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CVTを全採用! 一番恩恵を受けた1.5リッターの走り。
エコ性能も依然として優秀
カローラらしさと走る楽しさを両立した足
●まとめ

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

CVTを全採用! 一番恩恵を受けた1.5リッターの走り。

 トランスミッションが全車スーパーCVT-iになったのが大きな注目点。廉価グレードには5速MT車の設定もあるが、ほかはFFも4WDもスーパーCVT-iだけの設定である。これも相当に意欲的な設定といえる。

 無段変速のCVTはコンパクトクラスを中心に採用が広がっているが、これは段差のない滑らかな変速フィールと、直接的にトルクを伝えることよによる効率の良さ(燃費の良さ)などが評価されているためだ。コスト的にはまだAT車に比べるとやや高めの水準にあるようだが、カローラが全車に採用するこなどによって量産が進めば、コストダウンが進んで採用が拡大していくものと期待される。

 そのCVTとの組み合わせによる走りだが、従来からの1.5Lエンジンでも相当に気持ち良く走らせることができる。静かで滑らかな走りはいかにもトヨタ車らしいもの。18.2km/Lという燃費の良さも注目モノだ。
 
 新しく開発された1.8Lエンジンは動力性能にも十分な余裕がある。1.5Lと同様にFFと4WDでややチューニングが異なるが、FF車では100km/175N・mのパワー&トルクだから、クラスの水準に達している。実際に走らせた印象でもトルクフルで滑らかな走りはカローラの走りを大きく向上させたものといえる。

エコ性能も依然として優秀

 走りの良さに加えて、排気ガス性能は★★★★の最高水準にあり、燃費も4WD車が平成22年基準+10%によってグリーン税制に適合している。ちなみに1.5L車はFFのCVT車が+10%を達成している。燃費についてはまだ少し頑張る予知があるというところか。

カローラらしさと走る楽しさを両立した足

 かなり柔らかめでありながらしっかりした感じもある新型カローラの乗り心地も文句のないものだ。個人的な好みでいえば、もっと硬めで安定性を重視した仕様が欲しいが、日本の多くのユーザーにはカローラのような柔らかめのチューニングが好まれるからだ。

●まとめ

 小さな高級車への道を歩み始めたことで、今度のカローラは高くなった印象がある。特にVSCからプリクラッシュセーフティ、インテリジェントパーキングアシスト、SRSサイド&カーテンエアバッグなど、各種装備を標準化したラグゼール“αエディション”では230万円台の価格が設定されている。

 ただベースグレードとなる1.5Xでは、従来に比べてあまり高くなっていない印象。今回のモデルでは全車にバックモニターが装備されたほか、スーパーCVT-iが採用されるなど、価格アップの要素が多かった割には価格設定が抑えられている。

 1.5L車でもカーナビなどのオプションを装着するとざっと200万円くらいの価格になるわけで、購入予算が少しずつ上昇しているのも間違いない。

 それでも、十分な買い得感を感じさせるのが今回のカローラといえる。

1.5リッターエンジンはCVTとの組み合わせで、そのポテンシャルを存分に発揮できるようになった。燃費&走りを非常に高くバランスしているユニットだ。

デュアルVVT-iを搭載した1.8リッターエンジンはとても高性能。そして7速モード付のCVTと組み合わせられ、自由自在の走りを楽しめるだろう。

代表グレード 1.5X
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4410×1695×1460mm
車両重量[kg] 1130kg
総排気量[cc] 1496cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 110ps(81kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.3kg・m(140N・m)/4400rpm
ミッション CVT
10・15モード燃焼[km/l] 18.2km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 149.1万円
発売日 2006/10/10
レポート 松下 宏
写真 佐藤 靖彦