ザ・対決 スバル レガシィ・ツーリングワゴン VS アウディ A4アバント
4WDワゴン編
スバル レガシィ・ツーリングワゴン vs アウディ A4アバント

 悪路走破性メインとして考えられていた4WDを高速走行時も含めたスタビリティの向上に活用することで定評を得ているメーカーといえば、まずは我が国のスバル。そしてドイツのアウディだろう。どちらも走りの質という点で、レベルは高く、ユーザーの側もそこに価値を見いだしているのは確かだ。しかし、ここで疑問が。では、どちらのレベルが高いのか?
 奇しくも両社ともステーションワゴンのイメージが強いだけに、これは真っ向勝負。というわけで、今回はレガシィ・ツーリングワゴンとA4アバントを対決させてみることにしよう。ここのところメキメキとプレミアム性を上げるアウディに対して、年次改良を重ね、熟成を図るレガシィの実力に注目だ。

PHOTO/森山良雄 構成/近藤暁史
モデル/

ROUND1:ファーストインプレッション

スバル レガシィ・ツーリングワゴン
スバル レガシィ・ツーリングワゴン
本格的ステーションワゴンの先駆け
走りの質は今や高いレベルにあり

 初代より絶大な人気を誇り続けているレガシィのツーリングワゴン。今や4代目となるが、そのコンセプトにブレはない。ただし進化自体は着実に重ねており、現行型のトピックスはそれまで堅持してきた5ナンバーボディと決別したこと。これにより、デザインの自由度がまずアップ。伸びやかなシルエットを得ることに成功している。また操安性や安全性などにも確実に向上した。
 エンジンは、それまでのツインターボに代わって、タービンをシングル化。低速からしっかりとパワーが出る味付けへと変わっている。その後、幾多の改良を経て現在に至るのだが、レガシィの特徴は日本車には珍しい年次改良性を採用している点。ちなみに現行型はE型だ。
 現状での最大の注目点は、昨年の改良で採用されたSi-DRIVEと呼ばれる装備。センターコンソール上にあるダイヤルを動かすことで、インテリジェント/スポーツ/スポ−ツ♯の3つのモードを選べ、自分の必要とするパフォーマンスを簡単に手に入れられるのがポイント。なかでもインテリジェントモードは、水平対向エンジンの欠点である燃費を改善する役割を担う。ただ、実際には我慢の走りなってしまうが……。

[取材時実測燃費]
7.3km/L

[レガシィ・ツーリングワゴン価格帯]
210.0〜345.975万円

アウディ A4アバント
アウディ A4アバント
伝統のクワトロシステムを武器に
オンロードでの高い操安性を実現

 アウディのラインナップのなかでも、日本の道路事情にジャストフィットなのが、ミドルクラスのA4だ。2005年に登場した現行型は、新世代のアウディコンセプトが存分に注入されたもので、デザイン的にも大ぶりの開口部を中心としたシングルフレームグリルを採用することで強力な存在感を演出している。
 エンジンもまたアウディのこだわりの部分。売れ筋となる2リッター直4ターボと3.2リッターV6を直噴化しており、走行性能と環境&経済性能を高いレベルで両立させている点に注目だ。これら2タイプのエンジンは6速ATが組み合わされるほか、アウディ伝統のフルタイム4WDシステムであるクワトロを採用する。これらのほかに、直噴化されていない1.8リッターターボと2リッター直4も用意されているが、こちらの駆動方式はFF。しかもミッションも欧州車には珍しいCVTとなっている。
 パッケージングはさすがに長年に渡ってワゴンモデルにもこだわってきただけに、ラゲッジ容量も見た目以上に確保され、実用性も高い。またインパネまわりにメッキパーツを品よく配置するなど、スポーティかつ高級な雰囲気をうまく醸し出している。

