【SUBARU 06WRC】新井 敏弘、C.アトキンソン各選手とワールドラリーカー『スバル インプレッサ WRC2006』

06年度不調の原因は「クルマ開発の失敗」

 「チームの不調を心からお詫びする」。スバルWRCチームを率いるSTi(スバルテクニカインターナショナル)桂田社長は、会見の席で開口一番そう話した。

 今期06年のスバルは、WRC(世界ラリー選手権)にワークスチーム『SUBARU World Rarry Team』から「SUBARU インプレッサ WRC2006」を年間の各戦に2台または3台を参戦させるも、シリーズ通して優勝は0回。ドライバーズポイントでペタ−・ソルベルグ選手が6位、マニファクチャラー部門で3位、という残念な結果で終わった。
 その理由を桂田社長は「クルマの開発の失敗にある」と正直に話した。その原因として「組織」「人」「仕組み」に根本的欠陥にあることが明確になったことから、06年は変革に取り組む1年だったという。

 いっぽう『SUBARU WORLD RALLY TEAM』(SWRT)の菅谷 重雄 マニュファクチャラー代表はマシン不振の原因について、フロントパッケージングとシャシーダイナミズムの2点に問題があったと話す。
 3年前に導入した新パッケージングだったが、F1界から転籍してきたというチーフデザイナーの経験不足などから、砂塵や泥などの悪環境を前に想定外のトラブルを生んだ。また、またレギュレーション規定の変更により重量配分、ジオメトリー、サスやデフのセッティングといった問題なども発生。それら多くの課題がエンジニアたちを悩ませたのだ。

【SUBARU 06WRC】スバルテクニカインターナショナル株式会社(STi)桂田 勝 社長
スバルテクニカインターナショナル株式会社(STi)桂田 勝 社長
【SUBARU 06WRC】SUBARU WORLD RALLY TEAM マニュファクチャラー代表 エンジニアリング 菅谷 重雄氏
SUBARU WORLD RALLY TEAM マニュファクチャラー代表 エンジニアリング 菅谷 重雄氏
【SUBARU 06WRC】富士重工業株式会社 スバル商品企画本部 プロジェクトジェネラルマネージャー 森 宏志氏
富士重工業株式会社 スバル商品企画本部 プロジェクトジェネラルマネージャー 森 宏志氏

ドライバーの意のままに扱えるマシン 〜 07モデルは第3戦メキシコから投入か 〜

 「インプレッサ」の市販モデル、そしてWRCカーの統括を兼任する森 宏志 プロジェクトジェネラルマネージャーは、多くの課題を踏まえた上で07モデルのWRカーについて語った。
 まず、06年モデルの課題としてタイトターン時のトラクションのなさを挙げ、それに対応すべくサスペンションやボディシェルに改良を加えたという。またエンジンまわりでは、冷却系レイアウトの見直しにより砂塵やウォータースプラッシュ耐性の向上を図り、LSDの仕様変更によりトラクション性や高速安定性の向上を目指すなどした。この新モデルを、出来れば07年第3戦のメキシコ『Corona Rally Mexico』(3月)から早々に実戦投入したいとしている。
 森氏は、『走りを極めれば車は安全になる』というスバルの開発テーマを掲げ、WRカーと市販車開発の協調による全体のレベルアップをさらに極めるとともに、ドライバーをてこずらせた今期のマシンに代わり、07モデルでは意のままに操れるものとすることを誓った。

