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スバル レガシィツーリングワゴン |
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アウディ A4アバント |
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ミディアムワゴン編 |
ミディアムセダン&ワゴンというのは、そのメーカーの実力がよく表れるジャンル。単なるメーカーだけでなく、国柄もよく反映されるといってもいいかもしれない。ミニバンに押されて、ジャンル自体が縮小というのも日本という国柄をよく表している。 そのなか、ひとり気を吐き、我が道を行くのがレガシィだ。水平対向エンジンやフルタイム4WDなど、さまざまな点でこだわり続け、国産車随一のプレミアムを持ち合わせている。技術へのこだわりゆえのプレミアムという点では、国は違えどもアウディもまた似たイメージがあるメーカーだ。 今回は5代目へと進化したレガシィとアウディの中核モデルとなるA4を対決。セダンだけでなく、ワゴンボディの人気も高いのも共通しているだけに、その結果に興味津々!
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PHOTO/和田清志 構成・文/近藤暁史
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モデル/
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スバル レガシィツーリングワゴン
デビュー20周年の節目に登場
キャラクターも大きな転換
ミニバンへとつながるワゴンブームの火付け役となった初代スバル レガシィが登場したのは89年のこと。それから20年後、5代目が登場した。それまでは正常進化を続けてきたのだが、5代目になってその性格を大きく変えてきた。その背景には国内におけるワゴン市場の縮小があり、北米メインということがあるだろう。ちなみに今回のモデルチェンジに関しては、トヨタの意向は入っていないとのこと。 ラインナップについてはセダン/ツーリングワゴン/アウトバックと、変わるところはないが、大きく変わったのはそのスタイル。全長で95mm、全幅に至っては50mmと、サイズからしてふたまわり以上も大きくなった。デザイン的にも厚みが出たというか、ドッシリとしたイメージが前面に出ている。正直、見た目からはシャープで洗練された感じはしてこない。ただ、これは見た目の問題であり、パッケージングには好影響を与えている。実際に室内のスペースは広大であり、とくにリアシートは足もとを中心にして、サルーン的な味わいすら漂ってくるほどだ。 そして一番変わったのが、走りの部分。とくにエンジンは潔くそれまでメインだった2リッターを廃止。2.5リッターを全車メインとし、GT系にはターボを装着。アウトバックだけにはシルキーかつトルクフルな味わいで定評のある6気筒の3.6リッターが用意されるなど、大幅なアップサイジングを実施した。 そしてトランスミッションも今回の目玉だ。2.5リッターのNAにはCVTが組み合わされるのだが、縦置き用のCVTというのは大きなポイントで、構造的にも通常の金属ベルトではなく、チェーンを使用するもの。ユニークではあるものの、キーンという高周波の作動音が大きいのが気になる。足まわりは質のいい粘り腰で、シルキーな走りが楽しめるだけに、残念な部分でもある。
[エコ&燃費] スバルといえばSIドライブ。もちろん5代目レガシィにも装着。燃費重視のIモードでも制御を変えたことから、それほど違和感はない。ただ、今や各メーカー頼みの綱のエコ減税などに一部のグレードしか対応していない。2.5リッターターボで実用燃費は決して悪くはないが、減税対象にならないというのは正直厳しいだろう。
[安全性能] 5代目では新環状力骨構造という、ピラーを環状にして並べることで強固なモノにするという手法を使用している。エアバッグ類も目立ったものはないが、ほぼすべてのグレードにサイド&カーテンエアバッグまで標準装備。また横滑り防止装置のVDCは全車に装備されるので、安全性能は合格点を与えられる。
[取材時実測燃費] 9.8km/L
[スバル レガシィツーリングワゴン 価格帯] 220.5〜370.125万円 |
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アウディ A4アバント
2リッターも追加されて布陣強化
日本市場にベストマッチなモデル
その源流は80年代に大ヒットを飛ばしたアウディ80であり、日本市場に一番合ったサイズや使い勝手を備えているといってよく、アウディの好調を支えるモデルでもある。グレードは当初、1.8リッター直4ターボ(FF)と3.2リッターV6(クワトロ)のみという両極端な布陣だったのだが、2リッター直4ターボが加わることで、幅広いニーズに応えられるようになった。 もちろんその中心となるのは、今回対決へと連れ出した2リッターの直4で、クワトロと呼ぶフルタイム4WDもまたアウディらしい点といっていい。またA4をベースにした過激なスポーツモデル、RS4/RS4アバントもラインナップされている。 トランスミッションが豊富というか、すべてのグレードにおいて違っている点にも注目で、CVT(1.8リッター)/7速Sトロニック(2リッター)/6速AT(3.2リッター)と、エンジンの特性に合わせて用意。ただし、この点においてもSトロニックと呼ぶツインクラッチ式を組み合わせる2リッターに一番注目だ。MTをベースにしているため、ダイレクト感のあるシフトフィールはピカイチ。燃費にも貢献しているミッションだ。やはり今やハイパフォーマンスには欠かせないMTベースのツインクラッチ式との相性はとてもいい。下からトルクが出つつ、上までしっかりと回るターボユニットのうま味を存分に引き出してくれる。6速ATは極太なトルクをガッチリと伝達してくれる感じだし、一方、CVTはゆるい感じはする。 もちろんパッケージングに関してもアウディの中核モデルにふさわしい余裕の空間を実現。正直なところ、色気はまったくないが、じっくりと付き合うには極上のキャラクターをもっているといっていいだろう。 A4アバントに限らず、インテリアの質感が非常に高いのもアウディの特徴だ。本革などの天然素材は厳選されたものを使用するなど、プレミアム感は十分に感じられる。
[エコ&燃費] 1.8リッターは、ターボ装着で走りと省燃費をうまく両立させている完成度の高いユニット。ただし3.2リッターは直噴化して効率を高めているとはいえ、燃費はあまりよくないというのが正直なところ。また、日本の規制に対応していないため、エコカー減税の対象になっていない。
[安全性能] 横滑り防止装置や豊富なエアバッグなどを標準装備するのはさすが。日本車の十八番であった車間を維持するアダプティブクルーズコントロールの用意はあるが、一部にオプション設定されるのみ。
[取材時実測燃費] 10.6km/L
[アウディ A4アバント 価格帯] 422.0〜705.0万円 |
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スバル レガシィツーリングワゴン 2.5GT SI-クルーズ
