ライズ(A200系)vs 中古 XV(GT系)徹底比較!中古車ならば、2クラス上のXVが手に入る!

2019年11月に登場したトヨタ ライズ(A200系)は、全長4m未満の扱いやすい5ナンバーサイズでありながら、広い室内空間を確保したコンパクトSUVだ。2021年にはハイブリッド方式の「e-SMART(イースマート)」が追加され、電動化モデルも選べるようになった。そんなライズ(A200系)の新車価格は180万700円~244万2000円と、比較的リーズナブルな価格帯に収まっている。

ただし、この価格帯になると、中古車市場では1クラス上のボディサイズと走行性能を持つスバル XV(GT系)も視野に入ってくる。XV(GT系)は全車4WDで、スバルの先進安全装備パッケージ「アイサイト」も標準装備されており、コストパフォーマンスの高い中古車として注目の存在だ。

そこで今回は、新車トヨタ ライズ(A200系)と中古車スバル XV(GT系)を、燃費性能、価格、機能・装備、デザインという4つの視点から徹底比較してみた。

ライズはコンパクトながら、広い室内空間をもつSUV

トヨタ ライズ(A200系)の特徴

ライズ(A200系)の車両の全景画像

※上図:ライズ(A200系)の全景

トヨタ ライズ(A200系)は、ダイハツ ロッキーのOEM供給車として2019年11月にデビューした。ダイハツの新世代車づくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を採用した第2弾モデルであり、全長4m未満というコンパクトなボディサイズでありながら、室内空間の広さと実用性に優れたパッケージングが大きな魅力だ。5人がしっかり乗れるキャビンとクラストップレベルのラゲッジスペースを確保しており、日常使いからレジャーまで幅広く対応できるSUVとして高く評価されている。

 

パワートレインは、駆動方式により構成が異なる。2WD(FF)車には、最高出力87ps・最大トルク113Nmを発揮する1.2L直列3気筒DOHCエンジンにCVTを組み合わせたシンプルな仕様に加え、同じ1.2Lエンジンを発電専用としてモーター駆動で走行するシリーズハイブリッド「e-SMART」も設定されている。一方で、4WD車には、最高出力98ps・最大トルク140Nmを発生する1.0L直列3気筒ターボエンジン+CVTを採用しており、力強い走りを実現している。

燃費性能は、WLTCモードで17.4km/L~28.0km/Lと、シリーズハイブリッド仕様を中心に高水準を維持しているのもライズの強みだ。

 

また、安全装備も抜かりはない。ライズは全車に進化版スマートアシストを標準装備しており、歩行者や車両の検知が可能な衝突警報機能および衝突回避支援ブレーキ、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール、前後方向のブレーキ制御付き誤発進抑制機能など、日常の安全運転をしっかりとサポートする機能が充実している。

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XVは全車4WD! 悪路走破性にこだわったSUV

スバル XV(GT系)の特徴

XV(GT系)の車両の全景画像

※上図:XV(GT系)の全景

スバル XV(GT系)は、2017年5月に登場したクロスオーバーSUVであり、ベースとなる5ドアハッチバックのインプレッサと同様に、次世代プラットフォームである「スバルグローバルプラットフォーム」を採用している。この新開発プラットフォームの導入により、車体剛性や衝突安全性能が飛躍的に向上し、操縦安定性や乗り心地の面でも大幅な進化を遂げた。

 

パワートレインは、1.6L水平対向4気筒DOHCエンジン、2.0L水平対向4気筒DOHCエンジン、そして2.0Lエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド「e-BOXER」の3タイプを用意。組み合わされるトランスミッションは、スバル独自のCVTであるリニアトロニックを採用し、すべてのグレードがフルタイム4WDとなっている。

 

最低地上高は200mmと高く設定されており、スバルが得意とする悪路走破性の高さは健在だ。さらに、滑りやすい路面や急な下り坂などで威力を発揮するXモードも装備されており、街乗りからアウトドアまで幅広く対応できる万能型SUVとして根強い人気を集めている。

 

燃費性能はWLTCモードで13.3km/L〜15.0km/Lと、4WDでありながら比較的良好な数値を維持している。

 

また、安全装備の面でも抜かりはない。全車にスバル独自の運転支援システム「アイサイト Ver.3」を標準装備。ステレオカメラを用いた高度な認識性能により、衝突回避や車線逸脱の予防、前走車との適切な車間距離の維持を支援する。また、歩行者保護エアバッグも全車標準装備されており、予防安全・衝突安全ともに高い水準を実現している。

