この記事の目次 CONTENTS
達人「松下 宏」が斬る!
ライバル車を意識したコンセプトとパッケージング
使い勝手の良さを感じさせるエクステリアデザイン

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

達人「松下 宏」が斬る!

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。数年前の日本カー・オブ・ザ・イヤーで唯一10点を入れたボルボV50をご購入。責任感もあります!

ライバル車を意識したコンセプトとパッケージング

 2008年1月にスズキから発売されたパレットは、ありていに言うとタント対抗のモデル。軽自動車の規格の中で、どれだけ広い室内空間を作れるかに挑戦したという意味でほぼ同じコンセプトのクルマと思っていい。

 軽自動車の歴史を見ると、アルトやワゴンRなどで新しいジャンルを切り開いてきたのがスズキで、ミラやムーヴによって後追いをしてきたのがダイハツという図式があったのだが、最近ではダイハツがイケイケムードになっていて、タントが軽自動車のスペース系として新しいジャンルを切り開き、スズキのパレットが後追いをする形になった。独創的なアイデアで軽自動車市場をリードしてきたスズキとしてはやや不本意な形でのパレットの投入と見ることができる。
 ただ、後出しである分だけ優位に立つ部分はいろいろあり、タントのミラクルオープンドアに対して両側電動スライドドアというように特徴的な相違点が設けられているほか、装備や仕様の面で相当におごったものが用意されているのがパレットの特徴。価格的な割安感も武器になる。

使い勝手の良さを感じさせるエクステリアデザイン

 ボディはトールボーイのワゴンRと1BOXワゴンのエブリイを足して2で割ったような感じ。ボンネットは持つものの小さめに抑えられており、ロングルーフが室内空間の広さを感じさせるシルエットを描いている。

 外観デザインが2種類用意されるのは最近の多くの軽自動車に見られる傾向。パレットでは上級グレードにエアロパーツが装着されるほか、グリル回りのデザインに違いを持たせているが、それほど大きな違いではない。

高めに設定された全高や両側のスライドドア、そしてAピラーまわりの処理など、ライバルのタントを強く意識したデザインだ。

全高を高くしただけでなく、フロアを低くすることでも室内空間を稼いでいる。見るからに使い勝手は良さそうだ。

上級グレードにはエアロ付きのモデルも用意。グリルのデザインも異なるが、タントに対するタント カスタムほどの大きな違いはない。

縦長のリヤコンビランプは視認性もよく、デザインも質感の高さを感じさせてくれる。

両側スライドドアとすることで使い勝手を高めている。開口部も大きめで乗り降りはしやすい。

代表グレード X(FF)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3395×1475×1735mm
車両重量[kg] 910kg
総排気量[cc] 658cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 54ps(40kw)/6500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 6.4kg-m(63N・m)/3500rpm
ミッション 4速AT
10・15モード燃焼[km/l] 20.0km/l
定員[人] 4人
税込価格[万円] 123.9万円
発売日 2008/1/24
レポート 松下宏
写真 和田清志