【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C エクステリア

「マッチのマーチ」も25歳!

 日産のベーシックカー「マーチ」。その初代モデルのデビューは1982年でした。前年の東京モーターショーでお披露目されたのち、一般公募により車名を決定。当時人気の絶頂期を迎えていた男性アイドル「近藤 真彦(マッチ)」出演のTVCMで華々しく登場しました。
 あれから25年。その後マッチも、日産との関わりをきっかけにレーサーとして本格デビュー。今ではSUPER GT選手権に参戦する「チーム監督」にまで登りつめてしまったのだから、時の経つのは早い!・・・というか、「マッチのマーチ」なんて言っても『え?聞いたことない!』っていう若いユーザーも多いんだろうな。うーむ。
 そんな中、日産 マーチの欧州生産版「マイクラ」のオープン『マイクラC+C』にCORISM編集部員が触れるチャンス! 日産がマーチ25周年を記念し今夏に登場させる注目のモデル、そのファーストインプレッションは!?
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C オープン
オープン状態のマイクラC+Cはスポーティな佇まいだ。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C ハードトップ開閉
センターコンソール上のスイッチ操作で約22秒待つと。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C クーペスタイル
あっという間にエレガントなクーペへと変身する!

欧州で発想された日産車

 マーチは、軽を除けば日産における最もベーシックなモデルに位置します。それは日本だけの話ではありません。英国の日産工場でも生産され、欧州市場のラインナップを支える戦略的モデルの役割も果たすのです。かの地でマーチは「マイクラ」という名前。
 トヨタがヴィッツ(現地名「ヤリス」)を、ホンダがフィット(現地名「ジャズ」)をそれぞれ現地で生産するよりはるか前から生産され続け、したがって「マイクラ」の名も既に多くの欧州ユーザーに慣れ親しまれる存在になっているんです。
 そんな中、05年秋に欧州主導による欧州ユーザーのための専用モデルが、新たにラインナップとして加えられました。
 その名は「マイクラC+C」。マイクラをベースに造られたオープンモデルです。

【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C インパネ周り
試乗車は英国仕様のため右ハンドル。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C メーター
メーターはマイル表示併記。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C オープンスイッチ
ルーフの開閉はこのスイッチ操作ひとつでOKだ。

欧州ユーザーに愛されるベーシックオープンカー

 欧州では、ベーシックなハッチバック車をベースにオープンモデルを設定するケースが多く観られます。日本に比べ、オープンカーが広く市民権を得ている証拠なのでしょう。
 近年では、クローズド時の快適性を持たせつつ、気軽な開閉が可能な格納式ハードトップを備えた、いわゆる「クーペカブリオレ」タイプがトレンドになっています。
 そんな中、日産もマイクラのオープン化にあたりトレンドを踏襲し、コンパクトカーベースのオープンにおける老舗、フォルクスワーゲンの歴代ゴルフカブリオレなどを手がけるドイツ・カルマン社と手を組み設計されました。実際の生産も、英国日産工場内にカルマン社のノウハウを投入した専用ラインを設けて行なわれているとのこと。
 さて、オープン化にあたり、ベースのマイクラに比べ全高を110mmダウン。いっぽうで全長を90mm延長し、ロングデッキ・ローフォルムのエレガントなスタイルを得ました。ルーフを閉じたその姿、なかなか魅力的なカタチじゃありませんか。
 その甲斐もあってか、マイクラC+Cは市場投入後早々に、同クラストップの仏・プジョーの「206CC」、「ミニコンバーチブル」「オペルティグラ」に次ぐ、スポーツカーを除いたコンパクトオープンカージャンルで第4位のシェアを獲得しているというからスゴイ。
 そんな欧州の人気者が、いよいよ今年の夏頃日本にも英国から輸入車としてやってくることが正式に発表されました。マーチ25周年の記念、だそうです。パチパチパチ。

