自動車保険の解約手続き方法と注意点
更新日:2024/05/16
自動車保険の保険期間中でも転勤や結婚などの理由でクルマを使わなくなったり、保険会社を乗り換えたりする場合は中途解約ができます。中途解約にはメリットだけでなくデメリットもあるので、損しないために正しい知識を身に付けてから手続きしましょう。ここでは、自動車保険を解約する流れや注意点を詳しく解説します。
自動車保険解約(中途解約)の手続きについて
任意保険は契約者の意思でいつでも加入したり解約したりできます。契約のクルマを使わなくなるような事情があったり、保険会社を乗り換えたりするときは、手続きを行うことで保険期間中でも自動車保険を解約できます。
自動車保険は契約者から解約の申し出がなければ、基本的に満期まで継続します。たとえクルマを手放しても、適切な解約手続きを行われていなければ、自動車保険の契約だけが残ってしまうので注意しましょう。放置している間に不要な保険料を支払ったり、満期を迎えて等級が消滅したりというデメリットもあります。自動車保険は加入時だけでなく、解約するときの管理も重要です。
自動車保険解約時の注意点
自動車保険を中途解約する場合に気を付けたいポイントは3つあります。
- 等級の引継ぎ
- 保険料の解約返戻金
- 中断手続きが出来るか
それぞれについて解説していきます。
解約時の等級
自動車保険を中途解約するときに重要なポイントは、等級の引き継ぎです。保険会社を乗り換える場合は等級を新しい保険会社でも引き継げますが、新しく契約したタイミングから1年間は同じ等級になります。そのため、タイミングによって等級の進行が遅れてしまう点に注意してください。
例えば、もうすぐ満期を迎えて等級が上がるというタイミングで中途解約して乗り換える、等級が上がらず1年間は据え置きとなってしまいます。等級の引継ぎを考慮するのであれば、保険会社を乗り換えるタイミングは満期日が最適といえるでしょう。
転勤や結婚などでクルマを手放すことがあるかもしれません。こうした場合は、等級が消滅しないよう中断証明書を発行してください。
解約時の保険料の支払いと解約返戻金について
自動車保険を保険期間の途中で解約すると、始期日から解約する日までを差し引いた残り(使わなかった期間)の保険料が返還されます。ただし、保険料の支払い方法が年払と月払とでは、解約返戻金の計算方法が異なる点に注意してください。
年払契約の場合
保険料の支払いが年払契約の場合、返還保険料は以下の式で算出されます。※
現在の年間保険料×(1-既経過期間に対応する短期率)=返還保険料
既経過期間 | 短期率 |
---|---|
7日まで | 10% |
15日まで | 15% |
1ヶ月まで | 25% |
2ヶ月まで | 35% |
3ヶ月まで | 45% |
4ヶ月まで | 55% |
5ヶ月まで | 65% |
6ヶ月まで | 70% |
7ヶ月まで | 75% |
8ヶ月まで | 80% |
9ヶ月まで | 85% |
10ヶ月まで | 90% |
11ヶ月まで | 95% |
12ヶ月まで | 100% |
- 保険会社によって計算方法が異なる場合がございます。
例えば年払の保険料が60,000円で、既経過期間が6ヶ月までの場合で考えてみます。中には、「全体の半分を経過する前だから、解約返戻金も半分の30,000円が戻ってくるだろう」と思う方がいるかもしれません。しかし上記の式から計算すると、既経過期間が6ヶ月までの場合は短期料率が70%なので、解約返戻金は18,000円です。
60,000×(1-70%)=18,000円
単純な月割の計算ではなく、少し減額するような式になっています。そのため、年払で保険料を払っている人は解約返戻金が少なく感じるでしょう。
月払契約の場合
月払で契約している場合は、解約までの保険料を支払います。保険始期の応当日に既経過期間のカウントが1ヶ月進むため、1日でも過ぎてしまうとさらに1ヶ月分を支払わなくてはいけません。
1年間で支払う保険料の合計は、年払の方が安いのでお得だと考える人が多いでしょう。ただし、年払では解約返戻金が少なくなってしまうため、中途解約する場合は月払が有利です。
