日産セレナ
日産セレナ

雨の日など路面状態が悪く、多くの人を乗せているときなど予防安全技術の装備が、とくに必要と感じる瞬間だ。

日産セレナ

室内空間を最大限に生かすボックス型のシルエット。

日産セレナ

カジュアルなインパネ回り。シフトノブはとってもコンパクトで見栄えはよい。

日産セレナ

5ナンバーサイズのため、シートサイズはそれなり。

日産セレナ

前後だけでなく、中央よりにもスライドしサードシートへの乗降性を向上させることができるセカンドシート。

日産セレナ

余裕タップリとはいわないが、実用的になったサードシート。

日産セレナ

サードシートの跳ね上げは、軽い力で固定できるように工夫されている。女性でも簡単にできるのはうれしい。

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低中速のトルク自慢のMR20DEエンジン。高回転型のステップワゴンとは、対照的な存在。

とても運転しやすいミニバンだ

 ラフェスタからCプラットフォームを譲り受け、その上にボクシーなデザインのボディを被せた3代目セレナが好調に販売を伸ばしている。ファミリー系とスポーティ系を揃え、若者をターゲットにした20RSと20RXは個性的な顔立ちだ。運転席に座って驚かされるのは、ボディ側面の視界がいいことである。パネル面をウエストラインから一段下げたシュプールラインにより、斜め下方の視界は文句なしだ。女性やビギナーも運転しやすいだろう。
 インテリアは開放感にあふれている。シートは見た目以上にソフトだ。スポーティな走りをすると、ホールド性は物足りなく感じた。セカンドシートは満足できる広さだ。ロングスライド機構に加え、プレサージュで好評の横スライド機構を採用した。中央席はマルチセンターシートだから子どもでも窮屈だろう。2人ならファーストクラスの座り心地だ。サードシートも実用になる広さを確保した。サードシートの収納は一般的な跳ね上げ式だが、軽い操作力で格納できるように工夫を凝らしている。女性でも跳ね上げ作業はラクだ。
 エンジンは1997ccのMR20DE型4気筒DOHCを積んでいる。これに無段変速のエクストロニックCVTを組み合わせた。ステップワゴンやヴォクシー/ノアと比べると車重は100kgほど重いが、走りは軽快だ。CVTの採用により、低回転から厚みのあるトルクを発生する。瞬発力は鋭いし、発進加速と追い越し加速もライバル以上の実力だ。ただし、高回転のパンチ力は今一歩だし、加速時はエンジン音が一気に上昇する。クルージング時は静かだから、よけい耳についた。

予防安全装備の拡充を望む!

 フットワークは安定指向の味付けだ。スポーティ度は同時期にモデルチェンジしたステップワゴンに一歩譲る。だが、コントロール性に関しては一歩上の印象だ。通常の運転領域では乗車人数、走るステージに関わらずコントロールしやすく、破綻をきたさない。足がしなやかに動き、コーナリング時は自然なロール感を身につけている。タイヤの実力はさほど高くないが、スタビリティ能力はかなり高い。素直なハンドリングも好印象だ。山岳路でも安心感のある走りを披露した。
 乗り心地もいい。うねった路面、段差のある路面でもショックも上手に包み込んでくれる。4輪ディスクにグレードアップされたブレーキも満足できる実力だ。魅力は大きく増したが、挙動安定化制御システムのVDCがオプションでも用意されていないのは納得できないところである。ミニバンはひとりで乗るだけでなく多人数乗車が多く、雪道なども走るのだから必要な安全装備だろう。ヴォクシー/ノアとステップワゴンには数々の安全装備が用意されているのだから、セレナも先進の予防安全装備を惜しみなく投入してほしかった。

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代表グレード
20RS
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4,690×1,695×1,840
車両重量[kg]
1,610
総排気量[cc]
1,997
最高出力[ps(kw)/rpm]
137(101)/5,200
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
20.4(200)/4,400
ミッション
CVT
10・15モード燃焼[km/l]
13.0
定員[人]
税込価格[万円]
212.1
発売日
2005年5月31日
レポート
片岡英明
写真
和田清志/佐藤靖彦