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スタッドレスタイヤでも走れるのに「チェーン規制」って?
渋滞の原因、ドライバーの安全性「チェーン規制」の言葉はリスクがいっぱい。
本当にチェーンが必要なのは、高速道路が閉鎖される直前だったりする。

スタッドレスタイヤでも走れるのに「チェーン規制」って?

「積雪のためタイヤチェーンなどの滑り止めが必要です」

 と、いうフレーズは、よく冬期のラジオの交通情報で流れる。より安全な交通を願うなら、この言い方は改めるべきだ。「積雪のため冬用タイヤなどの滑り止めが必要です」と。

 高速道路の案内表示板に「チェーン規制」とでる。この表現も変えてもらいたい。「チェーン規制」という言葉から、冬用タイヤ(日本では今はスタッドレスタイヤのこと)でもチェーンを履かなくてはならないと考えてしまうドライバーも少なくない。

 どうせ、スタッドレスタイヤを履いていってもチェーンを巻かなくてはいけないなら、お金を掛けないで夏タイヤのまま行こうと考えるのだ。
 
 このように「チェーン」という言葉が最初に来てしまうと、タイヤチェーンが一番良い選択と考えてしまうのが一般人だ。より高い安全性を望むなら雪道になってからチェーンを巻くより、最初からスタッドレスタイヤを履いて行ほうが安全性は飛躍的に高まるのは明白だ。

渋滞の原因、ドライバーの安全性「チェーン規制」の言葉はリスクがいっぱい。

 高速道路で雪になったとしよう。夏タイヤで走るドライバーは、一体どこでチェーンを巻くつもりなのか。パーキングエリアやサービスエリアまで何kmもそのまま走るつもりか。路肩に止まってチェーンを巻くのか。どちらの行為も命に関わるほど危険である。

 チェーンを推奨するかのような誤解を与える表現は、一般人を高いリスクに誘導しているようなものだ。

 タイヤチェーンを巻くことは渋滞の原因にもなる。

 チェーンを巻くために止まることも渋滞の元だが、チェーンを巻いてしまったら最高スピードは50km/hに抑えられる。これ以上のスピードでは金属チェーンは切れてしまう可能性があるからだ。チェーンを付けて走り出したら雪がなくなったとしよう。スタッドレスタイヤならそのままスピードを上げられるが、チェーン装着車は舗装路を傷めながら50km/hで走らなくてはならない。

本当にチェーンが必要なのは、高速道路が閉鎖される直前だったりする。

 通常の高速道路のチェーン規制は、4輪に溝が半分以上残っている冬タイヤを履いていれば走れる。さらに雪が深くなってきたり、登りがきつくて冬タイヤだけでは走れない状況のときには「第二次チェーン規制」になる。このときにはすべてのクルマにチェーンが必要になる。

 しかし、このときにはインターチェンジが閉鎖される直前だと考えていい。1年の間にこの第二次チェーン規制に出会うことはまれだが、このときこそ「チェーン規制」と呼ぶべきだ。