車売却で確定申告が必要なケースと書き方・手続き
目次
POINT 1車売却で確定申告をすべきケースとは?
車を売却したことで確定申告が必要になるケースは限られており、「個人事業主でない人が、通勤や買い物に利用していた」という場合には確定申告は不要です。逆に以下のような場合は確定申告が必要になります。
- 一般の個人の方で、購入時より高く売れてしまった
- 個人事業主で事業用資産として利用している車の売却
- 車の販売をしている個人事業主で、車の売買で収益を上げている
それぞれの場合の所得の扱いについて、順番に詳しく解説していきます。
1. 一般の個人の方で、購入時より高く売れてしまった
一般の個人の車が購入時よりも高く売れた場合であっても、必ずしも確定申告が必要とは限りません。通勤や通学、日常の買い物、送り迎えなど「生活に通常必要(生活用動産)」としての車は、売却して利益が出たとしても課税の対象外で、確定申告は不要です。
それに対して「趣味で所有していたスポーツカーが思いがけず高く売れた」といった場合には、確定申告が必要です。その場合の扱いは「譲渡所得」となり、以下のように計算します。
※1 取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料や設備費、改良費なども含まれます。ただし、使用したり、期間が経過することによって減価する資産にあっては、減価償却費相当額を控除した金額となります。
※2 譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。
※3 譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。なお、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。
※ 出典:国税庁HP
このように計算した時に譲渡所得があれば、確定申告が必要です。「売却した値段が、購入した時の値段より更に50万円以上高い」ということは通常は起こりにくいですが、高級車や希少価値の高い車の場合には注意が必要でしょう。
なお利益目的で車を売買している場合、その売買が「事業的規模」であると判断されると、開業届を出していなくても(3)の個人事業主としての申告が必要になります。「事業的規模」かどうかの判断に迷う場合は、税理士や確定申告の相談センターに相談してください。
2. 個人事業主で事業用資産として利用している車の売却
個人事業主として事業に使用している車を売却した場合も、(1)と同様に「譲渡所得」となります。事業用の車であっても「事業所得」にはならないので注意が必要です。
その際の計算方法は、(1)と同様です。用途が事業用なので「生活に通常必要(生活用動産)」とは見なされず、譲渡所得がある場合は必ず確定申告が必要になります。
3. 車の販売をしている個人事業主で車の売買で収益を上げている
同じ個人事業主であっても、商品として車を売買している場合は、「譲渡所得」ではなく「事業所得」という扱いになります。
車の売却額は全額「総収入」に、また車の仕入額やその他の諸経費が「必要経費」に当たり、その差額が「事業所得」と見なされます。記帳の仕方や申告方法により最大65万円の青色申告特別控除があるので、収入があっても全額が課税対象になるわけではありません。
POINT 2車売却をした際の確定申告書の書き方
車の売却益を「どのような所得」として申告するのかによって、記載すべき書類が変わってきます。
- 譲渡所得として申告…所得税及び復興特別所得税の確定申告書、譲渡所得の内訳書(総合譲渡用)
- 事業所得として申告…所得税及び復興特別所得税の確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書
具体的な書き方は国税庁のサイトで案内されています。また添付すべき書類も年度や申告方法によって変わるので、以下の国税庁のホームページを確認してください。
支払う税金はどれくらい?
車売却によって支払う税金は、事業の所得やその他の所得を踏まえて計算されます。その際に対象となる税金・税率は以下の通りです。
※ 2021年5月現在の税率
具体的な納税額のシミュレーションがしたい場合は、大まかな所得金額をまとめた上で、早めに税理士や確定申告相談センターに行くことをお勧めします。
確定申告の手続き
確定申告の書類が完成したら、申告手続きをしましょう。申告手続きの方法は、2021年現在、以下の3種類があります。
- 税務署の窓口に持参
- 税務署の窓口に郵送
- e-Taxを使いオンラインで提出
さらにその上で、納税が必要な場合は税務署窓口や金融機関、あるいは振替やe-Taxで支払いましょう。
納めるべき税金を申告しなかったり、延滞したりした場合、追加の税金が課されます。毎年確定申告の期間が決められていますので、以下の国税庁のホームページを参考にしたり税理士に依頼したりしながら、期限内にミスなく申請・納税をするように心掛けましょう。
堀口成剛税理士事務所代表
大学卒業後、大手生命保険会社(法人営業)・損害保険会社(代理店営業)に従事。
2009年に税理士事務所を開業。法人・個人事業者などの事業に関する税務会計業務を中心に、そのほか資金調達や個人の財産管理のアドバイスなども取り組んでいる。東京税理士会所属。