大ヒット作の魅力をそのまま進化
ホンダは10月18日、大人気のコンパクトカー「フィット」初のフルモデルチェンジを実施した。
01年にデビューした初代フィットは、取り回しの良さや燃費性能に加え、使い勝手に優れたパッケージングをスタイリッシュなフォルムでまとめた万能コンパクトカーだ。ユーザーが小型車に求めるあらゆるニーズを全方位で網羅し、幅広い層から圧倒的な支持を集めることに成功。約6年の間に世界115カ国で200万台以上もの台数を売る超ヒット作となった。
2代目となる新型は、初代の魅力をそのままに、走り・パッケージング・使い勝手の全ての面で「ど真ん中豪速球」(新型フィット開発責任者 人見 康平氏)な正常進化を目指したという。
なお新型では搭載エンジン毎にキャラクターを明確に分化。標準タイプの1.3リッター車に対し、1.5リッター車は専用グレード「RS」のみの採用とした。
新型の進化を印象付ける「スーパーフォワーディングフォルム」
新型フィットのデザインは、一見すると初代モデルとあまり変わらないようにも思えるが、実際には大きく進化を遂げている。
デザインコンセプトは「スーパーフォワーディングフォルム」。フロントピラーを限りなく前進させることで、室内空間の広さを確保。さらに前傾姿勢を強調することで、スポーティな魅力も兼ね備えたフォルムとなっている。ボディサイズは全長で55mm、全幅で20mm、ホイールベースで50mm拡大された。その進化のほどは、実車を側面から見ると特に実感できるはずだ。
さらに新型フィットでは、新たなラインナップが追加された。その名は「RS」。初代シビックにラインナップされたスポーティグレードの名を受け継ぐ同モデルはシリーズ唯一の1.5リッターエンジンを搭載。スポーティさをさらに強調した専用のエクステリアを採用する。
ボディカラーは5色の新色を含む全12色を用意。フィットらしい幅広いユーザーのニーズに対応したラインナップとした。
居心地の良さと圧倒的な広さを両立させた空間設計
スーパーフォワーディングフォルムは、もちろん室内に入ってみても実感できる。
初代同様に、前席下にガソリンタンクを配置したセンタータンクレイアウトを継承。新たに見直されたパッケージングにより、ミディアムセダン「アコード」並みの広い空間が確保されている。またサイドウィンドウを立てたり、ドアの内張りをえぐった形状とすることで、乗員の肩や腕周りにもゆとりを持たせた。なおガラスエリアの拡大やフロントウィンドウを前出しした効果で、フロントピラーとフロントドアの間にある三角窓は初代に比べ3倍に拡大。前方視界の視野率は10%もアップしている。視界を遮るものを極力減らしたことで、居心地良く爽快な空間造りを目指した。
さらに新採用の電動サンシェード付きスカイルーフ(オプション)を装着すれば、さらに開放感は広がる。フロント側のルーフ幅を最小化し、さらにフロントウィンドウの前端も前進していることから、前席から見上げた際の視野も大きく広がっている点も高ポイントだ。
インパネは初代のテイストをベースに、さらに立体的で広さを感じさせるデザインとした。メーターは盤面を立体化。常時発光とし視認性を高めた。また、液晶のインフォメーションディスプレイには、コンパクトカーでは珍しい瞬間燃費と航続可能距離表示を採用する。またエアコンのスイッチをドライバー寄りにレイアウトするなどスイッチ類を集中化し、操作性を高めた。
多彩なユーティリティ「ULTR SEAT」と「ULTR LUGGAGE」
フロントシートは、アコード系のシートフレームベースを採用。快適性とホールド性にこだわった造りとなっている。後席のシートは埋め込み式ヘッドレストとすることで後方視界を確保。そのいっぽうで、サイズやクッション厚の拡大により乗り心地を向上させた。
また、初代以上に凝っているのがシートアレンジだ。4つのアレンジモードの頭文字から取った名称の「ULTR SEAT(ウルトラシート)」を採用。フロントシートがどの位置にあっても、ワンアクションによるダイブダウン&リバースが可能となった。