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燃費はでハイブリッドのライズが優勢

1.燃費性能

新車ライズ(A200系)の評価は4.5

中古車XV(GT系)の評価は3.5

 

ライズ(A200系)の燃費(WLTCモード)は下記の通り。

1.0L直3DOHCターボエンジン

4WD:17.4km/L

1.2L直3DOHCエンジン

2WD:20.7km/L

1.2L直3DOHCエンジンハイブリッド

2WD:28.0km/L

 

XV(GT系)の燃費は下記の通り。

1.6Lエンジン

4WD:13.3km/L

2.0L e-BOXER(マイルドハイブリッド)

4WD:15.0km/L

 

燃費性能の比較では、トヨタ ライズ(A200系)のシリーズハイブリッド仕様「e-SMART」が大きくリードする結果となった。

 

ライズの2WD(FF)車には、1.2L直列3気筒ガソリンエンジンと、同じ1.2Lエンジンを発電用に使いモーターで走行するシリーズハイブリッド方式「e-SMART」が設定されている。一方、4WD車には1.0L直列3気筒ターボエンジンのみが搭載されており、ハイブリッド仕様は2WD専用となっている。

対するスバル XV(GT系)は、全グレードでフルタイム4WDを採用。搭載されるパワートレインは、1.6Lと2.0Lの水平対向4気筒エンジン、そして2.0Lエンジンに小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド「e-BOXER」の3種類が用意されていた(2.0Lガソリン仕様は途中で販売終了)。

両車ともにハイブリッド仕様が設定されているが、採用されているハイブリッド方式には大きな違いがある。ライズのe-SMARTは、1.2Lエンジンを発電のみに使い、モーターのみで駆動するシリーズ方式であり、電動走行の領域が広いのが特徴だ。モーターの最高出力も106psと高く、電動車らしい滑らかで静かな加速を実現する。

 

一方、XVのe-BOXERは、あくまでモーターがエンジンの補助的な役割を果たすマイルドハイブリッドにとどまり、モーター出力も13.6psと控えめである。燃費改善効果は限定的と言える。

さらに、車両重量にも大きな差がある。ライズは970~1,070kgと軽量に仕上がっているのに対し、XVは1,410~1,550kgと約400kgも重く、この差が燃費性能にも直結している。

WLTCモードでの燃費は、ライズが最大28.0km/Lを達成しており、クラスを超えた優れた経済性を実現。これに対してXVの燃費は13.3~15.0km/Lと、4WD車としては平均的な水準にとどまる。

 

このように、軽量ボディと高出力なモーターを持つシリーズハイブリッドシステムを武器に、ライズの燃費性能はXVに対して大きなアドバンテージを持っていると言えるだろう。

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運転支援機能や悪路走破性を比べるとXVのコスパは高い

2.価格比較

新車ライズ(A200系)の評価は4.0

中古車XV(GT系)の評価は4.5

*中古車相場は、2025年9月調べ

*新車価格は2025年9月現在

 

ライズの新車価格とGT系XV中古車相場を、両車の最上級グレードで比較した。

ライズZ (ハイブリッド、2WD)

新車価格 244万2000円

ライズZ(1.0Lターボ、4WD)

新車価格 241万3400円

XVアドバンス(4WD)2022年式

中古車相場 220万円~250万円

快適装備や運転支援機能を比較すると、中古車スバル XV(GT系)のアドバンスグレードが、新車のトヨタ ライズ(A200系)を大きく上回る装備内容を持っていることがわかる。

 

中古市場で流通量の多いXVのアドバンスグレードは、2.0Lエンジンに小型モーターを組み合わせたe-BOXERハイブリッドを搭載しているだけでなく、内外装の質感や快適装備の充実度も特徴だ。インテリアには、合成皮革とトリコットを組み合わせた上質なシート表皮を採用し、運転席・助手席ともに電動調整式のパワーシートを標準装備。エアコンは左右独立温度調整機能付きのフルオート式で、同乗者の快適性にも配慮されている。

 

運転支援機能では、スバル独自のステレオカメラ方式を用いた「アイサイトver.3」を全グレードに標準装備。プリクラッシュブレーキや車線逸脱警報、アダプティブクルーズコントロール(ACC)など、10の先進安全機能が含まれる「アイサイトコアテクノロジー」がベースとなっている。さらに、オプションで用意されている「アイサイトセイフティプラス(運転支援)」や「同(視界拡張)」が装着されていれば、最新の新車にも劣らないレベルの運転支援性能を誇る。

