クルマの冬対策まとめ-メンテナンスや装備、おすすめの対策グッズ

クルマの冬対策まとめ-メンテナンスや装備、おすすめの対策グッズ

車には、冬ならではのトラブルがありします。
整備士目線でお伝えできる、冬に起こりやすい車のトラブルとその対処法について解説します。

冬に起こりやすい車のトラブルは7つ

実際に整備士が仕事を通して感じている冬に起こりやすい車のトラブルについて以下の7点について解説していきます。

  • 寒い日にエンジンが掛かりにくい
  • 安全装置が機能しない、または誤作動をする
  • フロントガラスが凍る
  • エアコンの効きが悪くなる
  • ウォッシャー液が出ない
  • タイヤの空気圧が低くなっている
  • 寒い地域に旅行に行くときは燃料に注意(ディーゼル車)

寒い日にエンジンが掛かりにくい

エンジンが掛かるまでに、セルモーター(スターター)のシュルシュル、キュルキュルという作動音が長いときは、バッテリーの劣化が原因であることが多いです。

バッテリーは夏よりも、寒い冬の方が弱りやすい傾向にあります。
2〜3年以上バッテリーの交換をしていない人は、冬場の急なバッテリー上がりを防ぐために、整備工場で点検をしてもらい、交換の必要があれば早めに交換するのがベストです。

安全装置が機能しない、または誤作動をする

冬はフロントガラスの結露や、曇りが発生しやすいうえに、車に雪や霜が付着することもあります。これらが原因で、安全装置のセンサーやカメラが正常に作動しない、または誤作動することがあります。

自動ブレーキやオートハイビーム機能、前走車追従(クルーズコントロール)機能などの安全装置はフロントガラスやフロントバンパーについたセンサーやカメラを使用しています。

車側が正常作動しないと判定した場合は、安全のために機能を停止させることもあります。整備入庫時「朝一に安全装備が作動できないことがある。故障ではないか?」というお申し出は意外と多いです。みなさんも、愛車の機能の作動条件などを改めて確認しておくと安心でしょう。

フロントガラスが凍る

フロントガラスが凍ると安全装置の誤作動や機能停止の問題がありますが、もっとシンプルな問題もあります。
この状態でワイパーを動かすと、ワイパーゴムを傷めてしまい、拭き取りが悪くなってしまいます。
ワイパーを動かすときは、フロントガラスが凍っていないことを確認してからにしましょう。

エアコンの効きが悪くなる

車の暖房(エアコン)は基本的に、エンジンの冷却水を利用しています。
エンジンの熱により温められた冷却水を車内に引き込み、そこに風を当てることで温風となる仕組みです。そのため、冷却水が温まるまでは暖房の効きは悪いです。

稀に、サーモスタットという冷却水の通り道を切り替える部品の故障で、オーバークール状態となってエンジンが暖まった後も冷却水温度が上がり切らず、暖房が効きにくくなることもあります。
30分以上走行しても風がぬるいときは一度、整備工場で点検することをおすすめします。

また、ハイブリッドやEVのようなエンジンが常時動いていない車は、PTCヒーターと呼ばれるヒーターを電気的に作動させて熱を持たせることで、併用または代用しています。
冷却水よりも温まるのは早いですが、それでもタイムラグはあります。

ウォッシャー液が出ない

タンクやホース内で水が凍っていて、ウォッシャー液が出てこないトラブルも起きがちです。

特に水しか補充しておらず、屋外に駐車していると凍るリスクは高くなります。
不凍効果のあるウォッシャー液を使用すれば、水との割合を調整して氷点下でも凍らないようにすることができます。

タイヤの空気圧が低くなっている

あなたはどれくらいの頻度でタイヤの空気圧をチェックしていますか?
まだ暖かい季節にチェックして以降、放ったらかしなら要注意です。

空気は暑いときは体積が膨張し、寒いときは体積が小さくなります。
冬にかけて寒くなることでタイヤの中の空気の体積が小さくなるので、より空気圧が低くなってしまいます。

