サポカー限定免許とは-高齢の親が心配な場合の選択肢になる?

サポカー限定免許とは-高齢の親が心配な場合の選択肢になる?

【結論】サポカー限定免許は「任意」で効果は限定的

2022年5月13日より導入されるサポカー限定免許は「運転できるのは対象として認められたサポカーのみ」と対象車種を限定した免許です。

高齢で運転に不安はあるものの、生活上クルマが必要で免許返納をためらう人を想定して作られた制度ですが、以下の特徴からも分かるように、「サポカー限定免許に切り替えるような強制力」は一切ありません。

  • サポカー限定免許に切り替えるかどうかは任意
  • 「65歳以上は限定免許」などの年齢による強制はない
  • 「運転技能検査に落ちたら限定免許」といった強制もない

そのため「自分は大丈夫」と思っている高齢者に対しては自主返納と同様に説得が必要です。また運転が心配な人はすでに安全装備の充実したクルマを購入していることも考えられるため、効果は限定的でしょう。

対象車種は「ほぼ新車」に限られる

サポカー限定免許で運転できるのは、以下のどちらかの条件を満たしたクルマです。

  • 条件① 保安基準に適合する「自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」を搭載
  • 条件② 性能認定を受けた「自動ブレーキ+誤発進抑制装置(ペダル踏み間違い時加速抑制装置)」を搭載

注意したいのは「限定免許で運転できるクルマ=過去のサポカー補助金の対象車」ではないという点です。

条件①の保安基準に適合するのは、実質的に2021年11月以降に発売された国産の「新型車」のみ。また条件②の性能認定も、2020年4月以降に製造されたクルマに限られます。そのため限定免許で運転できるクルマは「ほぼ新車」と考えた方が良いでしょう。

運転できるクルマの一覧は警察庁のHPで公開されています。2022年4月末現在で、125車種342型式が対象です。

Q. 軽自動車や軽トラック、軽バンは対象?

対象です。ダイハツのハイゼットトラックなどが対象車両に含まれています。ただし型式も必ず確認してください。

Q. 後付けの装置を付けた場合は対象?

対象外です。例えば性能認定を受けた自動ブレーキのみを搭載したクルマに後付けのペダル踏み間違い防止装置を付けても、サポカー限定免許では運転できません。

Q. 対象外のクルマを運転するとどうなる?

サポカー限定免許の状態で対象外のクルマを運転すると「免許条件違反」として違反点数2点が科されます。違反点数が6点になると免許停止となってしまうため、注意が必要です。

同時に一部高齢者向けの技能検査も導入

今回の道路交通法改正では、サポカー限定免許とともに「運転技能検査」制度も導入されます。これは速度違反などの違反歴があるドライバー(75歳以上)を対象とした「実車試験」です。

対象者 免許更新前の約3年間に速度違反や信号無視などの違反歴がある、75歳以上のドライバー
試験内容 実車試験(運転の実技試験)
不合格の場合 免許更新は不可能
※ただし、試験は繰り返し受験可能

同じタイミングで導入された制度ですが、サポカー限定免許とは全く連動していません。「この試験に落ちたからサポカー限定免許になる」というものではないので注意しましょう。

高齢の親の運転が心配な場合の選択肢

サポカー限定免許や技能試験の導入の背景には、高齢ドライバーによる交通事故の問題があります。運転に不安がある高齢ドライバーに対して、現在考えられる選択肢は以下の3つです。

  • 選択肢① 自主返納を促す
  • 選択肢② サポカー限定免許の取得を促す
  • 選択肢③ 通常の更新で安全装備が充実したクルマを選ぶ

選択肢① 自主返納を促す

今回の道路交通法改正によって、違反歴がある高齢ドライバーに対しては運転技能検査が課されることとなりました。これにより一部の高齢ドライバーは免許が更新できなくなりますが、対象は限られています。

