ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

新エンジンとCVTによるなめらかな走りが魅力

新型ノア/ヴォクシーはプラットホームこそ従来のモデルからキャリーオーバーされたが、搭載エンジンやトランスミッションは新しくなった。エンジンは直列4気筒2.0Lのハイメカツインカムと、それにバルブマチックという可変バルブ機構を備えた仕様の2機種。全車に無段変速のスーパーCVT-iが組み合わされているが、バルブマチックエンジンを搭載した最上級グレードでは7速スポーツシーケンシャルシフトマチック付きとなり、ステアリングの裏側にパドルシフトも用意される。
 最初に試乗したのは標準エンジンを搭載したモデル。ノア/ヴォクシーとも最上級グレードを除いた各グレードに標準エンジンが搭載されており、ごく平均的な小型ミニバンらしい走りを示す。というかあまりに平凡な走りのフィールで、これといった特徴に欠ける印象。動力性能的に不満を感じるようなことはないが、特に余裕があるという感じでもない。CVTによる滑らかな走りは満足のいくもので、スムーズな加速が得られるのは長所といえる点だ。

バルブマチック仕様は走りのレベルはワンランクアップ!

ただ、乗り心地を重視したという足回りは相当に柔らかすぎる感じでコーナーでのロールも大きめだ。また路面によってロードノイズが大きいし、アクセルを踏み込むとエンジン音とCVTの音が入ってくる。さらに時速80kmを超えて高速域に入るとドアミラー付近からの風切り音が大きい。
 バルブマチック仕様のエンジンはエアロ系の最上級グレードに搭載されている。こちらは走りの印象もグンと良いものだった。エンジンは力強さが増し、タイヤの違いもあってロードノイズも抑えられている。さらにしっかりした感じの足回りによって操縦安定性が高められている。走りに関しては最上級グレードのデキが断然に良い。

●お勧めグレード

ノア/ヴォクシーではカーナビが40万円を超え、横滑り防止装置のVSCとSRSサイド&カーテンエアバッグの組み合わせが15万円弱となるなど、オプションだけでざっと70万円くらいは装着したいものがある。それを考慮に入れると標準エンジンを搭載したX-Lセレクション/X-Lエディションをお勧めにしたいところだが、走りを考えると最上級グレードのSi/ZSのほうが良い。
 X-Lに220万円ほどの価格が設定されているのに対し、Si/ZSは外観の違いやエンジンとトランスミッションの違いなどもあって価格は245万円ほど。オプションを装着すると320万円くらいの車両価格になる。長く乗ることで年数で割り算して考えるしかない。

代表グレード ノア Si
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4640×1720×1850mm
車両重量[kg] 1590kg
総排気量[cc] 1986cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 158ps(116kw)/6200rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 20.0kg-m(196N・m)/4400rpm
ミッション 7速マニュアルモード付きCVT
10・15モード燃焼[km/l] 14.2km/l
定員[人] 8人
税込価格[万円] 245.7万円
発売日 2007/6/27
レポート 松下 宏
写真 和田清志

新開発のバルブマチックを採用。通常のスロットルではなく、バルブのリフト量によってエンジンを制御する。このため効率が高く、パワーと燃費、そして環境性能を高次元でバランスさせることができた。

通常のスロットルを持つタイプも用意。こちらを選んでもパワーや燃費に不満を感じるケースはほとんどない。

標準モデルは15インチのタイヤ&ホイールを履く。上級グレードは16インチ仕様となる。