【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C リアシート
リアシートはかなりミニマムだが、このスペースがあるのとないのとでは、普段の使い勝手は大違いなのだ。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C グラスルーフ用のサンシェード
クローズドでもグラスルーフ「Cビュー」で車内は明るい。日差しを避けるサンシェードが装着される。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C トランク
トランクスペースはクーペ状態で457リットル、写真のオープン可能状態で225リットルの容量を誇る。

オトナの乗り味を試す

 大人びてる。乗った瞬間、そう思いました。現行K12型マーチがデビューしたとき、電動パワステのあまりに軽いステアリングフィールと、ソフト過ぎる足腰にびっくりした覚えがあるけれど、マイクラC+Cのそれはまるで別物。素人丸出しな表現だけど「まるで欧州車みたい」。しっかりしてます。
 試乗車は、試験用に先行輸入された貴重な英国仕様の右ハンドル車。エンジンは日本仕様に存在しない1.6リッターDOHC110ps。これに4速ATが組み合わされたものです。補強が加わり重くなっているとはいえ、小柄なマーチの車体で街を駆け抜けるには十分過ぎるパワーフィールでした。
 街中のチョイ乗りで断定的なことは言えないのだけれど、コレはなかなか上質な乗り味です。オープンで車体がユルい、なんて思わせる感じもなし。

 難を言えば、やはり世のクーペカブリオレタイプ同様にAピラーが倒されているため、頭上の開放感がそれほどでもないのが惜しいところ。短いトランク内にルーフを収めるためには、どうしてもこうなってしまうのでしょうか。あ、それにルーフが侵食するせいで、オープン時のトランクも正直狭いです。

とはいえ、寒空の下ヒーターを強めオープンで走る快感は、一度味わうとやめられません。頭の後ろを風が吹き抜けてゆくこの爽やかさと言ったら! 性能がどうの、走りがどうの、と難しいこと言わなくたって、十分に楽しい気分にさせます。もちろん、基本性能の確かさがベースにあるにせよ、やっぱりオープンの威力はスゴイ。

【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C エンジン
欧州仕様車のエンジンラインナップは88psの1.4リッターと110psの1.6リッター2種から選ぶことが出来るが、日本にどちらが入ってくるかは未定だ。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C フロントマスク
かわいらしい日本向けマーチと違い、マイクラC+Cのフロントマスクは欧州向けに造られたスポーティ仕様車用と共通のデザインを採用している。
【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C リアデッキ
エレガントな佇まいのロングデッキが印象的なリア周り。エクステリアデザインにおいて最もマイクラC+Cらしさを表す箇所だろう。

マーチじゃなくって「マイクラ」です

 語弊を恐れずに言えば、ちょっとヲタク入ってるオープン2シータースポーツカーや、250km/h以上出ちゃうような攻撃的なスーパースポーツカーではなく、こういうカジュアルでキュートなコンパクトなオープンとつきあう「ゆるーい(肩の力のおりた)」スタンスが、今の時代の気分かな、って思うのです。
 その意味でマイクラC+Cは、気楽に長〜く付き合えそうな、魅力的な存在ではないかと。
 そうそう、他の輸入車と違ってディーラーもそこかしこにあるワケだし、日頃のメンテナンスに悩む必要もありませんからね。おそらく輸入台数も限られるでしょうから、ひと味違うクルマが欲しいコダワリ派にもオススメですよ。

 興味深いことにこのC+Cは、マーチではなく「マイクラC+C」名のまま日本デビューを果たしそう。つまり『欧州発のブランニューモデル』という位置付けでしょうか。まさか、マーチ(つまりベーシックカー)のイメージからすると、ちょっと高めのプライスになっちゃうから別の名前に・・・ということではないことを切に希望します!
 だいたいユーザーの立場からすれば、やはりこれはどう見ても「マーチ」。そもそも日産自体もマーチのTVCMにこの「マイクラC+C」の映像をインサートしているくらいだし。あくまでマーチ+プレミアム分のプライス(200万円前後!?)、くらいがウレシイなあと思うのだけれど・・・果たして。

【日産 MICRA C+C(マイクラC+C) ミニ試乗記】マイクラC+C エクステリア
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( 写真/レポート:徳田 透(CORISM編集部) )

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