そのため多くの場合は自主返納という形になりますが、生活上クルマが必要な場合や、高齢者本人が免許の返納に意欲的でない場合は難しいでしょう。

選択肢② サポカー限定免許の取得を促す

サポカー限定免許への切り替えは任意ですが、自主返納に比べると生活上の不便は少なく、また高齢者の心理的ハードルは低いです。そのため説得しやすいのがメリットです。

ただし免許の種類に関わらず、クルマの安全性能が高ければ事故のリスクは減らせます。そのため「自分のクルマしか運転しない」という高齢者の場合には、選択肢③の「通常の更新で安全装備が充実したクルマを選ぶ」と大きな差はないでしょう。

またサポカー限定免許の対象となるクルマが限られており買い替えが必要になることが多いので、経済的に負担が大きいのもデメリットです。

選択肢③ 通常の更新で安全装備が充実したクルマを選ぶ

最も手軽で、高齢者の心理的ハードルが低いのは、安全性能が高いクルマを選ぶという選択肢です。日常的に乗るクルマに自動ブレーキや誤発進抑制装置が付くだけで、事故のリスクを減らすことができます。

サポカー限定免許のように対象車が厳しく決まっている訳ではないので、自動ブレーキや誤発進抑制装置が付いた3~5年落ちの中古車も候補に入れても良いでしょう。

新車購入ほどの予算がない場合や、高齢者本人が返納や限定免許に意欲的でない場合には最も現実的な選択肢です。

安全装備充実のオススメ車種3選

サポカー限定免許に切り替えるかどうかに関わらず、高齢ドライバーが運転する場合は安全装備が充実したクルマを選ぶことが大切です。

ガリバーではメーカー横断で「安全なクルマ」をランキング形式で紹介しており、今回はその中から価格もリーズナブルで運転しやすいクルマを紹介します。いずれも新車であればサポカー限定免許の対象です。

※新車価格、中古車相場はガリバーの「車カタログ」より

ホンダ N-WGN

ホンダN-WGN

  • 新車時価格(税込):127.4万円~166.2万円
  • 中古車相場:7.9万円~179万円

N-WGNには10の機能を集約しパッケージ化した「ホンダセンシング」と、サイド&カーテンエアバッグが全車標準装備化されています。軽自動車の中では予防安全装備面で特に優れた一台で、どのグレードを買っても安心できます。

ホンダN-WGNの情報や口コミを確認する|中古車のガリバー

日産 ルークス

日産ルークス

  • 新車時価格(税込):141.6万円〜213.3万円
  • 中古車相場:5万円〜244.8万円

ルークスは、自車から見えない車両の急減速を検知して警報するインテリジェント FCW(前⽅衝突予測警報)を搭載しています。この機能によって玉突き事故の予防が可能です。また後部座席がスライドドアなので、ドアの開閉時に隣のクルマを傷つける心配もありません。

日産ルークスの情報や口コミを確認する|中古車のガリバー

ダイハツ タント

ダイハツタント

  • 新車時価格(税込):122万円〜202.4万円
  • 中古車相場:5万円〜222.4万円

タントはエントリーグレードを除いて予防安全装備パッケージの「スマートアシスト」が装備されています。また助手席と後部座席の間にピラーがない「ミラクルオープンドア」は他のクルマにない魅力です。低床フロアで、高齢者でも乗り降りが楽な点も安心でしょう。

ダイハツタントの情報や口コミを確認する|中古車のガリバー

「新車を買うほどでは」という時は中古車も

「あと何年クルマに乗るか分からないのに新車を買うのは」という場合には、安全装備が充実した中古車を探すのもおすすめです。3年落ちや5年落ちの中古車の中にも、自動ブレーキや誤発進抑制装置が付いているクルマも多くあります。

ガリバーでは自動ブレーキ搭載のクルマを探せるほか、「自動ブレーキが付いたクルマで、できるだけ安いクルマ」といったご要望も承っています。クルマ選びの際にはぜひ一度ご相談ください。

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中古車を選ぶ際の狙い目の車種について解説しています。

Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!