再開する可能性がある場合は中断証明書を発行しよう
中断証明書の概要とメリット
中断証明書とは、結婚や転勤などの理由でクルマを一時的に使わなくなったとき、自動車保険も一時的に中断してもらうために保険会社から発行してもらう証明書です。通常は自動車保険を解約すると等級が消滅します。しかし中断証明書を発行しておけば、自動車保険を解約している間も等級を10年間保存することが可能です。
一時的にクルマを手放す期間が発生することで積み上げてきた等級が消滅してしまうと、再開後の等級を元に戻すために長い年月がかかり、その間は高い保険料を払い続けることになります。そのため、クルマを使わなくなった場合でも、数年後にクルマの使用を再開する可能性があれば、自動車保険の解約時に中断証明書を発行してもらってください。
中断証明書の発行条件
保険会社に中断証明書を発行してもらうためには、以下の条件が必要です。
中断後に再開するときの等級が7等級以上
中断後に新しく契約する自動車保険の等級が1~6等級の場合は、中断証明書発行の対象外となります。中断前の等級が7等級以上でも、等級ダウン事故を起こして中断後の等級が6等級以下になる場合は中断証明書が発行できません。
解約日または満期日から13ヶ月以内に申請すること
自動車保険を解約した後でも、13ヶ月以内なら中断証明書の発行が可能です。保険会社によっては、5年以内となっている場合もあります。
契約中のクルマを手放していること(国内特則)
契約中のクルマを廃車・譲渡・盗難・車両入替といった理由で手放している場合も、中断証明書発行の対象です。また、車検切れでクルマの使用を中断していても発行できます。
記名被保険者が長期的な海外渡航でクルマの使用を中断すること(海外特則)
海外渡航で記名被保険者が長期間クルマの使用を中断する場合は、中断証明書発行の対象となります。ただし中断日(解約日または満期日)が、記名被保険者の出国日から6か月を遡及した日以降にあることが条件です。
他社乗り換え時の注意点
他社に乗り換えるときは空白期間を作らないようにし、保険が重複して契約されないように注意しましょう。自動車保険の解約と乗り換え先の自動車保険を契約するタイミングば無保険状態になることだけではなく、等級の引き継ぎにも注意が必要です。解約日の翌日から起算して7日以内は等級を引き継げますが、これを過ぎると等級がリセットされてしまいます。
切替のタイミングが自動車保険の満期の場合は、解約手続きが不要です。ただし自動継続特約が付いていると、契約者が解約する意向を伝えない限りそのままの契約内容で継続されるので注意が必要です。
自動車保険が重複してしまうと、後から加入した乗り換え先の自動車保険が無効になってしまうことがあります。心配な人は、あらかじめ保険会社に自動継続特約が付いているかどうか確認しておいてください。
自動車保険解約についてよくある質問
どのタイミングで解約手続きするのが良い?
クルマの使用を中断する場合は、無駄な保険期間が発生しないよう早めに解約手続きしましょう。※これは解約返戻金が少なくなることがあるためです。
- 車の使用を中断していても、車両保険付帯有の場合など、必ずしも解約しなければならないとは限りません。中断する際に「中断証明書」が必要な場合は、まずは保険会社に問い合わせましょう。
中途解約をすると違約金が発生するの?
中途解約手続きは本人以外でもできるの?
自賠責保険の解約も必要?
ただし、クルマを使わなくなった際には解約できます。この場合、廃車したことを証明する書類を揃えなくてはいけませんが、解約する時期によっては解約返戻金を受け取れることがあります。
自動車保険解約(中途解約)の方法
解約の流れ
自動車保険を中途解約する流れは以下の通りです。
- 契約者が保険会社に連絡して解約したい意向を伝える
- 送られてくる解約書類に署名する
- 書類を郵送や直接代理店に持ち込むといった方法で提出する
解約時に必要な書類や準備
解約書類は保険会社に解約する意向を連絡すると郵送されてくるので、自分で用意しなくても問題ありません。解約書類に署名し、準備しておいた保険証券を同封して返送すれば、解約手続きは完了します。