三菱 デリカミニvs ダイハツ タントファンクロス徹底比較!軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバー対決

三菱デリカミニvs ダイハツタントファンクロス徹底比較!軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバー対決

2023年9月の軽自動車 新車販売台数で、第1位のホンダN-BOXから3位のスズキスペーシアまでベスト3を占めているのが、スーパーハイトワゴンだ。かつてはママワゴンと呼ばれた、軽最大級の室内空間と利便性の高いリアスライドドアが特徴のモデルである。そんな軽スーパーハイトワゴンにも、アウトドアテイストを強めたクロスオーバーモデルの波が訪れている。

 

そこで、今回はスーパーハイトワゴンのクロスオーバーモデルとして、三菱デリカミニとダイハツタントファンクロスを徹底比較した。購入に失敗・後悔しないためにクルマ選びに役立ててほしい。

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三菱デリカミニの特徴

デリカミニの全景

※上図:デリカミニの全景

三菱デリカミニは、2023年5月に発売された。元々三菱eKクロススペースとして販売されていたクルマに改良を加えてモデルである。デリカD:5のイメージである「優れた悪路走破性と広い室内空間が特徴のオフローダーミニバン」を継承していることもあり、デリカの名を冠したモデルとなった。

 

変更したポイントは、外観と4WD車のサスペンションの味付けの2点だ。

外観はSUVらしく力強さを追求した。三菱のデザインアイコンである立体的なダイナミックシールドに、特徴的な半円形のLEDポジションランプを内蔵したヘッドライトを組み合わせて、フレンドリーな表情になった。

 

フロントバンパーとテールゲートガーニッシュに立体的な「DELICA」ロゴを採用した。また光沢のあるブラックのホイールアーチに加え、前後バンパー下部にプロテクトを演出するスキッドプレート形状とした。これによりデリカならではのSUVらしい力強さと質感の高さを演出している。

 

4WD車は165/60R15サイズの大径タイヤの装着に加えて、岡崎にあるテストコースを走り込み、ショックアブソーバーに専用チューニングを施した。これにより最低地上高160mmを確保し、路面をしっかりと捉えながら車内には振動を伝えにくくしている。さらに砂利道などの未舗装路を走行する際の安定性と快適性を高めた。

 

デリカミニの初期受注されたクルマの駆動方式別構成比を見てみると、2WD車が40%、4WD車が60%となっている。一般的な軽自動車では2WD車80%、4WD車20%といわれているので、デリカミニの4WD車比率の高さが突出していることがわかる。この数値から、多くの顧客がオフローダーミニバンであるデリカD:5と共通するイメージを抱いていると推測できる。

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ダイハツタントファンクロスの特徴

タントファンクロスの全景

※上図:タントファンクロスの全景

2019年に販売開始した現行型ダイハツタントに、クロスオーバーモデルのタントファンクロスが追加されたのは、2022年10月のことだ。現行型タントは、「新時代のライフパートナー」をキーワードに、すべての世代のユーザーのニーズに応えた、良品廉価な商品といえる。

 

現行型タントは、ダイハツの新世代のクルマづくり「DNGA」を採用した最初の商品だ。

プラットフォームは、サスペンションや骨格の部品配置をゼロベースで再構築した。さらに新技術を採用した新CVTを新たに開発している。さらに大幅改良したエンジンなどによってクルマの基本性能を大幅に向上させることに成功した。

タントの特徴である広い室内、ミラクルオープンドアを活用した新しい使い方である「ミラクルウォークスルーパッケージ」を実現し、リアのスライドドアから運転席にアクセスするという新提案を行っている。安全装備では、次世代スマートアシストを採用することで、全方位で大幅な進化を遂げている。

 

2022年10月に登場したタントファンクロスは、アウトドアシーンに調和するアクティブさとタフさを表現した。タントの利便性を継承しながら、アウトドアの様々なシーンで活躍する専用装備を採用している。

 

外観では、力強いヘッドランプをはじめ、タフさを表現したフロントグリルやバンパー、シルバー加飾している。そしてサイドガーニッシュやレジャーで活躍するルーフレールを装着しアクティブ感を強調した。インテリアでは、アクセントカラーのオレンジやカモフラージュ柄のシート表皮でタフさを表現している。

 