またトランクスペースも拡大している。応急パンク修理キットを積むことでスペアタイヤを廃止。427リッター(FF車)の荷室スペースを確保した。さらに、床面のフレキシブルラゲッジボードをアレンジすることで、3つのモードに変化できる「ULTR LUGGAGE(ウルトララゲッジ)」とし、使い勝手を向上させた。
その他にも10個(!)ものドリンクホルダーを始め、多彩な収納ポケットスペースを用意している。
低燃費とパワーを両立した新エンジン「i-VTEC」
新型フィットのエンジンラインナップは、1.3リッターと、「RS」グレード専用1.5リッター各i-VTECエンジンの2機種だ。
1.3リッター「L13A」型SOHC i-VTECエンジンは、最高出力100ps(73kW)/6000rpm、最大トルク13.0kg-m(127N・m)/4800rpmを発生。4バルブ化により吸・排気効率を向上させ、低速域での力強さと高速域での伸びやかさを両立させた。いっぽうで2つの吸気バルブの片側を休止させる「1バルブ休止VTEC」などにより、10.15モード燃費240km/L(「G」FF車)の低燃費や、国土交通省「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」認定を達成した。
いっぽうの1.5リッター「L15A」型SOHC i-VTECエンジンは、低速域と高速域のVTEC切り替えなどで吸・排気効率を高めた。最高出力120ps(88kW)/6600rpm、最大トルク14.8kg-m(145N・m)/4800rpmと、2.0リッター車に迫るパフォーマンスを誇る。
組み合わされるトランスミッションは、FF全車にトルクコンバーター付きCVT(自動無段変速機)を搭載するほか、1.5リッター「RS」FF車には5速MTも設定される。また4WD車には5速ATが搭載される。
初代モデルは軽快な走りの反面、乗り心地はやや硬めなきらいがあった。このあたり、ユーザーからの批判を意識したのか、新型フィットを設計するにあたりホンダの開発陣は「しなやかな乗り心地」と「しっかりしたハンドリング」を両立するシャシーを目指したという。
基本的なボディ剛性の向上に加え、サスペンションのストローク量を増やしたほか、新設計の大容量EPS(電動パワーステアリング)により、「すっきりした」自然なステアフィーリングを獲得したとホンダでは説明する。特に現行型ユーザーにとっては、その進化ぶりが気になるトコロだろう。ぜひ1度新車ディーラーで試乗して、その違いを実感してみることをオススメしたい。
なお「RS」については、専用セッティングを施しリアスタビライザーを装備(FF車)したサスペンションとなるほか、横滑り防止装置「VSA」を5速MT車に標準装備する(FF・CVT車にはオプション)。安全装備のVSAは、ぜひ他のグレードにも拡大設定して欲しいところだ。今後の改良に期待したい。
新機能満載!「インターナビ・プレミアムクラブ」がさらに進化
新型フィットには、最新の7インチタッチパネルモニター付き「HONDA HDD インターナビシステム」がメーカーオプションで設定された。ワンセグに対応したほか、リアカメラもセットで装着される。
さらに入会金・年会費無料のインターナビ・プレミアムクラブでは、主要道リアルタイム地図更新技術を用いた「スマート地図更新サービス」と、地震情報や世界初の豪雨地点予測情報を提供する「インターナビ・ウェザー」、さらに震度5弱以上の地震発生時にドライバーの位置と安否情報を家族などにメール連絡できる「安否確認システム」(登録制)の新サービスをそれぞれ開始する。
価格は、1.3リッター「G」タイプが1,197,000円/1,407,000円(CVT・FF/5AT・4WD:以下同)、「L」タイプが1,344,000円/ 1,554,000円。1.5リッター「RS」タイプは1,575,000円/1,785,000円。さらに16インチアルミホイールやディスチャージヘッドライト(HID)など専用装備が搭載される「RS」の5速MT車は1,785,000円となっている。
なお「G」と「L」には、軽介護対応の新設計シートを採用した助手席回転シート車も設定される。