新しく搭載された1.5LのHR15DE型エンジンはすでにティーダやノートなどに搭載されてきたもので、軽快な吹き上がりやCVTとの組み合わせによる滑らかな走りには定評があるところ。CR14DE型と比較するとパワー&トルクが9kW/10N・m向上しており、走りには大きな余裕が生まれた。マーチの車両重量はこの1.5L車でも1000kgを切る程度だから、軽量ボディに対して十分すぎる実力である。
しかもエクストロニックCVTとの組み合わせによって優れた燃費性能を発揮するほか、滑らかな変速と静かな走りなどが実現されるので、マーチがひとクラス上のクルマになったような印象を受ける。
足回りは相変わらず柔らかめのチューニングで乗り心地を重視した仕様だから、走りを楽しむタイプのクルマではないが、市街地などを気持ち良く走ることができる。
マーチのスポーツモデルである12SRは相変わらず元気の良さを示す。専用チューンによってベースエンジンに比べ大幅にパワーアップしたCR12DEは、低速域から力強いトルクを発生しながら7000回転付近まで一気に吹き上がっていく。マーチに搭載するのはもったいないようなエンジンだ。
硬めにチューンされた足回りはしっかりした安定感を実現していて、ワインディングなどでの走りをとても楽しいものにしてくれる。別格の1台として要注意だ。
HR15DE型エンジンの搭載車は、マーチのボディに対して余裕ある走りが得られるものの、マーチのユーザーにこの動力性能が必要かどうかは疑問。従来のCR14DE搭載車に比べると価格も上がっているので積極的には勧めにくい。マーチを買うならやはり12sなどを選べば十分ではないか。