アウトドアの様々なシーンで活躍する専用装備として、タントファンクロスにはファブリックシート表皮や防水加工シートバック(後席)を採用した。キャンプや釣りなどで汚れた荷物や濡れた道具を置いても手入れ伸しやすい撥水加工が施されている。また夜間の積み降ろしで役立つラゲッジルームランプを、天井に加えてデッキサイド右側にも設置した。そして利便性の高いUSBソケットを後席右側に1口標準装備している。

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デリカミニは車両重量が重く、燃費性能は及ばず

燃費比較

デリカミニの評価は 3.5

タントファンクロスの評価は 4.0

三菱デリカミニと、ダイハツタントファンクロスの燃費は以下の通りだ(すべてWLTCモード)。

【デリカミニ】

 

FF

4WD

自然吸気エンジン車

20.9km/L

19.0km/L

ターボエンジン車

19.2km/L

17.5km/L

 

【タントファンクロス】

 

FF

4WD

自然吸気エンジン車

21.9km/L

21.4km/L

ターボエンジン車

20.6km/L(2WD)

19.6km/L

 

両車ともに軽自動車のため、搭載されているエンジンの排気量と最高出力、最大トルクは同じ数値となった。

【デリカミニ】

 

最高出力

最大トルク

自然吸気エンジン車

52ps

60Nm

ターボエンジン車

64ps

100Nm

 

【ダイハツタントファンクロス】

 

最高出力

最大トルク

自然吸気エンジン車

52ps

60Nm

ターボエンジン車

64ps

100Nm

 エンジン自体の出力は同じだが、デリカミニとファンクロスには大きな違いがある。

デリカミニには最高出力2.7ps、最大トルク40Nmを発生するモーターを採用したマイルドハイブリッドシステムを搭載していることだ。このモーターにより、発進加速時や追い越し加速時にエンジンをアシストし、スムーズな加速性能を発揮してくれる。

 

しかし燃費性能を見ると、自然吸気エンジン、ターボエンジンともにマイルドハイブリッドを採用したデリカミニのほうが数値は悪くなっている。この理由の一つは車両重量の重さが関係していると考えられる。デリカミニの車両重量は最も軽いG 2WDでも970kgで、最も重いTプレミアム4WDでは1,060kgとなる。対してファンクロスの車両重量は920kg~990kgと最大で70kgもデリカミニのほうが重くなっているのだ。

 

搭載するエンジンの排気量に制約のある軽自動車において、車両重量の差は燃費性能に大きく影響する。車両重量がヘビー級のスーパーハイトワゴンで、大人1人分の重量が増えることは、モーターのアシスト機構を付けても燃費悪化は避けられないことを表している。

グレードを考慮してもタントファンクロスに割安感がある

価格比較

デリカミニの評価は 4.0

タントファンクロスの評価は 4.5

 

デリカミニとダイハツタントファンクロスの最上級グレードの価格は下記の通りだ。

三菱デリカミニTプレミアム  4WD

2,238,500円

ダイハツタントファンクロスターボ 4WD

1,930,500円

 

最上級グレード同士の価格差は、308,000円で、三菱デリカミニの方が高額となっている。搭載するエンジンはパワフルなターボエンジン。駆動方式は4WDと揃えても軽自動車としてはかなり大きな差がある。

 

この大きな価格差の一つの要因となっているのが、運転支援機能だ。デリカミニTプレミアム  4WD は以下が標準装備となっている。

  • マイパイロット(高速道路同一車線運転支援機能)
  • 車線維持支援機能
  • デジタルルームミラー(マルチアラウンドモニター付)
  • マルチアラウンドモニター(移動物検知機能付)
  • ヒルディセントコントロール(HDC、超低速で下り坂を下りることができる)

デリカミニTプレミアムは軽トップレベルの運転支援機能を装備している。

 

一方タントファンクロスターボ 4WDは、最上級グレードであっても以下はオプション設定(スマートクルーズパック/55,000円)となっている。

  • 全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール
  • レーンキープコントロール(LKC)

 

タントファンクロスターボ4WDには、ヒルディセントコントロール(HDC)の設定はないが、パノラマモニターは132,000円のオプションを装着すればOKだ。装備は完全には埋まらないが、それでもタントファンクロスターボ4WDのほうが割安となっている。

 