整備士もお客さまの車を点検していると、冬場に点検する車は空気圧が大きく低下している車がかなり多いです。
温度差による空気圧の変化は予想以上に大きいです。

本来、タイヤの空気圧は月に一度は点検していただきたいですが、特に冬タイヤ前にはいま一度このことを思い出して、適正な空気圧が保たれているのかチェックしてみてください。空気圧の低下は燃費の悪化にもつながります。

寒い地域に旅行に行くときは燃料に注意(ディーゼル車)

ディーゼル車に給油する軽油には種類があることをご存知ですか?
実はガソリンスタンドで販売されている軽油は、夏と冬では異なります。
さらに、冬は温暖な地域と寒冷地とで異なります。燃料が凍結しないようにするためです。

温暖な地域に住んでいる人がウィンタースポーツや旅行で寒い地域に行くとき、このことを知らずに温暖な地域で給油した後、無給油のままで寒い地域を走行していると、軽油が凍ってしまいエンジンが掛からなくなるリスクがあります。
ディーゼル車で寒い地域にお出掛けの場合は必要分の給油だけ行って、寒冷地に着いてから現地で十分な給油を行う必要があります。

冬対策のメンテンナス方法

冬のメンテナンスは起きやすいトラブルから以下の点に気を付けましょう。

  1. バッテリーは弱ってきていれば寒くなる前に交換
  2. 安全装備の作動条件を理解する
  3. ワイパーはゴムが傷んでしまうので、窓が凍っているときは動かさない
  4. ウォッシャー液は凍結しないように水だけでなく、車用ウォッシャー液を適切な割合で使用する
  5. タイヤの空気圧をチェックする
  6. ディーゼル車で寒冷地に行くときは、現地で寒冷地用軽油を給油する

【補足】フロントガラス内側の曇りの除去について

フロントガラスの内窓の曇りが原因で安全装備が作動しないときは、エアコンのフロントデフロスターを使用することで、時短で曇りを取り除くことができます。
冬は内窓が曇りやすいですが、窓が汚れているとより曇りやすいです。
仕上げに乾いたタオルを使用して、油膜がつかないよう、内窓は綺麗に拭きあげておきましょう。

冬に備えておきたい装備、準備

ワイパーやウォッシャー液の交換

雪によってワイパーは錆びやすいため、降雪量の多い地域では耐久性や防錆性のある冬用ワイパーに交換することが重要です。 また降雪量の少ない地域でも、気温の低下でウォッシャー液が凍結してしまうことがあります。そのためウォッシャー液を不凍タイプのものに交換することをおすすめします。

エンジンスターター

冬に備えておきたい便利な装備のひとつにエンジンスターターがあります。
これは、スターター用リモコンの電波が届く範囲ですが、遠隔操作でエンジンを掛けることができる装備です。
車に乗り込む前にエンジンを掛けエアコンを作動させておくことで、ガラスの曇り・凍結を事前に取っておくのはもちろんのこと、車内が暖まった状態にしておけるのは、快適でとても便利です。

エンジンスターターは、車種によって純正オプションが設定されていたり、社外品としても販売されているものがあります。
また、最近の車はスマホのオーナーアプリを使用してエンジンスタートできる車種もあります。
一度、エンジンスターターの便利さに慣れてしまうと手放せない機能のひとつです。

シートヒーター

シートヒーターには後付けできるものがあります。
電源はアクセサリーソケットから取り、シートの上に敷くだくでいいので、車に詳しくない人でも見映えを気にしなければ、簡単に設置できます。
カー用品店で販売されているので、ご興味のある方はぜひお試しください。