【SUBARU 06WRC】SWRT期待の若手「クリス・アトキンソン」選手(オーストラリア)
SWRT期待の若手、クリス・アトキンソン選手(オーストラリア)は「決して楽な1年ではなかったが、これから色々と良い要素が導入されていくので期待している」と前向きだ。また「07年はさらにミスのないドライビングを目指す」と抱負を語った。
【SUBARU 06WRC】群馬が生んだ日本のエース「新井 敏弘」選手
いっぽう、今期はP-WRC参戦に加え、ラリージャパンでWRカーを駆るなど活躍の場を広げた新井 敏弘選手は「日本人もこれだけ出来る、ということをアピール出来た」と自身に一定の評価をしたうえで「来年こそは全開で行きたい」と語った。
【SUBARU 06WRC】「ペター・ソルベルグ」選手はビデオレターで登場
会見に参加できなかったエースドライバー、ペター・ソルベルグ選手はビデオレターで参加。「再びトップに返り咲くため、チームとエンジニアは一丸となって懸命に努力しています。来年は今年とまったく違う年となるはず。だからもう少し待っていてください。」とアピールした。
【SUBARU 06WRC】ミシュラン日本社長も記者会見場に
会見の席で来期からタイヤをBFグッドリッチ製にスイッチすることを正式に発表した。会場には同ブランドを擁するミシュランタイヤの日本法人、フランソワ・ビュッソン社長(中央)と桂田STi社長(左)、そして富士重工業(株) 土屋 孝夫 代表取締役 副社長(右)が勢揃い。
【SUBARU 06WRC】94年から12年に渡り活躍したピレリタイヤ
94年よりスバルと手を組んできたピレリタイヤが、今期限りでWRC撤退を表明した。ピレリは、スバルをWRC46勝へ導いた重要なパートナーだ。STi桂田社長は会見場でこの偉業の達成した同社に対し、改めて深い感謝の意を表した。
【SUBARU 06WRC】「SUBARU World Rarry Team」の『SUBARU インプレッサ WRC2006』
今期、世界最高峰のWRC(世界ラリー選手権)を戦い抜いたワークスマシン『SUBARU インプレッサ WRC2006』。もうひとつの世界最高峰「F1」とは大きく異なり市販モデルをベースにしているところが、WRCを身近に感じさせる好ましい点だ。
【SUBARU 06WRC】
【SUBARU 06WRC】スバルがWRC(世界ラリー選手権)に『SUBARU World Rarry Team』(SWRT)から参戦する「SUBARU インプレッサ WRC2006」
【SUBARU 06WRC】新井 敏弘、C.アトキンソン各選手

スバル WRC/STi/インプレッサWRX 関連記事はこちらから

【ラリージャパン開催目前!】スバル、WRCプレスカンファレンス開催!「ぺターが、クリスが、新井が必勝宣言!」

【特集】  written by 徳田 透 (2006.08.30)

9月1日〜3日にかけて開催されるWRC(世界ラリー選手権)第11戦「ラリージャパン」に向けた「SUBARU WRCプレスカンファレンス」が行われた。ペターが、新井がラリージャパンへの熱い想いを語る! >> 記事全文を読む


スバル インプレッサWRC 2006で新井敏弘氏が参戦!

【ニュース】 (2006.08.29)

国際ラリードライバーである新井敏弘氏は、9月1日〜3日に北海道・十勝管内で開催される世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリージャパン」に、改良された最新型ワールドラリーカー、スバル「インプレッサWRC 2006」で出場する。 >> 記事全文を読む


スバル WRC 第11戦ラリージャパン 復活への意気込み

【ニュース】 (2006.08.29)

スバルワールドラリーチーム(SWRT)は、9月1日〜9月3日に北海道十勝管内で開催されるWRC(世界ラリー選手権)第11戦「ラリージャパン」に、ペター・ソルベルグ(ノルウェー)、クリス・アトキンソン(オーストラリア)がドライブする2台の「インプレッサWRC 2006」で出場することを発表した。 >> 記事全文を読む


スバル インプレッサに320psの「WRX STI spec C TYPE RA-R」が登場!

【新車情報】 (2006.11.08)

スバルのモータースポーツ専門会社であるスバルテクニカルインターナショナルは、STI独自の仕様、装備を施したスバル インプレッサ「WRX STI spec C TYPE RA-R」を発表、11月15日より全国スバル特約店を通じ発売開始する。 >> 記事全文を読む