デリカミニTプレミアム 4WD…標準装備

タントファンクロスターボ 4WD…装着されていない装備

  • 高速道路同一車線運転支援機能のマイパイロットと車線維持支援機能
  • ヒルディセントコントロール
  • マルチビューモニター
  • パドルシフト

タントファンクロスターボ 4WD…標準装備

デリカミニTプレミアム 4WD…装着されていない装備

  • ミラクルオープンドア
  • 運転席ロングスライドシート(オプション)
  • 上下2段調節式デッキボード

タントファンクロスは、タント伝統の大開口部を実現した助手席側ミラクルオープンドアを採用している。さらにオプションで、運転席ロングスライドシートを設定し、クルマの乗り降りの導線を変える提案をしている。

ラゲッジルームは両車ともに防水加工を施しているが、タントファンクロスには上下2段調節式デッキボードを採用しており、多彩な使い方ができるのが特徴だ。

 

同じ軽自動車ゆえ、ボディサイズやパワートレインは互角だ。最上級グレードであるデリカミニTプレミアム  4WDとタントファンクロスターボ 4WDの価格差は、308,000円。軽自動車で30万円差はかなり大きいが、運転支援システムの装備差が大きく影響していると言える。

質の高い運転支援機能が充実しているデリカミニに対して、タントファンクロスは全く同じにはできない。だがオプションを装着すれば、かなり近づくことはできるし、それでもまだ価格は割安だ。自分の使い方でその装備が必要かどうかを吟味して選びたい。

デリカミニの納期は3~5カ月!タントファンクロスは1~2カ月

購入時の値引き術

デリカミニの評価は 3.5

タントファンクロスの評価は 4.0

現在新車を購入する際に最も気になるのが、新車の納期だ。三菱デリカミニは、3~5カ月でブラックマイカが比較的短めとなっている。一方のダイハツファンクロスは1~2カ月とほぼ即納可能な状況となっている。

 

デリカミニは、2023年5月に登場したばかりのフレッシュなモデルのため、値引き交渉はかなり厳しめ。値引きの目標額は7万~10万円といったところだ。クルマ本体からの値引きは相当渋いので、オプション装備や下取り価格を上げてもらうようにしたい。

 

対するタントファンクロスは、ちょうど販売開始して1年が経過した。新車の納期は短めになっているが、値引き交渉はデリカミニ同様厳しめで、10万~15万円といったところだ。こちらもオプション装備や下取り価格を上げてもらうといいだろう。

 

また、タントファンクロスの場合、未使用車が多く流通している。未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で届出(登録)しただけの車両で、ほぼ新車コンディションのクルマだ。しかし、一度届出(登録)すると中古車扱いとなるため、新車価格より安価な価格になっているケースが多い。好みの色やグレードなどが合致すれば、むしろ新車よりコスパに優れているのでお勧めだ。現車があるので、納期も非常に短い。タントファンクロスであれば、まず未使用車からチェックしてみるといいだろう。

タントの登録済み未使用車をチェックする>

両車ともにタフさを強調しているが、デリカミニは可愛らしさもプラス

デザイン比較

デリカミニの評価は 4.5

タントファンクロスの評価は 4.0

三菱デリカミニとダイハツタントファンクロスは、ユーティリティを重視したスーパーハイトワゴンにクロスオーバーテイストを加えたモデルで、タフさやアウトドア感が強調されている。

 

タントファンクロスはタントをベースに架装し、デリカミニはeKクロススペースをベースに前後のデザインを中心に手を加えている。

進化したダイナミックシールドデザインを採用したデリカミニ

SUVテイストを取り入れた軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバーモデルのデリカミニは「DAILY ADVENTURE(日常に冒険を)」をデザインテーマとした内外装を採用している。

 

デリカミニのフロントフェイスは、三菱自動車のフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」をベースとしたSUVらしい力強さと安心感を表現した。特徴的な半円形のLEDポジションランプを内蔵したヘッドライトを組み合わせて、凛としながらも親しみやすい表情が特徴だ。

 

デリカミニのサイドビューは彫刻的で立体感のあるキャラクターラインにより、前後に突き抜ける勢いのある骨格の強さを表現している。タイヤを車体の四隅に配し、それを包み込むバンパーサイドへと繋げている。また、フローティングルーフやベルトラインから繋がり、リアで上部に切れ上がるジェットフィンピラー(D ピラー)を採用した。ガラスエリアを薄いイメージとし、張りがある厚いボディとのコントラストにより、キビキビとした走りを想起させるサイドビューだ。

 

デリカミニのリアビューは、テールゲートガーニッシュの立体的なDELICAロゴが特徴だ。フロントバンバー同様にバンパー下部にプロテクト感のあるスキッドプレート形状を採用し、SUVらしい力強さと高い質感を表現している。