 

一方、ライズ(A200系)は、全グレードでファブリックシートを採用しており、パワーシートの設定はなし。シートヒーターはZとG、Xの4WD車に限って標準装備されている。内装にはメッキ加飾を随所に施して上質感を演出してはいるが、全体的な質感や装備の充実度はXVに及ばない。さらに、便利なアクセサリーコンセントも、ハイブリッド車のZ・Gグレードにのみ有料オプション(4万4000円)で設定されるなど、装備面ではコスト削減の意識がうかがえる。

 

運転支援機能についても、ライズはやや物足りなさが残る。アダプティブクルーズコントロールやレーンキープサポートなどの機能は、最上級グレードのZにしか標準装備されていない。対するXVは全グレードにACCやレーンキープサポートが標準装備されており、安全装備の面でも優位性が際立っている。

また、駆動方式の面でも違いがある。ライズのハイブリッド車(e-SMART)は2WD(FF)のみの設定となっており、雪道や悪路に強い4WDが選べないのに対し、XVは全グレードがフルタイム4WDとなっており、安心感のある走行性能が得られる。

 

もともと2クラス差がある両車だけに、快適装備や安全装備の面ではXVが大きくリードしている。XVの中古車価格が下がり、ライズの新車価格帯に収まってくると、装備面でのアドバンテージはさらに際立つ。

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値引き拡大傾向のライズ

3.購入時の値引き術

新車ライズ(A200系)の評価は4.0

中古車XV(GT系)の評価は3.0

 

価格帯を見ると、新車のトヨタ ライズ(A200系)と、中古車となったスバル XV(GT系・アドバンスグレード)は、条件次第でほぼ同程度の予算に収まるケースも多い。だが、購入時の値引き余地や交渉の進め方には大きな違いがある。

 

ライズは、2019年にデビューしたモデルということもあり、フルモデルチェンジの時期が近づいている可能性が高い。こうした背景から、新車の値引き幅は拡大傾向にあり、ハイブリッドモデルでもしっかり商談をすれば25万円程度の値引きが期待できる状況となっている。

ただし、モデル末期という点はメリットでもありデメリットでもある。新車として購入してすぐにモデルチェンジが行われてしまうと、リセールバリューの面で不利になる可能性があるため、モデルチェンジ時期の情報収集は必須だ。

また、商談時には必ずライバル車と競合させることが重要。ライズと競合しやすいのは、スズキ クロスビーやダイハツ ロッキーなど。これらの車種と相見積もりを取り、価格や条件を引き出すことで、より有利に交渉を進められる。さらに、下取り車がある場合は、買取専門店で事前査定を取り、ディーラーの下取り額と比較することも忘れてはならない。大きな値引きがあっても、下取りで損をしてしまえば、トータルでの損失となるからだ。

 

一方、中古車での購入となるスバル XVは、値引きは基本的にゼロと考えた方が良い。中古車は市場価格が可視化されており、価格競争が激しいため、販売店としても簡単に値引きできない事情がある。むしろ、過度な値引きを提示された場合は「売らなければならない理由がある」可能性もあるため、状態や履歴を慎重に確認し、信頼できる販売店かどうかを見極めることが重要となる。

 

新車と中古車では、交渉の戦略がまったく異なる。どちらにしても、「価格だけでなく総合的な条件」で比較する視点を忘れないことが、後悔のないクルマ選びにつながるだろう。

デザインは両車ともに、SUVらしい逞しさやギア感を強調

4.デザイン比較

新車ライズ(A200系)の評価は3.5

中古車XV(GT系)の評価は4.0

ライズ:コンパクトなボディでもSUVらしい逞しさと躍動感を強調

ライズ(A200系)の後景の画像

※上図:ライズ(A200系)の後景

ライズ(A200系)は、「力強く!新しい!アクティブスタイル」をコンセプトに、角張ったバンパーコーナーや台形ロアグリルなどを用いて、力強さとワイド感を強調したフロントマスクが特徴的だ。張り出したフェンダーと大径タイヤを組み合わせ、コンパクトながらも躍動感にあふれるSUVらしい外観に仕上がっている。

ライズ(A200系)のフロントフェイスの画像

※上図:ライズ(A200系)のフロントフェイス

ボディサイズは全長4m以下という取り回しのしやすいサイズ感ながら、大人5人がゆったり乗れる室内空間とクラストップレベルのラゲッジ容量を確保しているのもポイント。狭い道や駐車場でも扱いやすいのは、都市部のユーザーにとって大きな利点だ。