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ボディサイズ(全長x全幅x全高)
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4775×1780×1535mm
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車両重量
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1540kg
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エンジンタイプ
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水平対向4気筒DOHCターボ
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総排気量
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2457cc
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最高出力
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285ps(210kw)/6000rpm
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最大トルク
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35.7kg-m(350N・m)/2000〜5600rpm
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ミッション
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5速AT
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10・15モード燃費
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11.2km/l
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サスペンション(前/後)
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ストラット/ダブルウィッシュボーン
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ブレーキ(前/後)
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ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
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税込価格
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343.875万円
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アウディ A4アバント 2.0TFSIクワトロ Sラインパッケージ
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ボディサイズ(全長x全幅x全高)
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4715×1825×1445mm
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車両重量
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1730kg
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エンジンタイプ
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直列4気筒DOHCターボ
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総排気量
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1984cc
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最高出力
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211ps(155kw)/4300〜6000rpm
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最大トルク
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35.7kg・m(350N・m)/1500〜4200rpm
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ミッション
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7速Sトロニック
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10・15モード燃費
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12.0km/l
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サスペンション(前/後)
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5リンク/トラペゾイダル
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ブレーキ(前/後)
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ベンチレーテッドディスク/ディスク
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税込価格
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561.0万円
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従来の2リッターが廃止され、2.5リッターのNAとターボにサイズアップ。アウトバックには3.6リッターの6気筒も用意される。 |
