ランサーエボリューションワゴン
ランサーエボリューションワゴン

6速MTモデルと5速ATモデル。エクステリアに大きな違いはないが、ATはオイルクーラーを冷やすためにフロントナンバーがセンターに、MTはインタークーラーを冷却するためにに配置されている。

ランサーエボリューションワゴン

大型リアウィングとアンダースポイラーが装着されたランサーワゴン。そうとも言えるのがエボワゴンのリアスタイル。

ランサーエボリューションワゴン

超マッシブなランサーワゴンと言えなくもないサイドビュー。しかし、その骨格は信じられないほどの補強がなされ高剛性を実現させているのである。

ランサーエボリューションワゴン

6速MTモデルであるGTに搭載されるエンジンは、伝家の宝刀ともいえる4G63型MIVECインタークーラーターボ。最高出力は文句なしの280馬力。最大トルクは40.0kg-mである。

ランサーエボリューションワゴン

5速ATモデルであるGT-AにはMIVECナシの4G63型が搭載されており、そちらの最高出力は272馬力と6速MT車と比べてちょっと控えめ。

ランサーエボリューションワゴン

エボセダンのスポーティーな雰囲気をベースとしつつ、質感を向上させたのがエボワゴンのインテリアである。

ランサーエボリューションワゴン

エボワゴンのリアシートは6:4分割可倒式でリクライニング可能。足元の広さはクラストップだという。

ランサーエボリューションワゴン

エボワゴンのラゲッジルームはアンダートレイを設けるなどして使い勝手の向上を図っている。

ランサーエボリューションワゴン

エボワゴンの足回りはエボセダンを踏襲。ダンパーはもちろんビルシュタイン製である。

史上最強の名を奪取? ランエボワゴン登場

 ワゴン。それまではライトバンといわれていたカテゴリーに一躍スポットライトを集めてしまったクルマといえばスバルのレガシィである。レガシィツーリングワゴン。独自の技術でコアなファンを獲得していたスバルの傑作。89年の登場以来、ステーションワゴンカテゴリーで一人勝ちを続けているモデルであり、その凄さといえばワゴンと同義語で語られているほどなのであるから。
 
 抜群の使い勝手の良さ、それに圧倒的な運動性能。様々な自動車メーカーが打倒レガシィのために多くの刺客を放ってきたが、そのすべてはレガシィが作り出す圧倒的なパッケージングの前に敗れ去ってきた。
 
 しかし、歴史は変わるのである。レガシィツーリングワゴンとその弟分、インプレッサスポーツワゴンに強力すぎるライバルが現れたのだ。
  
 三菱自動車は先進かつ独自のオール・ホイール・コントロール(AWC)技術を採用した『ランサーエボリューションIX』の卓越した運動性能と、『ランサーワゴン』のラゲッジルームを融合させた、高性能4WDスポーツワゴン『ランサーエボリューションワゴン』を9月7日から全国の系列販売会社で販売を開始した。
 
 『ランサーエボリューションワゴン』は、同シリーズ初のワゴンモデル。本年発売の『ランサーエボリューションIX』(セダン)をベースに、『ランサーワゴン』のボディサイドパネルやルーフパネルなどを結合させ、リヤ回りを重点的に補強した軽量かつ高剛性のワゴンボディとして、2Lインタークーラーターボエンジンと電子制御4WDシステムを搭載することで、ステーションワゴンとしては比類無い優れた運動性能を実現しているという。
 
 グレードは、スポーツドライビングを心ゆくまで楽しめる6速MTのGTと、スポーツドライビングとイージードライブを高次元で両立させたAT搭載のGT-Aの2つとなっている。

エボセダンのDNAが思いっきりつぎ込まれたエボワゴン

 ランサーエボリューションワゴン。そのエクステリアはまさにエボセダンとランサーワゴンのハーフといった感じである。『ランサーエボリューションIX』のプラットフォームをベースに『ランサーワゴン』のボディサイドパネルとルーフパネルを結合してA、B、C、Dの各ピラーとルーフ結合部を補強した骨格。また、大型リヤフロアクロスメンバーを追加し、リヤフロアとリヤホイールハウス、ボディサイドストラクチャーとの結合を強化して、ボディの捻り剛性を大幅に高め、リヤフロアとリヤエンドパネル、Dピラー下部との結合部にも大型の補強材を追加している。
 