ライズ(A200系)のリヤエンドの画像

※上図:ライズ(A200系)のリヤエンド

インテリアでは、シルバー加飾が施された背の高いセンターコンソールや、視線移動が少なく済む高めの位置に配置されたシフトレバー、そしてドライバーを包み込むようなコクピット型のインパネデザインによって、アクティブな雰囲気を演出している。

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XV:外観のマットブラックのクラッディングや内装のステッチでアクティブ感を演出

XV(GT系)の後景の画像

※上図:XV(GT系)の後景

一方、スバル XV(GT系)は、インプレッサをベースとしたクロスオーバーSUVで、洗練された都会的なデザインと高い走行性能を融合させたモデルだ。ボディ全体の塊感やワイドスタンス、ルーフレールなどのSUVらしい装備によって、より本格的なクロスオーバーらしさを漂わせている。

XV(GT系)のフロントフェイスの画像

※上図:XV(GT系)のフロントフェイス

使い勝手の面では、全長4.5m前後のボディを持つXVの方が当然ながら室内スペースに余裕があり、ラゲッジスペースも実用的。加えて最低地上高は200mmを確保しており、悪路や雪道での安心感も高い。全車4WDという構成も、アクティブユーザーには魅力的なポイントとなる。

XV(GT系)のリヤエンドの画像

※上図:XV(GT系)のリヤエンド

まとめると、ライズはコンパクトなボディと軽快さを活かしたアクティブスタイルのSUV。一方、XVは本格クロスオーバーらしい存在感と使い勝手の良さが光る1台だ。デザインにおいても、ライズがよりポップで若々しく、XVが落ち着きと上質感を意識した方向性となっており、好みによって選び分けたい。

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サイズが小さなライズでも荷室スペースはほぼ互角

5.室内空間と使い勝手

新車ライズ(A200系)の評価は4.0

中古車XV(GT系)の評価は4.0

 

ライズとXVのボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。

・ライズ

ボディサイズ

全長3,995mm×全幅1,695mm×全高1,620mm

ホイールベース

2,525mm

室内サイズ

室内長1,955mm×室内幅1,420mm×室内高1,250mm

荷室容量

369L

 

・XV

ボディサイズ

全長4,485mm×全幅1,800mm×全高1,550mm

ホイールベース

2,670mm

室内サイズ

室内長2,085mm×室内幅1,520mm×室内高1,200mm

荷室容量

340~385L

XV(GT系)の内装:運転席の画像

※上図:XV(GT系)の運転席

XV(GT系)の内装:後席の画像

※上図:XV(GT系)の後席

XV(GT系)の内装:荷室の画像

※上図:XV(GT系)の荷室

ボディサイズの比較では、トヨタ ライズ(A200系)とスバル XV(GT系)の間には明確な差がある。特に全長は、XVのほうが490mmも長く、全幅でも105mmワイドとなっており、ボディサイズとしては2クラス上の差があると言ってもいい。

 

室内空間に大きく影響するホイールベースも、XVが145mm長い設計となっており、リアシートのニースペース(膝まわりの余裕)などにゆとりがある。ただし、全高はライズのほうが70mm高く、室内高についてもライズが50mm大きい。室内長はXVが130mm長く、室内幅も100mmワイドとなっており、総合的にはXVのほうが広々としたキャビンを持つ。

 

このように、かなりサイズ感の異なる両車だが、ラゲッジスペースの容量は互角となっている。ライズの荷室容量は369L、XVは340~385Lで、ほぼ同等の実用性を確保。これは、ライズが高めの全高を活かし、上下方向の空間効率を高めている結果といえる。

ただし、リアシートの居住性に関しては、ニースペースではXVが上回り、長距離移動や後席に大人を頻繁に乗せるシーンでは快適性に優れる。一方で、ヘッドクリアランスではライズが上回るため、小柄な人やチャイルドシートの取り付けなどにはライズのほうが扱いやすいケースもある。

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ライズ(A200系)の内装:運転席の画像

※上図:ライズ(A200系)の運転席

ライズ(A200系)の内装:後席の画像

※上図:ライズ(A200系)の後席

ライズ(A200系)の内装:荷室の画像

※上図:ライズ(A200系)の荷室

取り回し性能に関しては、コンパクトなボディを持つライズが有利だ。最小回転半径は4.9~5.0mと小さく、狭い道や駐車場でも扱いやすい。XVは17~18インチという大径タイヤを装着しながらも5.4mに抑えられている点は健闘しているが、それでもライズの取り回しの良さには及ばない。