[取材時実測燃費]
9.8km/L

[A4アバント2.0T価格帯]
390.0〜618.0万円

2.0GT spec.B(5速AT)
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4680×1730×1475mm
車両重量
1500kg
エンジンタイプ
水平対向4気筒DOHCターボ
総排気量
1994cc
最高出力
260ps(191kw)/6000rpm
最大トルク
35.0kg・m(343N・m)/2000rpm
ミッション
5速AT
10・15モード燃費
12.0km/L
サスペンション(前/後)
ストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格
333.9万円
2.0 TFSIクワトロ
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4585×1770×1455mm
車両重量
1680kg
エンジンタイプ
直列4気筒DOHCターボ
総排気量
1984cc
最高出力
200ps(147kW)/5100-6000rpm
最大トルク
28.5kg-m(280N・m)/1800-5000rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
10.6km/L
サスペンション(前/後)
4リンク/トラペゾイダル
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
473.0万円
スバル レガシィ・ツーリングワゴン エンジン

ATとMTで異なるセッティングが与えられている水平対向4気筒ターボエンジン。低速トルクも十分あり、街中でも扱いやすい。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン ホイール

スペックBには新デザインの18インチホイールが標準装備。最新型では優れたハンドリング性能を保ちつつ、乗り心地もマイルドになった。

アウディ A4アバント エンジン

2リッター直4ターボながら200馬力とスペックは控えめ。だが太いトルクと6速ATのおかげで想像以上にパワフルな走りを味わえる。

アウディ A4アバント ホイール

Sラインパッケージに装着される18インチタイヤ&ホイール。ややゴツゴツ感が気になるが、スポーティなドライブフィールを実現する。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン インパネ

ブラックを基調としたインテリアは適度な包まれ感があり、スポーティな雰囲気だ。ナビの画面も見やすく実用性に不満はない。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン シフト

マニュアルモード付きの5速ATはSI-DRIVEと呼ばれるモード切り替え機能付き。スイッチひとつで全く異なるスロットル特性を選択可能。

アウディ A4アバント インパネ

スポーティさと高級感を兼ね備えたインパネまわり。エアコンやオーディオのスイッチの操作性も特に不満はない。

アウディ A4アバント シフト

マニュアルモード付きの6速ATを搭載する。シフトレスポンスも素早く、スポーティでダイナミックなドライビングフィールを味わえる。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン フロントシート

フロントシートまわりは適度なタイト感があり、まるでスポーツカーのような雰囲気もある。だがスペースは十分あり、快適に過ごせる。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン リヤシート

リヤシートは足下のスペースも十分確保されており、窮屈な印象はない。シートのサイズもたっぷりあり、長距離ドライブでも快適に移動できる。

アウディ A4アバント フロントシート

シートのできは非常によい。サポート性も抜群で長距離ドライブでも体をしっかりと包み込んでくれるので、疲労感が少ない。

アウディ A4アバント リヤシート

シートの掛け心地もよく、しっかりと体にフィットする。フロントシート同様、ゆったりとくつろげる快適な移動空間といえる。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン メーター

メーターは自発光式タイプを採用する。文字盤のサイズも大きく、視認性は良好だ。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン ラゲッジ

通常状態でもラゲッジスペースの容量は十分だ。だがタイヤの張り出しがあるのが残念だ。

アウディ A4アバント メーター

中央には燃費やナビのルートなど、様々な情報が表示可能なディスプレイを装備している。

アウディ A4アバント ラゲッジ

タイヤの張り出しはなく、使いやすい形状だ。だがその分、最大幅が狭くなり容量も少し減っている。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン ラゲッジ

左右分割可倒式なので3名乗車+長尺物といったときにも使い勝手はよい。

スバル レガシィ・ツーリングワゴン ラゲッジ

リヤシートを倒せば完全にフラットになるのでとても便利だ。

アウディ A4アバント ラゲッジ

レガシィ・ツーリングワゴン同様、左右分割可倒式シートを採用している。

アウディ A4アバント ラゲッジ

リヤシートを倒しても完全にはフラットにならないのが少し残念だ。

ホンダ エリシオン・プレステージ vs トヨタ エスティマスバル レガシィ・ツーリングワゴン vs アウディ A4アバント

どちらもハイパワーターボと4WDの組み合わせだけに、圧倒的な加速感と安定性の高さが魅力だ。