 

また、デリカミニのデザインをイメージした犬のぬいぐるみキャラクター「デリ丸」も非常に高い人気を誇っている。

タントをベースにブラックパーツやルーフレールによりアウトドア感を強調

タントファンクロスの外観は、アウトドアシーンに調和するアクティブ感とタフさを表現したスタイルを採用している。目力の増したヘッドライトをはじめ、タフさを表現したフロントグリルやシルバー加飾を施したバンパーが特徴的だ。ブラックのサイドガーニッシュやレジャーシーンで活躍するルーフレールなどを装備しアクティブ感を強調している。

 

デリカミニのようにサスペンションと装着するタイヤで最低地上高を上げていないが、サイドガーニッシュなどの効果により、タフさ走りを想起させる雰囲気が漂っている。

室内の広さはデリカミニだが、ラゲッジの利便性はタントファンクロス

室内空間と使い勝手

デリカミニの評価は 4.0

タントファンクロスの評価は 4.0

三菱デリカミニとダイハツタントファンクロスのボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下のとおり。

 

【三菱デリカミニTプレミアム 4WD】

全長×全幅×全高

3,395mm×1,475mm×1,830mm

ホイールベース

2,495mm

荷室容量(後席利用時)

118L

室内長×室内幅×室内高

2,200mm×1,335mm×1,400mm

※室内寸法は参考値

 

【ダイハツタントファンクロスターボ 4WD】

全長×全幅×全高

3,395mm×1,475mm×1,805mm

ホイールベース

2,460mm

荷室容量

非公表

室内長×室内幅×室内高

2,125mm×1,350mm×1,370mm

※室内寸法は参考値

デリカミニの運転席

※上図:デリカミニの運転席

デリカミニの後席

※上図:デリカミニの後席

ボディサイズに制約のある軽自動車ゆえ、全長と全幅は全く同じだ。しかしデリカミニのほうが全高は+25mm、ホイールベースは+35mm大きくなっている。

タントファンクロスの運転席

※上図:タントファンクロスの運転席

タントファンクロスの後席

※上図:タントファンクロスの後席

室内幅はタントファンクロスのほうが15mm大きいが、デリカミニは室内長+75mm、室内高+30mm上回っている。室内の広さはデリカミニがやや有利だ。

デリカミニの荷室

※上図:デリカミニの荷室

タントファンクロスの荷室

※上図:タントファンクロスの荷室

一方ラゲッジルームはどちらもスライド&分割可倒式のリアシートを装着し、容量自体にそれほど差はない。しかし、タントファンクロスは上下2段調整式のデッキボードを採用しており、荷物の量に合わせてラゲッジルームの高さを調整できる。これにより、リアシートを倒すとフラットな床面を作り出すことができる。

 

室内空間の広さで選べばデリカミニだが、ラゲッジルームの使い勝手の良さはタントファンクロスが上回っていると言える。

軽自動車最高レベルの予備安全装備を備えるデリカミニ

安全装備&運転支援機能

デリカミニの評価は 4.5

タントファンクロスの評価は 4.0

三菱デリカミニと、ダイハツタントファンクロスの運転支援機能を含めた予防安全装備は、ともに及第点以上のレベルだ。特に三菱デリカミニは軽自動車ではトップレベルの質と機能を誇っている。

デリカミニのインパネデザイン

※上図:デリカミニのインパネデザイン

デリカミニの上級グレードとなるプレミアムは、以下を標準装備している。

  • マイパイロット(高速道路同一車線 運転支援機能)
  • 車線維持支援機能(LKA)
  • 前方衝突予測警報(PFCW)

デリカミニのメーター

※上図:デリカミニのメーター

PFCWはブレーキの踏み遅れによる衝突事故の回避をアシストする機能だ。2台前を走行する車両をレーダーでモニターし、急な減速など自車からは見えにくい前方の状況変化を検知する。減速が必要と判断した場合には、ドライバーに注意を促してくれる。機能が充実しているだけでなく、性能も軽自動車ではトップレベルだ。

タントファンクロスのインパネデザイン

※上図:タントファンクロスのインパネデザイン

一方のタントファンクロスも、進化した予防安全機能である「次世代スマートアシスト」を採用している。衝突回避支援ブレーキ機能や車線逸脱警報機能などがパッケージングされた予防安全機能「スマートアシスト」をはじめ、運転支援機能「スマートアシストプラス」を加えて全15の機能を採用し、高い安全性能を実現している。

