V型6気筒3.5Lエンジンは183kW/340N・mの動力性能を発揮する。車両重量が2tに達する重量級のボディとはいえ、これだけの動力性能があれば余裕を持って走らせることができる。吹き上がりのスムーズさもまずまずだ。ATは4速ながら電子制御式で変速フィールにも不満はない。
5.7のV8エンジンは弁機構が旧式のOHVとなるが、NASCARのレースで好成績をあげた歴史を持つ伝統のエンジンHEMIの名を与えられており、動力性能に関しては文句なし。なにしろ排気量の余裕が大きいので、走りのフィールは豪快そのもの。250kWの最高出力は馬力に直すと実に340psのパワーだし、525N・mのトルクの数字も凄い。重量ボディをぐいぐい押し出していく迫力ある走りが可能だ。
V8エンジンに組み合わされるのはメルセデス・ベンツ譲りの電子制御5速ATで、ティップシフト付きなので、左右に少し動かすだけでマニュアル車感覚の走りが可能。その点でも走りの良さが際立ってくる。
足回りはアメリカ車の常識からすればややしっかりした感じがあるが、ヨーロッパ車などと比べたら全体に柔らかめな印象。ワインディングを軽快に走るのではなく、高速クルージングを楽しむクルマだろう。
●お勧めグレード
3.5L車でも400万円台の価格。単純な価格比較ではレジェンドに比べれば安いともいえるが、2.8万ドルという本国での価格を考えたら決して安いとはいえない。どうせクライスラー300Cを買うなら5.7HEMIを選んだほうがおもしろい。3.5Lエンジンの排気量が3.5Lをわずかに超えていて税金の区分が高くなるのも不満だからだ。300Cは正規輸入が始まる前から東京オートサロンに多数の改造車が出品されていた。そうした濃いユーザーをターゲットに考えるクルマだろう。