懸賞で車が当たったら|かかる費用と税金、売却の注意点は?

懸賞で車が当たる人はいる

懸賞品として、車がプレゼントされることは実際にあります。

当選者は「1名」など少なく、当選確率も非常に低いです。しかし、自動車メーカーやカー用品店、ガソリンスタンドといった車関係の企業、さらにハウスメーカーなどでも車を懸賞品として出すことがあります。

ただし当選者の費用負担も多い

懸賞で車が当たれば、嬉しいものです。しかし、当選時には車の諸費用(車両価格の5~20%程度)と所得税(車両価格の5%程度)を負担しなければいけません。
車両価格に応じた当選者の負担額の目安は、大まかに以下の通りです。

  • 車両価格200万円:20万円~50万円
  • 車両価格300万円:30万円~75万円
  • 車両価格500万円:50万円~125万円

上記はあくまで目安ですが、懸賞で車が当たれば一定の費用負担が発生すると認識しておきましょう。

懸賞で車が当たった場合にかかる費用

懸賞に当たった車にかかる費用の一覧図

懸賞で車が当たった場合、企業などに負担してもらえるのは車両代のみ。車の取得時にかかる諸費用は、基本的に当選者が負担します。その目安は、車両価格の5~20%程度です。

以下で、当選者が負担する各費用について解説します。

①自動車税

自動車税は、4月1日時点の車の所有者が納める税金です。課税額は主に車の排気量で決まります。たとえばトヨタ「ヤリスクロス」(2WD・ガソリン車/排気量1,490cc)なら、1年分で30,500円です。

4月2日以降に懸賞品の車を入手した場合、普通車であれば入手の翌月~翌年3月までの月割り分を納めます。一方、軽自動車はその年度の軽自動車税を納める必要がなく、翌年度からの納税となります。

②自動車重量税

自動車重量税は、主に車の重量に応じて課される税金です。新車では購入時に3年分、それ以降は車検時に2年分を納めるのが一般的です。

懸賞で新車が当たった場合は、3年分の自動車重量税を納めます。
課税額は、普通車で4,100円/0.5t/年(新規登録から13年未満の場合)です。たとえば、トヨタ「ヤリスクロス」(2WD・ガソリン車/車両重量1.5t弱)なら3年分で36,900円となります。一方、軽自動車は車両重量を問わず3,300円/年(13年未満の場合)です。

ハイブリッド車などでは、取得時の自動車重量税が減免となる可能性があります。

③環境性能割

環境性能割は、車の取得時に課される税金です。

新車の場合、課税額の計算方法は「取得価額×税率(0~3%)」です。取得価額は概ね新車価格の約90%にオプションを加えた金額で、税率はその車の環境性能応じて変わります。
トヨタ「ヤリスクロス」(2WD)を例に挙げると、ガソリン車は約4万5,000円~7万円程度の課税額となります。一方、ハイブリッド車の場合は非課税です。

④リサイクル料金

リサイクル料金とは、廃車時の部品処理に必要な費用です。処理をするのは廃車後ですが、料金自体は車の入手時に支払います。

リサイクル料金の金額は、車種ごとに各自動車メーカーや輸入業者が設定しています。相場は普通車が1万円~1万8,000円ほど、軽自動車が6,000円~1万6,000円ほどです。
たとえば、トヨタ「ヤリスクロス」の場合、リサイクル料金は8,210円~10,340円となっています。

⑤検査登録料

検査登録料とは、車両の検査や登録に必要な費用です。新車では新規検査と新規登録(軽自動車なら新規届出)の費用、中古車の場合は車検や名義変更の費用がかかります。

費用は受ける検査などによって異なりますが、基本的には合計で数千円ほどです。ただし、各種手続きを自動車販売店などに代行してもらう場合は代行手数料が発生し、一般に1~3万円ほどがかかります。

⑥自賠責保険料

自賠責保険料は、全自動車ユーザーが加入必須の強制保険です。事故で他人を死傷させた場合の対人賠償の補償(限度額あり)を行います。

自賠責保険料は、新車の場合は入手時に3年分、それ以降は車検時に2年分を支払うのが一般的です。保険料は年によって変化しますが、2024年度の場合は普通車で24,190円、軽自動車で24,010円(ともに37ヶ月分)です。

⑦車庫証明取得費用

車庫証明とは、車の保管場所を証明するものです。普通車を入手した場合は、管轄の警察署へ車庫証明の発行を申請する必要があります。

車庫証明の取得費用は2,000円~2,500円ほどです。ただし、地域によっては車庫証明の提出が不要な場合もあります。また、軽自動車は原則として車庫証明の発行が不要ですが、多くの場合は保管場所の届出を行う必要があります。
自動車販売店などに手続きを代行してもらう場合は、別途代行費用がかかります。

さらに他の費用がかかる可能性も

納車にあたっては、車の輸送も必要です。また、輸送以外にも納車前の洗車代など別途費用がかかる可能性があります。懸賞に応募する際は、注意事項をよく確認しましょう。

懸賞で車が当たった場合にかかる税金

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前章でご紹介した諸費用は、懸賞で車が当たった場合だけでなく、車を通常購入した場合にもかかります。

