新採用のCVTは滑らかな走りと低燃費を両立!
搭載エンジンは1.3Lと1.5Lの2機種で排気量は従来と変わらないが、i-VTECエンジンとすることでパワーが73kW(100ps)と88kW(120ps)へと向上している。ボディの拡大にもかかわらず車両重量はほぼ従来のモデル並み(+10kg)に抑えられているから、動力性能向上で確実に走りが良くなった。
走りの向上はCVTがトルクコンバーター付きになったことも大きい。従来のモデルでは発進時にCVTがギクシャクするシーンもあったが、それがトルコン付きになったことで滑らかで力強いものになった。トルコンは燃費ロスにもつながりかねない要素だが、逆にトルクをコンバートすることが燃費の改善につながる。結果としてパワーアップやボディの大型化などにもかかわらず、1.3L車の10・15モード燃費は従来のモデルと同じ24.0km/Lであり、これはコンパクトカーの中でもトップレベルのもの。ハイブリッドカーや一部の軽自動車でないとこの数字を上回れない状況は今でも続いている。
滑らかな操舵フィールと快適な乗り心地を手に入れた
CVTの変速フィールは全体に良くなっていて、発進時から切れ目のない加速が伸びていくのはとても気持ちが良い。1.5L車のCVTは7速モード付きになってパドルシフトによる変速操作も可能となる。1.3L車でも十分に良く走るが、1.5L車になると余裕の走りが楽しめる。
ステアリングの操舵フィールが良くなったのも今回のフィットのポイント。初代フィットのそれも初期のモデルでは、電動パワーステアリングはフリクションの塊といった感じで、滑らかさにかけていた。今回はモーターの容量を上げたことなどによってとても滑らかな操舵フィールが得られるようになった。
もうひとつ乗り心地が改善されたのも大きなポイントだ。初代フィットで操縦安定性はともかく、かなり硬めの乗り味を感じさせていたが、それが当たりのとれた感じの乗り心地に変わった。これは大きな改善点だ。
このように走りに関しては全体的に確実な進化を遂げたのが今回のフィット。一段と魅力的なクルマになったといえる。
●お勧めグレード
一般的には1.3L車で十分で、ベースグレードのGでもFパッケージを装着すれば、快適装備の充実度も高くなり、大きな満足感を持って乗ることができる。本体価格ベースで見ると、従来のモデルに対して1万円ほどしか高くなっていない。エンジンがパワーアップされたり、CVTがトルクコンバーター付きになったり、室内が広くなったり、いろいろな魅力アップが図られたというのに、ほとんど横這いの価格設定なのだから、これは買い得感いっぱいだ。強いて言えばエアコンのオート機能がないので、これが欲しいユーザーはLを選ぶことになる。
スポーティなRSは搭載エンジンが1.5Lになることもあって、価格がやや高め。本体価格ベースで見ると従来のモデルと全く同じ価格だから、割高ということではないのだが、フィットのクラスで150万円を超える価格になるとちょっと逡巡する部分がある。外観と走りで差別化を求めるユーザーのためのモデルと考えたら良い。