 ワゴンであるから。そんな言い訳をいっさいせずにボディ剛性を鬼のように高め、高次元の走りを実現させたランサーエボリューションワゴン。無論、エボの称号を持つクルマである。『ランサーエボリューションIX』で採用のアルミフード、アルミフロントブリスターフェンダー等の軽量アルミパーツを踏襲して採用しているのはいうまでもない。

無く子も黙るハイパワー。それがエボワゴン

 さてさて、その骨格も気になるエボワゴンであるが、もっと気になるのが心臓部である。現在、280馬力前後をたたき出しているハイパワーワゴンといえば、レガシィツーリングワゴン、インプレッサWRXスポーツワゴン、カルディナ、ステージア・・・といったところである。当然、エボワゴンはこれら先駆者と同等の出力を得ているのである。
 
 何しろ搭載エンジンは4G63型MIVECインタークーラーターボ(6速MT車)。最高出力は文句なしの280馬力。最大トルクは40.0kg-mである。三菱のリーサルウェポン。ランサーエボリューションIXと同じ心臓を積んでいるワゴン。最大のライバル、スバルで言えばインプレッサWRX STI specCに搭載されているエンジンをインプレッサスポーツワゴンに積んでしまったようなモノである。念のため言っておくが、スバルはそこまでのユニットをワゴンには搭載していない。
 
 ATモデルであるGT-AにはMIVECナシの4G63型が搭載されており、そちらの最高出力は272馬力と6速MT車と比べてちょっと控えめ。何でも、これはATとのマッチングを考えてのこととのことで、わざわざターボタービンまでもMT車と違うモノにされているという。
 
 当然、エボのワゴンである。駆動方式はACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)を組み込んだフルタイム4WD。サスペンションはフロントが倒立式ストラット、リヤはマルチリンクと『ランサーエボリューションIX』を同じく踏襲。ブレーキもフロントがブレンボ製17インチベンチレーテッドディスク(対向4ポッド)、リヤが16インチのベンチレーテッドディスク(対向2ポッド)となっている。

そしてワゴン。ランサーワゴン譲りの使い勝手も踏襲

 もちろん、ランエボと言ってもワゴンである。リアシートは『ランサーワゴン』の6:4分割可倒式の形状を踏襲しながら、背面および座面にアルカンターラ、サイドサポート部分にプロティンレザーを採用。5段階のリクライニングを可能として、居住性を高めている。エボセダンよりも快適性を向上させようと言うことで『ランサーエボリューションIX』のウェザーストリップ二重化構造をベースに、ダッシュパネル部の遮音仕様をさらに強化し、ラゲッジルーム周辺に遮音材や吸音材及び制振材を追加しているという。
 
 さてさて、ワゴンなのでどうしても気になるのがラゲッジ容量である。残念ながら『ランサーエボリューションワゴン』のラゲッジ容量は『ランサーワゴン』に対して若干少ないモノとなってしまっている。これは、ノーマルのワゴンよりもエボワゴンの方が大径タイヤを履いているため。ホイールハウスの出っ張りが大きくなってしまったが故の減少なのだ。ちなみにVDA方式で5名乗車時かつトノカバー未使用時の容量は503L。ライバルたちをしのぐ容量とはなっている。
 
 さてさて。ランエボワゴンのスペックと同じくらいにみんなが気になる価格のハナシを。6速MTのGTは346万5000円、5速ATのGT-Aが341万2500円となっている。2モデルで合計2500台、今年12月末までの限定生産となっている。

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代表グレード
GT
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4520mm×1770mm×1480mm
車両重量[kg]
1500kg
総排気量[cc]
1997cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
280ps(206kW)/6500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
40.0kg-m(392N・m)/3000rpm
ミッション
6速MT
10・15モード燃焼[km/l]
10.0
定員[人]
5人
税込価格[万円]
346万5000円
発売日
2005年9月7日
レポート
諸星陽一
写真
神田卓哉
取材協力
三菱自動車