アルファロメオ 159
アルファロメオ 159

当初設定されるのはこの2.2リッターツインカム4気筒エンジンのみ。185馬力と、排気量にしては十分以上の出力を発し、高回転域まで気持ちよくふけあがる特性をもっている。また見逃せないのはタイミングチェーンの採用。以前のアルファロメオはタイミングベルト方式を採用していたが、高回転型エンジンのためかベルトの寿命が短いせいか、タイミングベルトが切れやすいという弱点をもっていた。しかしチェーンを採用することで、ベルト交換の必要がなくなり、トラブルの心配が減ったわけだ。また、チェーンのオートテンショナーも採用しており、はりの調整する必要のないメンテナンスフリー性も追求している。

アルファロメオ 159

車格、特にワイドトレッド化の影響で高級車の乗り心地を実現している。先代と比べれば2クラスレベルアップした格好だ。ただアルファロメオだけにスポーティイメージは大事にしており、気持ちいいハンドリング、コーナリング性能を維持しているのは嬉しいポイント。

アルファロメオ 159

今回の新型159で注目したいのは、超充実した安全装備だろう。VDC(ビークル・ダイナミック・コントロール)、ASR(アンチスリップ・レギュレーション)、MSR(エンジンブレーキ・コントロール)、ブレーキアシスト機構、ヒルホールドシステム(MT車で坂道発進を楽にする)などを採用している。また驚くべきことに、運転席、助手席、サイド、ウィンドー、運転席ニー(膝の部分)と、7つものエアバッグを搭載しているというから恐れ入る……。エモーショナルな走りも、安全に支えられてこそ、心から楽しめるというものだ。

スタイル インテリア 走り&メカニズム

 アルファ159は2月11日から発売されたが、この時点で設定されているのが直列4気筒の2.2L直噴JTSエンジンの搭載車のみ。それも左ハンドルの6速マニュアル車だけの設定だ。2.0LのJTSエンジンは従来の156にも搭載されていたが、今回の4気筒エンジンは2.2Lに排気量アップされただけでなく、オールアルミ製のエンジンになって大幅な軽量化が図られ、可変バルブタイミング機構の採用などによって、高出力と好燃費、低排出ガスを両立するものとしている。
 159に乗って走り出すと、すぐにさすがはアルファだなという印象を受ける。とにかくエンジンの吹き上がりが軽快だ。レッドゾーンの7000回転を超えてタコメーターの針が駆け上がっていく。回転の上昇とともに盛り上がるパワーフィールもなかなかパンチ力で気持ちが良い。いかにもスポーティなクルマを走らせているなという印象だ。
 硬めにチューンされながらも、ストロークの拡大によってしっかりしたロードホールディング性能を発揮する足回りや、ダイレクトな操舵感のあるステアリングフィールもスポーティな雰囲気でとても良い。
 ただ、159でいただけないのは室内騒音の大きさ。そんなことを気にするユーザーはアルファを買うなということかも知れないが、回したときのエンジン音やロードノイズは相当にうるさい。手元のカタログに数値は記載されていないが、ボディの拡大やホイールベースの延長によって最小回転半径が大きくなったのも歓迎できない要素である。
 当面は2.2JTS(左ハンドルの6速MT車)のみの設定なのでユーザーの選択肢はない。ただ、春までには右ハンドル車が導入されるほか、3.2LのV型6気筒エンジンを搭載したフルタイム4WDの“Q4”も左ハンドルの6速MT車が導入される予定。AT車の導入は少し先になるようだ。2.2L車は消費税込み399万円の価格で、このクラスの競合車と比べてもリーズナブルな印象。V型6気筒エンジンを搭載する159 3.2JTS V6 24V Q4は529万円で、こちらは排気量の大きさや4WDということでかなり高めの価格となる。

代表グレード
2.2 JTS
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4690mm×1830mm×1430mm
車両重量[kg]
1,570kg
総排気量[cc]
2,198cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
185ps(136kw)/6,500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
23.4kg-m(230N・m)/4,500rpm
ミッション
6MT
10・15モード燃焼[km/l]
9.3km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
399万円
発売日
2006/02/11
レポート
松下 宏
写真
佐藤 靖彦
スタイル インテリア 走り&メカニズム