しかし、以下の機能などはオプション設定だ。

  • 先行車追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール/ロングドライブでの負担を軽減)
  • レーンキープコントロール(LKC)
  • スマートパノラマパーキングアシスト(駐車する際に便利)

タントファンクロスのメーター

※上図:タントファンクロスのメーター

タントファンクロスはステレオカメラを使用した運転支援システムだが、デリカミニと比べると制御に粗さを感じる。タントファンクロスのACCは、遠出しない人には無くても構わない。だが、制御の質は埋められない部分である。

走行安定性はデリカミニ。街乗りの軽快さはタントファンクロス

走行性能の比較

デリカミニの評価は 4.0

タントファンクロスの評価は 3.5

 

三菱デリカミニTプレミアム4WDと、ダイハツタントファンクロスターボ 4WDのエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおりだ。

 

最高出力

最大トルク

車両重量

デリカミニ

64ps

100Nm

1,060kg

タントファンクロス

64ps

100Nm

990kg

 

エンジンの最高出力は、出力自主規制の関係で互角だ。しかしデリカミニには、最高出力2.7ps、最大トルク40Nmを発生するモーターを採用したマイルドハイブリッドシステムが搭載されている。発進加速時や追い越し加速時にエンジンをアシストし、スムーズな加速性能を発揮してくれる。

 

車両重量は、デリカミニTプレミアム4WDでは1,060kg、対するファンクロスターボ4WDでも990kgと1トン以下に抑えられており、70kgもデリカミニのほうが重くなっている。

この車両重量の差は、燃費性能だけでなく走行性能にも影響を与えている。安定感を重視したデリカミニに対して、タントファンクロスターボは軽快な走りが特徴となっている。

モーターのアシストによりスムーズさが際立つ、デリカミニ

デリカミニのエンジンルーム

※上図:デリカミニのエンジンルーム

マイルドハイブリッドシステムを搭載したデリカミニは、車両重量の重さをリカバリーしておりスムーズな加速性能を発揮する。オフロードの走行性能を追求した4WD車専用のサスペンションセッティングは街乗り、高速道路でも安定感はピカイチだ。軽スーパーハイトワゴンの中でも抜群の安定感を誇っている。

砂利道のオフロードを走行した際も、路面から衝撃を吸収しロール量も抑えている。乗り心地が良いだけでなく、乗員に安心感を与えてくれる。

標準車で感じたふらつき感を抑えている、タントファンクロス

タントファンクロスのエンジンルーム

※上図:タントファンクロスのエンジンルーム

ダイハツタントファンクロスターボは、標準車のタントで感じたふらつき感が抑えられていた。またリアサスペンションが柔らかくカーブを曲がる際のロール量も大きかったが、この点もタントファンクロスターボはしっかりと改善されていたのは好印象だ。165/55R15という軽自動車としては大きなタイヤを装着し、走行安定性に加えてハンドリング性能にもこだわっているのがわかる。

 

タントファンクロスターボは、マイルドハイブリッドシステムを搭載していない。だが、車両重量の軽さを活かして、軽快な走りを特徴としている。ただ、モーターアシストがないため、発進時などのエンジン音は大きめなのは仕方ないだろう。

両車高いリセールバリュー。強いて比べるならデリカミニが有利

リセールバリュー

デリカミニの評価は 4.5

タントファンクロスの評価は 4.0

軽自動車の中でもスーパーハイトワゴンは非常に人気が高く、リセールバリューも高い。今回紹介したクロスオーバーテイストのデリカミニとタントファンクロスは、かなり期待できる。

 

両車で比べるとリセールバリューが高いのは、しばらくの間デリカミニと予想できる。

その理由は、新車の納期だ。タントファンクロスは即納も可能な状況だ。対するデリカミニは最大で5カ月待ちとなっている。新型車であるデリカミニの中古車流通量は、しばらくの間非常に少ない。人気車で中古車流通量が少ないとなると、中古車価格は高騰してリセールバリューは高くなる。

中でも4WDのリセールバリューは高めとなる。デリカミニは軽自動車の中では珍しい4WD車が人気であり、軽自動車では元々4WD車を購入する人が少ないからだ。

しかも、デリカミニの場合、4WD車のみ専用のセッティングを施したサスペンションを採用。その上大径タイヤを装着し、最低地上高を高めている。降雪地や悪路を走破するユーザーにとってはメリットとなる。