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標準車は16インチだがパッケージオプションで17インチ(写真)または18インチが選択可能。18インチでも想像以上に快適だ。 |
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A4アバントは直4がともにターボで1.8リッターと2リッターを搭載する。3.2リッターのV6もあり、滑らかな回転フィールが魅力だ。 |
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A4アバントの2.0TFSIは、17インチのタイヤ&アルミホイールが標準。Sラインパッケージ(写真)は18インチで、乗り味はやや硬め。 |
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インテリアはボディサイズ拡大のおかげもあり、かなり広々とした印象になった。質感も車格に見合う以上にアップし、上質な雰囲気だ。 |
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2.5リッターNAは新開発のCVT、ターボは5速ATを採用。CVTで燃費アップを狙ったというが、エコ減税の対象外のグレードもある。 |
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最近のアウディは質感が高く、室内の上質な雰囲気には驚くばかりだ。それでいてスポーティさも感じさせてくれるのはさすがだ。 |
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A4は搭載エンジンごとにミッションが異なっている。2.0TFSIの7速Sトロニックは、素早い変速とダイレクト感ある走りが味わえる。 |
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フロントシートはボディサイズの拡大により、特に左右方向のゆとりが増している。シートの造りも良く、快適性も文句はない。 |
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今回のボディサイズアップ最大の恩恵を受けたのがリヤシート。なかでも足元スペースは大柄な男性でも余裕で足を組めるほどだ。 |
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Sラインパッケージは、専用のロゴ入りシートを装備している。本革の手触りも良く、長距離ドライブでも疲労感は少ない。 |
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リヤシートの広さや快適性に不満は感じられない。人数分のヘッドレストや3点式シートベルトを装備するのはレガシィと同様だ。 |
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今回からメーター内部にエコドライブインジケーターを装備し、省燃費運転をアシスト。表示は大きく、視認性も優れている。 |
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一部のグレードに装備されるSIクルーズのセンサー。従来とは異なり完全停止までサポートするので、安全性はグッと高まった。 |
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中央のインフォメーションディスプレーはカラー表示に対応しており、とても見やすい。質感の高さも文句はなく所有する喜びが味わえる。 |
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日本車が得意とするレーダークルーズコントロールを新型A4アバントも採用してきた。機能的にはライバルと遜色はない。 |
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ラゲッジスペースも広くなり、より使いやすくなった。タイヤの張り出しも最小限に抑えられており、かさばる荷物も積みやすい。 |
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リヤシートを収納すれば、驚くほど広いラゲッジが現われる。シートは左右分割式のため、乗車人数などにあわせたアレンジもしやすい。 |
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タイヤの張り出しは、まったくなく使いやすい形状をしている。開口部は広めに設計されているので、大きな荷物も楽に積める。 |
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後席を収納しても段差などはできず、ユーザーの使い勝手に配慮されている。右側のネット部分の収納も、意外と使いやすい。 |
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ラゲッジアンダーボックスは容量も大きめ。ふたつに仕切られているので、小さなものもなくなりにくい。 |
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マッキントッシュのオーディオはオプションだが、音質の良さはかなりのもの。予算に余裕があれば、ぜひおすすめだ。 |
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トノカバーにはペットや荷物が居住空間に飛び出すのを防止するネットが内蔵されている。 |
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CDチェンジャー付きのオーディオが標準装備。音質も悪くはなく、快適なドライブを楽しむことができる。 |
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レガシィツーリングワゴンは、2.5リッターのターボとNAエンジンを搭載している。NAモデルでも動力性能に不満はなく、CVTのおかげで燃費も良好。ただ、通常使われる金属ベルトではなくチェーン方式としたためか、独特の作動音が少し気になる場面もある。ハンドリングに関してはコーナーでも安定感があり、満足できるもの。18インチ仕様を選んでもしなやかさは想像以上だ。 アウディ A4アバントは今回の対決に連れ出した2.0TFSIが追加されたことで、従来よりも手ごろな価格でクワトロの走りが体感できるようになった。質感の高さはアウディが得意とするところで、乗り心地もしなやかで快適だ。ただし今回のSラインパッケージは、少しカタメの足まわりとなっているので、路面によってはゴツゴツ感が気になることもある。レガシィよりも車重が200kg近く重いものの、排気量が500cc小さいことと、効率の良い7速Sトロニックが効果を発揮したのか、燃費はそれほど悪くはなかった。
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