まったく新しいパワーユニットが次元の違う走りを実現
今回の3シリーズクーペには全く新しいパワーユニットが搭載された。エンジンは直列6気筒の3.0Lだが、単なる直6ではなくピエゾインジェクターを使った高精度直噴エンジンとされているからだ。さらにこれにパラレルツインターボが装着されている。非常に小さなターボをふたつ装着することで、低回転域からターボが効きだし、自然吸気にも似た加速フィールを味わうことができる。もちろんアクセルを踏み込めばターボならではの背中を押されるような加速感を味わうことができるのだ。
高精度直噴+ツインターボによって225kWのパワーを発生することで、335iというグレード名が付けられているわけだが、トルクに関しては400N・mと4.0Lエンジン並みの性能。さらに環境性能や燃費にも優れているので、BMWが内燃機関の効率はまだまだ高められると豪語するのも分かるような気がする。
それはともかく、この直噴ターボエンジンの走りはとにかく力強い。1600kgに達する335iのボディは決して軽いとはいえないが、重さを全く感じさせない加速フィールと速さなのだ。アクセルを踏み込んで加速していくと、あっという間に高速域に到達している。この加速感は文字通り絶品である。
335iにはマニュアル操作が可能な6速ATが組み合わされているが、このATも素早い変速が可能なタイプとなり、2ペダルマニュアルでなくても良いと思わせるだけの変速フィールを実現していた。
例のごとく優秀な足回り
足回りの安定性も高いレベルにある。適度な硬さで高い操縦安定性を実現しており、走りの気持ち良さを支える大きな要素になっている。例によって前後の重量配分がほぼ50:50になっているのも軽快なフットワークの実現につながる要素だ。
●まとめ
335iは単一グレードなので特にお勧めグレードということではないが、今回の335iはけっこう買い得な価格設定になっているという。表面的に見れば、701万円という価格は十分に高くて簡単には手の届くかないクルマなのだが、従来の3シリーズクーペが641万円だったのに比べると、オプション装備の標準装備化などによって100万円分以上の仕様アップになっているのにもかかわらず、価格アップが60万円に抑えられている。従来のモデルに乗っていた人なら、今回のモデルの買い得度の高さに驚くはずだ。お金に余裕があるなら欲しいと思わせるだけのクルマだった。