らされるので、さらに下がってショックボタンを押す。不要といわれた場合もCPRは継続すること。
【「AED(自動体外式除細動器)】AWDその3.ショックボタンを押す
AED:その3.「ショックボタンを押す」
その後直ちに胸骨圧迫を再開。30:2を2分間5サイクル。その後音声に従い解析⇒ショック⇒CPRを繰り返す。医師か救急隊に引き継ぐまで絶え間なく継続。心電図記録データが残っているので、AEDも取り外さずそのまま引き継ぐ。

 現場に居合わせたら、まずは観察・接触。生の微候を調べ、反応がない場合や呼吸が正常でない場合には心肺蘇生に取り掛かることになる。詳しい手順は上の画像紹介を見て欲しいが、決して難しい行為ではないことが分かるはずだ。勇気を持って取り組む。取り組んだらとにかく続ける。
 L.S.Oでは居合わせた我々のことを、救急隊や病院での手当てへと繋げる「救命リレー」の第一走者だと例える。例え上手く走れなかったとしても、あきらめずに第二走者の救急隊やアンカーの病院へつなぐことが重要。走らなければ、そもそもリレーを繋ぐことすら出来ないかもしれないのだから、と諭す。

 このような一般向け講習会をL.S.Oでは定期的に行っている。参加条件は一切ない。応急手当の必要性や方法など学ぶことが出来るようになっているので、ぜひ参加して欲しい。

【キミにも使える!「AED(自動体外式除細動器)」体験記】

( Photo&レポート:CORISM編集部 徳田 透 )

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