 

総じて、リアシートの快適性や荷室の長さを重視するユーザーにはXVが適しており、扱いやすさや高さ方向のゆとりを重視するユーザーにはライズが向いていると言える。どちらもパッケージングに優れており、それぞれの設計思想がうまく反映されたモデルだ。

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中古車でもXV搭載のアイサイトは見劣りしない

6.安全装備&運転支援機能の比較

新車ライズ(A200系)の評価は4.0

中古車XV(GT系)の評価は4.5

 

安全性能においては、どちらも高いレベルにあるが、細かく見ていくとスバル XVの完成度の高さが際立つ。一方で、トヨタ ライズもコンパクトSUVとしては十分な安全装備を備えており、グレードによっては最新の装備に匹敵する機能も揃っている。

ライズ(A200系)の内装:インパネデザインの画像

※上図:ライズ(A200系)のインパネデザイン

ライズ(A200系)は、「次世代スマートアシスト」を全車に標準装備。衝突回避支援ブレーキ(対車両・対歩行者[昼夜])や、車線逸脱警報・逸脱抑制制御、ふらつき警報、誤発進抑制制御(前後)、先行車発進お知らせ機能など8つの機能がすべてのグレードに標準装備されている。さらにG・Xグレードにはオートハイビームが追加され、最上級グレードのZでは、アダプティブドライビングビームや全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)、サイドビューランプ、レーンキープコントロール、コーナリングトレースアシストが標準装備される。

ライズ(A200系)の内装:メーターの画像

※上図:ライズ(A200系)のメーター

標識認識機能はZ・Gグレードに標準装備(Xはオプション)となり、ブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラート、パノラミックビュー、駐車支援システム「スマートパノラマパーキングアシスト」もZ・Gグレードのみに装着可能なオプションとなっている。

XV(GT系)の内装:インパネデザインの画像

※上図:XV(GT系)のインパネデザイン

一方でスバル XV(GT系)は、全グレードにスバル独自の運転支援パッケージ「アイサイトコアテクノロジー」を標準装備。プリクラッシュブレーキ、誤発進抑制、ツーリングアシスト(車線中央維持+全車速追従ACC)、ふらつき警報、先行車発進警報など、日常のあらゆる場面でドライバーを支える機能がパッケージ化されている。上級グレードでは、燃費性能向上に貢献するECOクルーズコントロールも追加される。

XV(GT系)の内装:メーターの画像

※上図:XV(GT系)のメーター

さらに、XVにはオプションで「アイサイトセイフティプラス(運転支援)」および「同(視界拡張)」が用意されており、これが装着されていれば、現在の新車に搭載される先進運転支援システムに匹敵する性能となる。

 

中でも注目すべきは、後退時の速度を制御する「後退時速度リミッター」。これはペダル操作ミスによる事故を未然に防ぐ機能で、特に駐車時や狭い場所での取り回しにおいて高い安心感をもたらす。

 

機能の数と先進性を比較すると、ライズはグレードによって装備差が大きく、Zグレードでようやく追いつくレベル。一方で、XVは全グレードが高水準で統一されており、さらにオプション装備によって機能を強化できる点が強みだ。

 

中古車としてXVを検討する場合は、「アイサイトセイフティプラス(運転支援/視界拡張)」の装着有無を確認することが、安心かつ満足度の高い選び方につながるだろう。

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悪路走破性ならXV、街乗りならライズ

7.走行性能の比較

新車ライズ(A200系)の評価は3.5

中古車XV(GT系)の評価は4.0

 

ライズとXVのパワートレインスペックは以下のとおり。

 

・ライズ

1.0L直3DOHCターボエンジン 

  • 最高出力98ps
  • 最大トルク140N・m

1.2L直列3気筒DOHCエンジン

  • 最高出力87ps
  • 最大トルク113N・m

1.2L直列3気筒DOHCエンジンハイブリッド

  • モーター最高出力106ps
  • 最大トルク170N・m

 

・XV

1.6L水平対向4気筒DOHCエンジン

  • 最高出力115ps
  • 最大トルク148N・m

2.0L水平対向4気筒DOHCエンジンマイルドハイブリッド

  • 最高出力145s
  • 最大トルク188N・m
  • フロントモーター最高出力13.6ps
  • フロントモーター最大トルク65N・m
ライズ:税金面でも有利な1.0Lターボエンジン搭載車がベストグレード

