基本プラットホームは新開発のもので、サスペンションはフロントがレガシィ用と同じストラット式で、リヤがインプレッサ用のダブルウィッシュボーンという構成。スバルのシャシーとしては最新のものとされた。もちろんSIシャシーが採用されている。
搭載エンジンは水平対抗4気筒2.0Lの自然吸気DOHCとDOHCターボの2機種。自然吸気エンジンは従来のSOHCからDOHCに変更されており、動力性能の向上が図られている。146ps/19.5kg-mのパワー&トルクは実用エンジンとして十分な性能といえる。ターボ仕様はインプレッサのS-GT用に比べるとやや抑えたチューニングで230ps/32.5kg-mの実力だ。
ボディが大きくなった分だけ重量も重くなった。基本仕様では全グレードが1400kg台に収まっているが、オプション装備をいろいろと装着すると1500kgを超えてしまうグレードが多い。また全高が高くなったことは重心高の上昇につながり、走りのバランスを悪くする方向に働きかねない。
でも、実際にフォレスターを走らせてみると、重さや重心の高さをあまり感じさせないスポーティな走りが可能だ。やはりシンメトリカルAWDを採用することのメリットが走りのバランスの面で端的に出ていて、安定感のあるスポーティな走りが可能だ。
自然吸気エンジンを搭載するXSも、滑らかなトルク特性によって日常ユースはこれで十分という感じの走りを示すし、乗り心地はやや柔らかめながら、タイトなコーナーでも大きくロールすることなく安定した姿勢で駆け抜けていくことができる。
ターボ仕様のXTなら相当に元気の良い走りが可能になるほか、硬めにチューンされた足回りによってコーナーでの安定感は格段に向上する。今回から全車に標準装備されたVDCも、ドライのオンロードでは走りの邪魔をするような形で簡単に介入してくるのではなく、本当に必要なときに機能を発揮するような設定とされている。
走りのバランスの良さに関しては、SUVの中では随一といえるような存在であり、燃費性能でもクラストップの実力を持つ点は評価して良いと思う。
●お勧めグレード
フォレスターはベースグレードの2.0Xに消費税込みで200万円を切る価格が設定されている。ボディが大きくなって、エンジンがDOHC化されて、VDCを標準装備するようになったことを考えると相当なバーゲンプライスと見ることができる。これは中級グレードの2.0XSや上級グレードの2.0XTについてもいえることだ。
ただ、実際に買おうとしたらHDDナビを始めとしていろいろなオプションを装着しなければならず、2.0XSでもフルオプションにすると300万円くらいの価格になるだけに、良く考えてグレードとオプション装備を選びたい。
となると、実用的にはグレードは2.0XSで十分で、220万円ほどの本体価格に加えてこれに必要なオプションを厳選して装着すれば良いと思う。