驚愕的なスペースユーティリティを実現したタントが2007年12月にフルモデルチェンジ。すでにフルモデルチェンジを行なっている同社のムーヴと共通の新型エンジンおよびシャーシを使っている。そのおかげでホイールベースは2490mmと軽自動車の常識を超え、エンジン&エンジンルームのコンパクト化によって、室内長は2160mmとLサイズセダン並みだ。さらに今回のトピックは、Bピラーを助手席側フロントドア&スライドドアにビルトインさせたミラクルオープンドアの採用だ。この両ドアを開くとトヨタのアイシスのようにピラーレスの広大な開口部が出現。リヤシートへのアクセスを容易にしている。エンジンは、ターボとNAの2タイプ。従来モデル同様、標準車とカスタムをラインアップしている。
ハイト系軽自動車である同社のムーヴやスズキ・ワゴンRをもってしても、その室内スペースの広さはタントのライバルではない。もし、この広さで競い合える軽自動車を挙げるとすれば、アトレーなどの商用車ベースの1ボックスタイプくらいだ。さらに、新型タントは、開発時に女性スタッフの視点で使い勝手を徹底追求。小物入れの配置や種類などを吟味して作られている。確かに他社の軽自動車にも女性仕様が存在するが、それらはベース車に女性が必要とするモノを加えただけ。ほとんどが開発時から、ここまで徹底した作り込みはされておらず、実際の使い勝手ではタントが一歩リードしていることは間違いないはずだ。ただ、タントの価格設定はハイト系軽自動車としてはわずかに高め。もっともベーシックなLでも約108万円で、最量販モデルのXリミテッドは標準車で約132万円、カスタムでは147万円となる。新型モデルということもあり、当面は値引き額も渋いと思われるので、支払総額で競合すると厳しい状況になるのが唯一の弱点かもしれない。
新型タントには、標準仕様とエアロパーツを装着するスポーティ仕様のカスタムが設定されている。搭載エンジンは、標準仕様が全グレードNAで、カスタムにはターボの設定もある。ミッションは、標準仕様のXリミテッドとXリミテッド・スペシャル、カスタムはXリミテッドとターボエンジンを搭載するRSがCVTで、そのほかはすべて4速ATとなる。やはりエンジンの小さい軽自動車にとって滑らかな走りとパワーバンドをキープできるCVTは魅力的。となると、標準車ではXリミテッドまたはXリミテッド・スペシャル、カスタムではXリミテッドまたはRSの中から選ぶことになるだろう。超ハイト系のボディフォルムは空気抵抗の影響を受けやすいので、高速道路を走行する機会が多い人はターボエンジンのRSがオススメ。とはいえ、NAでも十分なパワーがあるので、一般的なユーザーなら標準車&カスタムのXリミテッドでも不満はないだろう。ちなみに標準車はXリミテッドとXリミテッド・スペシャルがあるが、その価格差は約7万円。Xリミテッド・スペシャルには、オーバーヘッドコンソールと15インチアルミホイール(Xリミテッドは14インチアルミ)が装着される。だが、この価格差は、実質アルミホイールの価格。となると、ゆったりとした乗り味がタントのキャラクターと考えれば、14インチアルミが似合っているのでXリミテッドがオススメとなる。また、4WDでCVTが欲しいというユーザーは、カスタムRSにしか設定されていないので注意が必要だ。