ライズ(A200系)のエンジンルームの画像

※上図:ライズ(A200系)のエンジンルーム

トヨタ ライズ(A200系)には、個性の異なる3種類のパワートレインが用意されており、それぞれに特徴的な走り味がある。

 

中でも最も注目すべきは、1.2Lエンジンを発電専用に使い、モーターのみで駆動するシリーズハイブリッドのe-SMARTモデルだ。このe-SMARTは、最大トルク170N・mの高トルクなモーターで前輪を駆動する。モーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮する特性があり、実際に走り出すと想像以上に力強くグイグイと加速していく。3タイプのパワートレインの中でも、最もパワフルで、電動車らしいスムーズかつ爽快な走行フィールを実現している。ただし、発電タイミングやエンジンの始動制御に関わる部分ではやや熟成の余地があり、静粛性では課題も感じられる。

 

1.0L直3ターボエンジンは、排気量の小ささゆえに自動車税面でのメリットがある点が特徴。ただし、駆動方式は4WD専用で選択肢が限られる。最高出力は98ps、最大トルクは140N・mと、数字上はe-SMARTに劣るものの、車両重量が軽いこともあって、ターボの過給が始まればe-SMART並みの加速性能を発揮する。ダウンサイジングターボならではの軽快な走りを味わいたい人には適している。

 

そして、最もベーシックな1.2L自然吸気エンジンも、侮れない存在だ。最大出力は87psと控えめだが、低回転からトルクが出るセッティングが施されており、市街地でのストップ&ゴーが中心なら、e-SMARTやターボモデルとの差はそれほど感じられない。シンプルかつ扱いやすい走行特性を求める人に向く仕様と言える。

 

乗り心地に関しては、ライズはやや硬めのサスペンションセッティングとなっている。低速域では路面の凹凸を拾いやすく、突き上げ感やゴトゴトした印象があるものの、速度が上がるにつれてしなやかさが出てくる。全体としては、街乗りSUVとしてはキビキビとしたスポーティなハンドリングが楽しめる設定だ。

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XV:燃費性能は物足りないが、低重心を活かした安定感の高さが光る

XV(GT系)のエンジンルームの画像

※上図:XV(GT系)のエンジンルーム

スバル XV(GT系)の魅力のひとつが、本格SUVに匹敵する走破性能と、快適性を両立した走りの質感にある。搭載されるパワートレインは、1.6L・2.0Lの自然吸気エンジン、そして2.0Lエンジンに小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド「e-BOXER」の3タイプ。

 

なかでも価格的な魅力があるのは1.6Lエンジン搭載車だが、高速道路の合流や追い越しといった瞬発力が求められる場面ではやや非力で、加速時にストレスを感じることもある。街乗り中心の用途であれば問題ないが、高速走行が多いユーザーには物足りなさが残るだろう。

 

一方、中古車市場で最もおすすめできるのは、e-BOXERを搭載したアドバンスグレードだ。エンジン出力を補う程度の小さなモーターだが、加速の滑らかさや発進時のスムーズさが向上しており、ストップ&ゴーの多い都市部では好印象だ。電動車としての力強さはないものの、ガソリン車よりは扱いやすく、バランスの取れた走行性能を備えている。

 

XV最大の特徴は、SUVとしての高い悪路走破性。最低地上高は200mmと、このクラスでは非常に高く、深雪や荒れた路面でも十分に対応できる設計となっている。全車4WDという点も、アウトドアユースを考えると大きなアドバンテージだ。

最低地上高が高いと、一般的にはコーナリング時や高速走行時に車体が不安定になりやすいが、XVはこの点もよく考慮されている。足回りにはリヤにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、操縦安定性と快適性の両立を実現。サスペンション自体はやや硬めのセッティングながら、突き上げ感やゴツゴツ感は少なく、フラット感のある上質な乗り心地が味わえる。

このようにXVは、街中から高速道路、悪路までをカバーする走破性と乗り心地の良さを両立した、万能型クロスオーバーSUVとして高い完成度を誇っている。

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乗り心地や操縦安定性、悪路走破性は、XVの圧勝

ライズとXVの走りを比べた際、最も大きな違いが現れるのがサスペンション形式と駆動方式の違いだ。

 

