最後の最後で大ピンチが!

 「ああっ! ハブベアリングがダメだ」
 「スペアのハブあるっ?」

 と小沢さんが大きな声を上げた時点からサービス終了の時間まで18分。ブレーキローターやステアリング系まで外した上、ハブを止めている大きなナットを外すという容易じゃない作業を必要とする。果たして時間内に交換出来るか? 何を隠そうカントク国沢は「絶対無理だろう」と諦めた。タイムオーバーしてもやむを得ない。とにかく着実に行こう、と。

 新品のハブ探しと平行し、壊れたハブを外す作業に取りかかる! タイヤ外し、ブレーキキャリパーを外す。ここまでは早い。嬉しいことにスペアのハブも見つかった。壊れる可能性あるパーツだからして、私が予備のハブを用意してあったのだ。ただ今回持ってきているかどうか確認していなかったので心配してた次第。

太い工具が折れるのを初めて見た!

                      背中からは殺気が!

 問題はハブを止めているナット外し。たいてい凄いチカラで締まっている。普通の工具じゃ歯が立たない。交換作業開始時点で工具を探しに行っているのだけれど、まだ手元に無し。それじゃ、ということで普通のラチェットを長い鉄パイプに突っ込み、2人で思い切り乗っかる。

 すげぇ! パイプしなってるのに、ナットはビクともせず。それじゃ、と大パワーの持ち主である番頭宮本が加わり火事場のバカ力を投入す! するとどうよ! ラチェットが根本から「バギッ!」という凄い音を立て折れました。折れるもんじゃないぞおい!

 この時点で残り9分。もちろん状況は戦場のようで、日本語とタイ語、英語の怒声が飛び交う。アカン! と思ったら「レンチ見つかりました!」。5倍くらいのサイズあるレンチである。これならイケるだろう。4人掛かってやっと緩む。
 

小沢メカニックの神業に観客まで集まる 

 後は時間との競争だ! 壊れたハブ外し、新品のハブを装着。ブレーキローター、ブレーキキャリパーと取り付けていく。小沢さんの動き、驚くほど早い! タイ人のメカニックも目の玉を三角にして見てる。気づくとラリーカーの回りに観客多数。まぁ確かに殺気立っているサービスを見るの、楽しい。

          サービス中、ドライバーとコ・ドラはすることがないため記念撮影中

 「あと2分!」

 をコールした時点で、アキをシートに座らせ、新美はタイムコントロールへ向かわせる。この時点でブレーキ&ステアリング回りのナットの締め付け中。何とか間に合いそうな雰囲気になってきました。

 1分前で作業は終了。増し締めを完了するや、タイヤを装着。ジャッキ下ろす準備をしながら「アキ! エンジン掛けて!」。30秒を残してジャッキダウン! 「アキ! 時間ないけれど安全な速度で移動な! もし遅れたら仕方ないから」。

 ジャッキダウンと同時にバックギアに入れサービスアウト! 回りから大きな拍手を受ける。いやぁ素晴らしいサービスでした。といってもサービスやってくれたの、一流のメンバーだから当然か。

 時計見たら、おおお! 間に合った。凄い凄い! 後は完走してくれるのを祈るだけ。それにしても今回のラリー、サービスする側にとってみれば最高に面白かった。「これだけ頑張らせてくれるドライバーも珍しいですね〜」と小沢さん。さてフィニッシュ出来るか?