ドアのダメージは強烈ながら、奇跡的にロールゲージは無事!

 サービスで準備万端整えラリーカーを待っていたら、車検担当のオフィシャルがやってきた。タイ人は考えていることが顔に出ます。いかにも言いづらそうに「クニサワ。このままの状態だと競技続行させられないので何とかカタチにしてくれないか。それとロールケージのチェックもさせて欲しい」。

 そら当然です。ドア内部の構造を展示した状態で走らせようとは思っていない。ロールケージだってダメージ受けていたなら、私自身、リタイアを選ぶだろう。小沢さんに「ドアは何とかしなくちゃダメですね」と言うと「任してください!」。う〜ん。心強いぞ!

修復開始、マシンは元に戻るのか?

                   ドアの中身がよーく分かります

 ちなみに目視ながら(サービス以外の場所でラリーカーに触ったら失格です)曲がってないことを確認済。素晴らしく派手なクラッシュだったのに、またしても全くダメージ無かったのだ。

 タイムコントロールで車検のオフィシャルにロールケージの状況をチェックしてもらう。「クニサワ。ロールケージはOKだよ。良かったね!」という判断。となればドアの修理だ! サービスタイムの20分でどこまで修復出来るか? サービスでは小沢さんが仁王立ちで待ってる。よし時間だ。サービス開始だ!

小沢さん、魂の仕事を披露

 小沢さん、まずバールでAピラーに食い込んだドアの付け根をバリバリ引き起こし、続いて大ハンマー使って凹んだブブンをバゴ〜ン! バゴ〜ン! ほとんど野戦病院みたいな感じ。丁寧さより、結果が大切なのだ。

 もちろん完全にゃ修復出来ないものの、メリ込んだAピラーとリアのドアを何とか分離。プラスティックの板をドアの外側に貼ることが出来るような形状まで戻す。さらに外側は厚手のビニールを被せ、2重にしておく。これならドロ道走ったって大丈夫!

見た目のダメージは深刻、凄腕メカニックにすべてを賭ける!

                  はたして交換用のドアは見つかるのか?                

 続いて足回りのチェック。サイドシルこそ大きく凹んでしまったが、アライメントを計ってビックリ! 左右のホイールベースだけじゃなくトーまで狂っておらず! といったことからも、ロールケージにダメージ無いと解ります。全く補強してないボディなのに! インプレッサって丈夫だ。

 仕上げに白いテープで左ドアにゼッケンを書く(これ、カントク自ら作業したため写真取っておらず)。終了後、再び車検オフィシャルにチェックしてもらうと「問題ありません!」。ただし明日はこのまま走らせられないので、何とかして欲しいとのこと。

 すぐヨッドさんにドアの手配を頼む。といってもラリー開催地はバンコックから150kmも離れたラヨーン。加えて土曜日だ。日本だってインプレッサWRX用のドア2枚なんか簡単に入手できない。ガラスやドアミラーだって必要である。もはや万事休すか?