XVは、リヤサスペンションにダブルウィッシュボーン式を採用しており、走行中の路面追従性や衝撃吸収性に優れ、乗り心地の面ではライズを明確にリードしている。さらに、X-MODEと呼ばれる専用4WD制御を採用し、悪路や雪道でも安定した走行を実現。最低地上高は200mmと、同クラスでもトップクラスのクリアランスを誇る。アウトドアやウインタースポーツといった悪路を伴うレジャーユースでは、XVが圧倒的に優位だ。

 

一方で、ライズ e-SMARTはシリーズハイブリッドならではのスムーズかつ力強い走りが魅力。モーター駆動によるレスポンスの良さと静粛性の高さは、ガソリンエンジン主体のXVにはない利点であり、日常域では軽快かつ快適な走行フィールを提供してくれる。

 

要するに、「悪路走破性・安定性・乗り心地の高さ」で選ぶならXV、「街乗り中心・静粛性・軽快な加速感」で選ぶならライズ e-SMARTがおすすめだ。

ライズは「新車超え」、XVは「今が買い時」

8.リセールバリュー比較

新車ライズ(A200系)の評価は5.0

中古車XV(GT系)の評価は4.0

*中古車相場は、2025年9月調べ

 

ライズZ(e-SMART、FF)

  • 中古車相場2022年式:約210~260万円
  • 当時の新車価格比:約90~111% 

 

XVアドバンス(4WD)

  • 中古車相場 2022年式:220万円~250万円
  • 当時の新車価格比:約74~84% 
ライズ:もはや、異常値ともいえる圧倒的なリセールバリュー

トヨタ ライズ(A200系)は、現在の中古車市場において異常値とも言えるリセールバリューを記録している。2022年式(3年落ち)モデルでも新車価格の90%以上で取引されており、人気グレードや高年式車では新車価格を上回るケースも珍しくない。

 

これは、トヨタの人気車種であることに加え、ハイブリッド車の納期が3~4ヶ月(2025年9月時点)と長期化している影響もあると考えられるが、それにしても3年落ちのコンパクトSUVが新車価格を超える状況は極めて異例だ。

 

このため、現時点でのライズのリセールバリューは非常に高く、将来的に売却を視野に入れているユーザーにとっては大きなメリットとなる。

 

ただし注意点もある。ライズは2019年に登場したモデルであり、フルモデルチェンジのタイミングが近づいている。次期型ライズ(2代目)が発表されれば、中古車相場は一気に下落する可能性も否定できない。もし近い将来の売却を検討しているなら、モデルチェンジ前の売却が安心だ。

 

それでも、ライズは車格・価格帯を考慮すれば、フルモデルチェンジ後もリセールバリューをある程度維持できる可能性が高い。将来の価値を重視するユーザーにとっては、引き続き魅力的な選択肢と言えるだろう。

XV:順調に中古車価格を下げ買い得感が増してきている

スバル XV(GT系)は、すでに後継モデルであるクロストレックが登場済みであることから、中古車市場への在庫流入が増加しており、それに伴って中古車相場は下落傾向にある。

 

特に人気グレードであるアドバンス(4WD)の2022年式モデルを見ると、中古車価格は新車価格比で約74〜84%程度となっており、そろそろ“買い時”に入ってきたといえるタイミングだ。ライズのような“新車越え”はないものの、全体としては依然としてリセールバリューは比較的高水準を維持している。

 

その背景には、スバルならではの本格4WDシステムや悪路走破性能の高さ、そして熱心なスバルファンの存在がある。これらが中古車市場でも一定の評価を得ており、ハッチバック系や他のSUVと比べても、リセールバリューが高めとなっているのだ。

 

今後の見通しとしては、年式が古くなるに連れて徐々に下落していくことは避けられないものの、スバル車特有の“粘り強い相場”が維持される可能性も高い。特に、クロストレックとの違いや装備内容にこだわるユーザーにとっては、XVならではの魅力が残っており、一定の価値を保ち続けると考えられる。

すべてに余裕を感じたいのならXV。サイズの制約があるならライズがおすすめ

9.まとめ・総合評価

新車トヨタ ライズ(A200系)が合う人のポイント

  • 車庫などの都合で、ボディサイズは小さい方がよい。でも、SUVが欲しい。
  • 燃費のよいハイブリッド車に乗りたい
  • 悪路走破性の優先度は低く、街乗り重視