一方、この章でご紹介する税金は、懸賞で車を手に入れるからこそ課税対象となったり、当選による影響を受けたりするものです。

企業に支払う「源泉所得税」

懸賞品の車は所得税法における「一時所得」としてカウントされ、所得税の課税対象となります。当選者は車を引き渡された段階で主催者に源泉所得税を支払い、主催者は当選者に代わって税金を国に納めます。
※源泉徴収相当額をあらかじめ賞品内容に含めているケースもあります。詳しくは応募のキャンペーン内容を確認しましょう。

納める金額の計算式は、以下の通りです。

源泉所得税額=(賞品の通常販売価額 × 0.6  - 特別控除《50万円》)× 10.21%

また、特別控除は金額や賞品の内容に関係なく適用されます。「車の販売価額×0.6」が50万円以下であれば、税金はかかりません。

以下では、例としてヤリスクロス(Zグレード・2WD・ガソリン車、新車時価格2,435,000円)が当選した場合の源泉所得税を算出します。

(2,435,000円 × 0.6 - 500,000円)× 10.21% =98,118円

一時所得とは
一時所得とは、事業所得など営利を目的とする継続的な行為以外で得た所得で、且つ労務や役務の対価、或いは資産譲渡の対価でない所得です。具体的には、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金などがあり、懸賞で当たった車も「賞金品」にあたります。

また、確定申告をする場合は、(賞品の通常販売価額  × 0.6 − 必要経費 − 50万円)×1/2の計算式で算出された金額を他の所得と合算することで収める税額を計算することができます。

控除や住民税に影響がある場合も

給与所得者や事業所得者の場合、懸賞品に課税されることで、確定申告が必要となったときは、通常より所得が増加することとなります。
これにより、もともとの税率より高い税率が適用されることとなってしまうケースや、配偶者控除・基礎控除などが減額されるケースが生ずることも考えられます。

また住民税は源泉徴収されていないため、翌年、普通徴収か特別徴収により別途、納税が必要となります。

追加の支払いや払い戻しがある可能性も

懸賞で車、特に新車が当たった場合は金額が小さくないため、確定申告をするかどうか検討しましょう。

前述のように、懸賞品の車は「一時所得」にあたり、所得税の課税対象となります。当選時には一度「源泉所得税」を納めますが、最終的な課税額は給与所得など他の所得と合算して算出されます。そのため、源泉所得税はあくまで「仮の納税」であり、最終的な税額は確定申告を経て決定します。
事前に納めた源泉所得税額が車の入手で生じた所得税額の増額分より安ければ追加の支払いが、高ければ払い戻しが発生します。

懸賞で当たった車は売却できる?

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懸賞で当たった車も、一般的な車と同様に売却することができます。ただし、一定期間売却できなかったり、売却前に名義変更が必要だったりするケースもあります。

規約に従うことが原則

主催者は懸賞品の受け渡しにあたって規約を定めており、なかには一定期間の売却を禁止しているケースもあります。また、車の保管や使用の方法について規約が定められていることもあります。

規約に違反すればペナルティを科される可能性もありますので、受け取り前や売却前に必ず確認してください。

所有権の移行を忘れないよう注意

車を売却できるのは、原則としてその車両の所有者のみです。懸賞品の車の場合、この所有権が主催者(企業など)にあることが少なくありません。所有者が当選者になっていない場合は、所有権の移行(所有権解除)をする必要があります。

懸賞によっては当選直後の転売を避けるため、あえて一定期間は主催者側が所有権をもつよう規約で定めているケースもあります。

未使用でも新車時価格では売れない

もう一つ気を付けたいのが、新車を受け取り、すぐ売却しても「新車時価格と同等では売れない」ということです。

一度車の所有権が当選者名義になった時点で、その車は中古車として扱われます。アルファードなどの超人気車種であれば、新車時価格と同等の査定額が付く可能性もありますが、多くの場合は新車時価格より査定額が低くなります。

記事監修者(税理士)のコメント

懸賞品については、まったくの0円で入手できるのではなく、諸費用は当選者が負担するのが一般的です。特に、所得税・住民税は、確定申告によって、もともとの給与所得や事業所得に合算することが必要になります。また、国民健康保険の加入者は、保険料にも影響を及ぼしますので、ご注意ください。

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懸賞で車が当たった場合は、車両価格を主催者に負担してもらえる一方で、諸費用の支払いや税金の納付が発生します。手間なども踏まえて、安い車両の購入も検討してみてください。

Supervised by 税理士 宮川 真一

税理士 宮川 真一

保有資格:税理士。1996年一橋大学商学部卒業。税理士法人みらいサクセスパートナーズ代表税理士。1997年から税理士業務に従事し、税理士として20年以上のキャリアがあります。 現在はM&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。自動車税、所得税といった身近にある税金関係の記事監修を得意としています。