こういった理由からデリカミニのほうがリセールバリューは高くなるだろう。

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走行安定性と運転支援機能を重視するならデリカミニ。ミラクルオープンドアの利便性を味わうならタントファンクロス

まとめ・総合評価

三菱デリカミニがお勧めの人
  • ロングドライブをする機会が多い
  • 路面状況が変化しても安定感がほしい
  • 充実した予防安全装備・運転支援機能がほしい
  • より個性的なスーパーハイト系の軽自動車に乗りたい

走行性能や予防安全装備・運転支援機能の面では、やはりデリカミニがタントファンクロスをやや上回る。そのため、高速道路を使って頻繁にロングドライブをする人には、デリカミニはピッタリだ。

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ダイハツタントファンクロスがお勧めの人
  • ガソリン価格が高いので、燃費を気にする
  • 予算200万円以下で、スーパーハイトワゴンのクロスオーバー車を手に入れたい
  • ミラクルオープンドアの開放感と利便性を重視

タントファンクロスが、デリカミニよりやや優れている点は、ミラクルオープンドアと燃費、価格だ。ガソリン価格の高騰が続いていることから、燃料費を少しでも抑えたいというのであれば、タントファンクロスをお勧めしたい。

また、デリカミニは、かなり装備が充実しているため、車両価格が高めに設定されている。デリカミニほどの豪華装備は必要なく、予算重視というのであれば、タントファンクロスという選択になる。

また、ミラクルオープンドアは、タントファンクロスのユニークな装備のひとつ。この開放感や使い勝手の良さも魅力的だ。

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デリカミニ

タントファンクロス

総合得点(40点満点)

32.5

32.0

1.燃費

3.5

4.0

2.価格

4.0

4.5

3.購入時の値引きしやすさ

3.5

4.0

4.デザイン

4.5

4.0

5.室内空間と使い勝手

4.0

4.0

6.安全装備

4.5

4.0

7.走行性能

4.0

3.5

8.リセールバリュー

4.5

4.0

三菱デリカミニ 価格・スペック

三菱デリカミニ 価格

 

2WD

4WD

G

1,804,000円

2,015,200円

G プレミアム

1,985,500円

2,149,400円

T

1,881,000円

2,092,200円

T プレミアム

2,074,600円

2,238,500円

三菱デリカミニ スペック

代表グレード

Tプレミアム 4WD

全長×全幅×全高

3,395mm×1,475mm×1,830mm

ホイールべース

2,495mm

最低地上高

160mm

最小回転半径

4.9m

車両重量

1,060kg

エンジン型式

BR06

エンジンタイプ

直列3気筒ターボ

総排気量

659cc

最高出力

64ps(47kW)/5,600rpm

最大トルク

100N・m(10.2kgm)/2,400~4,000rpm

モーター最高出力

2.7kW(2.0ps)/rpm

モーター最大トルク

40N・m(4.1kgm)/rpm

燃費(WLTCモード)

17.5km/L

電力用主電池

リチウムイオン電池

駆動方式

4輪駆動(4WD)

サスペンション

前:ストラット、後:3リンク

タイヤサイズ

165/60R15

ダイハツタントファンクロス 価格・スペック

ダイハツタントファンクロス 価格

※…eco IDLE非装着車

 

2WD

4WD

ファンクロス ※

1,688,500円

1,809,500円

ファンクロス

1,721,500円

1,842,500円

ファンクロスターボ ※

1,776,500円

1,897,500円

ファンクロスターボ

1,809,500円

1,930,500円

ダイハツタントファンクロス スペック

代表グレード

ファンクロスターボ4WD

全長×全幅×全高

3,395mm×1,475mm×1,805mm

ホイールべース

2,460mm

最低地上高

165mm

最小回転半径

4.7m

車両重量

990kg

エンジン型式

KF

エンジンタイプ

直列3気筒ターボ

総排気量

658cc

最高出力

64ps(47kW)/6,400rpm

最大トルク

100N・m(10.2kgm)/3,600rpm

燃費(WLTCモード)

19.6km/L

駆動方式

4輪駆動(4WD)

サスペンション

前:ストラット、後:3リンク

タイヤサイズ

165/55R16

デリカミニのカタログ情報

現行モデル
令和5年5月(2023年5月)〜現在
新車時価格
180.4万円〜223.9万円

デリカミニの在庫が現在53件あります

以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員