体は大丈夫そう。早く脱出してくれー

 どうやらコース上で横倒しになっているみたいだ。コケたことは間違いない。ただグループN用のロールケージってめちゃくちゃ強固。猛烈な速度でコース外に飛び出し、太い木などに真横から激突すれば乗っている人間のダメージを心配しなくちゃならないけれど、転倒くらいなら全く問題なし!

横倒しになったラリーカーから人が。新美か?

           直線距離にして約1km。遠くの方に横倒しのラリーカーが……

 加えてSSを走っている時は5点式シートベルトをガッチリ締め、国際競技規格のヘルメットまで被ってる。ケガの心配についちゃしなくていい。強いて言えばガソリン漏れからの引火だけれど、これまたベースになっているインプレッサ自体、転倒してもガソリン漏れしないようになってるから大丈夫だろう。競技車両、普通の人が考えているよりずっと安全なのだ。

おおっ! 人が出てきてるぞ!」

 一番気を付けなくちゃならないのは後続車。ブラインドコーナーの真ん中に横倒し状態とあって、そのままだと絶対突っ込まれる。かといって転倒してる場所まで直線距離にして1km! どうしようもありません。

 早く何とかしなくちゃアカンぞ新美! と思っていたら、おぅおぅ。マドからドチラかワカランけど出てきた出てきた。

 後で新美に聞いたら「早く後続車に知らせに行け!」と私ら考えている頃、すでに後続車が突っ込んでこないよう、三角表示板を持ってダッシュしてたとのこと。サーキットと違いラリーはコースサイドにマーシャルが居ない。コースオフしたらドライバーか・コ・ドライバーが責任持って後続車に注意を与えなくちゃならないのだ。

 聞いていると、転倒現場にさしかかりつつあった出走3番目のインプレッサの音が消えた。安全に止められた様子。やがて4番目のクルマのエンジン音も止まった。とりあえず危険な状況から脱したと考えてよかろう。

ダメージ次第ではラリー続行も可能か?

 さぁどうする? クルマのダメージが少なければ、そのまま起こして続行ということも可能。もちろん本来のレギュレーションだと観客など手伝って路外に飛びだしたクルマをコースに戻したり、転倒したクルマを起こしたりしてはいけない(ドライバーとコ・ドライバーだけで起こすのはレギュレーションによりOKとなってる)。

 けれどWRCの映像見ても、海外のラリーじゃけっこう観客が手伝ってコースに戻している。主催者側もコースのド真ん中で止まられるより、動かしてもらった方が安全だと解釈し、黙認してます。

 今回もそう。徐々に人が集まってきており、元に戻そうとしているらしい。遠くからでも車体の揺れを確認出来る。同時に「バキッ! バキッ!」という音も聞こえてきました。これ、ドアミラーが壊れる音だったそうな。当初3〜4人だったのが10人近くになった頃、

「おお! 戻った戻った!」。さてエンジン掛かるか?