ライズの中古車在庫をチェックする>

中古車スバル XV(GT系)が合う人のポイント

  • キャンプやウインタースポーツなど、悪路走破性の優先順位が高い
  • 力強さや乗り心地、操縦安定性が重要
  • 中古車とはいえ、なるべく高いレベルの予防安全性能をもつ車に乗りたい
  • 同じ予算なら、なるべく大きく走行性能に優れたクルマに乗りたい

XVの中古車在庫をチェックする>

トヨタ ライズとスバル XVは、いずれもコンパクトSUVとして魅力的な選択肢だが、両車ともに駆動方式の設定においてやや物足りなさが残るのは事実だ。

 

ライズは、ハイブリッドのe-SMARTと1.2Lガソリンエンジン搭載車がFF(前輪駆動)のみ。1.0Lターボは4WD専用という構成になっており、燃費性能に優れたe-SMARTで4WDを選べない点は、アウトドアや雪道での使用を想定するユーザーには物足りない部分となる。一方、XVは全車4WDで、優れた悪路走破性を誇るものの、4WDが不要な人にとっては価格が割高に感じられる。安価なFFモデルの設定があればと感じる人も少なくないだろう。

 

このように、どちらのモデルも万能とは言いがたく、自身の使用スタイルや重視するポイントに応じて優先順位を明確にすることが重要になる。とにかく燃費を最優先し、悪路走破性を求めないのであれば、静かでスムーズな走りが魅力のライズ e-SMARTを選ぶのが賢明だ。一方、燃費性能はそれほど重視しないが、冬場の走行やアウトドアなどでの走破性を重視したいなら、全車4WDで最低地上高200mmを確保したXVを選ぶべきだろう。

 

また、ライズのe-SMARTにこだわらないのであれば、同価格帯で購入可能なXVの中古車は、装備や走行性能、安全性、乗り心地の面でライズを大きく上回る。新車でライズを購入するよりも、中古のXVを選んだ方が総合的な満足度は高いという選択肢も十分に成立する。

最終的に、どちらが優れているかというよりも、「自分の用途にどちらが合っているか」を明確にすることが、納得のいくクルマ選びへの近道になるはずだ。

項目

ライズ(A200系)

XV(GT系)

総合得点(40点満点)

32.5

31.5

1.燃費

4.5

3.5

2.価格

4.0

4.5

3.購入時の値引きしやすさ

4.0

3.0

4.デザイン

3.5

4.0

5.室内空間と使い勝手

4.0

4.0

6.安全装備

4.0

4.5

7.走行性能

3.5

4.0

8.リセールバリュー

5.0

4.0

トヨタ ライズ(A200系)の価格とスペック

  • 2X (2WD):180万700円~ハイブリッドZ 2WD:244万2000円

代表グレード

ハイブリッドZ 2WD

ボディサイズ

全長3,995mm × 全幅1,695mm × 全高1,620mm

ホイールベース

2,525mm

最低地上高

185mm

車両重量

1,070kg

エンジン型式

WA-VEX

エンジンタイプ

直列3気筒 DOHC

総排気量

1,196cc

エンジン最高出力

82ps(60kW)/5,600rpm

エンジン最大トルク

105N・m(10.7kgm)/3,200~5,200rpm

モーター型式

E1A

モーター最高出力

106ps(78kW)

モーター最大トルク

170N・m(17.3kgm)

WLTCモード燃費

28.0km/L

駆動方式

前輪駆動(2WD)

トランスミッション

サスペンション(前/後)

マクファーソンストラット式/トーションビーム式

タイヤサイズ(前/後)

195/60R17

最小回転半径

5.0m

スバル XV(GT系)の価格とスペック

  • 6i アイサイト(4WD):220万円~アドバンス(4WD):295万9000円

代表グレード

アドバンス 4WD

ボディサイズ

全長4,485mm × 全幅1,800mm × 全高1,550mm

ホイールベース

2,670mm

最低地上高

200mm

車両重量

1,550kg

エンジン型式

FB20

エンジンタイプ

水平対向4気筒 DOHC

総排気量

1,995cc

エンジン最高出力

145ps(107kW)/6,000rpm

エンジン最大トルク

188N・m(19.2kgm)/4,000rpm

モーター型式

1VM

モーター最高出力

13.6ps(10kW)

モーター最大トルク

65N・m(6.6kgm)

WLTCモード燃費

19.2km/L

駆動方式

四輪駆動(4WD)

トランスミッション

CVT(リニアトロニック)

サスペンション(前/後)

マクファーソンストラット式/ダブルウィッシュボーン式

タイヤサイズ(前/後)

225/55R18

最小回転半径

5.4m

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員