ブースターケーブル

すこし車の知識のある方であれば、ブースターケーブルを車に積んでおいて、バッテリー上がりの時に自分で対応できるように準備しておくと、もしもの時に安心です。

補足として、ハイブリッド車はバッテリー上がりの救援車側にはなれないので注意しましょう。

スタッドレスタイヤやチェーンの準備

雪の降らない地域でも、朝晩の冷え込みで路面が凍結していることもあります。
凍結(アイスバーン)は、走行中にパッと見での判断が難しく、ほかの場所は大丈夫でも風の吹き抜ける「橋」だけが凍結していることもあります。
凍結路を前にノーマルタイヤは無力です。

また、出先で降雪に見舞われたり、冬タイヤ未装着では走行できない道もあります。
必要に応じて、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを余裕を持って準備しておくようにしましょう。

古い車の場合、冬場で特に気を付けたいこと

古い車は経年劣化によりさまざまなトラブルリスクが高まります。
エンジンの冷却水漏れもそのひとつで、ホースやラジエーター、樹脂部品の劣化が考えられます。

夏は暑いので冷却水漏れが発生しているとオーバーヒートに繋がりやすく、メーター内の警告灯でオーバーヒートを認識できます。
一方で冬場だと走り方によっては、そこまでエンジンが熱くなりきらないことも多く、冷却水が漏れて減っていてたとしても、オーバーヒートしないことがあります。

車の下に漏れた冷却水溜まりができていれば、オーバーヒートを起こす前(起こさなくても)でも気付くこともできます。
また、冷却水が減っていると厳密にはヒーターの効きも悪くなるので、その違和感から冷却水漏れを発見することもできます。
しかし、冬場であれば気付きにくいトラブルであることは間違いないでしょう。

【ケース別】用意しておきたい冬対策グッズ

ここからは、冬に起きやすいトラブル別で予防・対処に役立つグッズを紹介します。

【ガラス凍結】フロントカバー

車体の外側からフロントガラスを覆うカバーで、フロントガラスの凍結や霜を防ぎます。2,000円前後と安価で購入でき、夏の紫外線防止と兼用できるものがほとんどです。

【ガラス凍結】解氷スプレー

こちらは凍結を防止するものでなく、凍結した場合に使用する対策グッズです。価格は1本1,000円程度と安価です。噴霧するだけなので時間がない時にも使いやすく、鍵穴の凍結などにも使用できます。

【バッテリー上がり】ブースターケーブル

ブースターケーブルは、バッテリーが上がった時に他のクルマから電力を分けてもらうためのグッズです。周囲にクルマがいる状況であれば、ロードサービスを呼ぶよりも早く対処できる可能性があります。2,000円程度からで購入でき、保管場所もとらないので念のために所持しておくと良いでしょう。

【バッテリー上がり】ジャンプスターター

ジャンプスターターは、他のクルマの電力に頼らず自分でバッテリー上がりを解決するためのグッズです。充電式バッテリーが内蔵されているので、「人に頼みづらい」「そもそも周囲に人がいない」という状況で使用できます。価格は6,000円~数万円と高めですが、ブースターケーブルの代わりに持っておくと心強いです。

【スタック・スリップ】タイヤチェーン

スタッドレスタイヤがあれば、ある程度の雪道や凍結路に対応できますが、チェーンをつければより安全性が高まり、スタックやスリップを防げます。最近は金属製チェーン以外にも、着脱のしやすい非金属製チェーンや布製カバーもあります。5,000円程度から購入できます。

【スタック・スリップ】スタックヘルパー

スタックヘルパーは、スタックした時にクルマと雪の間に挟み、雪からの脱出をサポートするグッズです。3,000円程度から購入できます。降雪量の多い地域に住んでいる場合や、スキー場へ行く場合などにあると心強いでしょう。

冬のドライブ対策に読んでおきたい記事

noricoではドライブを安全で快適にするための情報を多く紹介しています。冬のドライブに向けて充分な対策ができるよう、以下の記事もぜひお読みください。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。