車のバッテリー寿命は何年?交換時期の判断方法を整備士が解説

車のバッテリー寿命は何年?交換時期と判断方法を整備士が解説

車にとってバッテリーは消耗品でもあるので定期的な交換が必要ですが、意外と高くて驚いた…と言う人も多いのでは?
できることならば、適切な交換時期で交換して不要な出費は抑えたいところです。
今回は車のバッテリーの寿命・交換時期の目安や、判断方法について、現役の整備士が分かりやすく解説します。

車のバッテリーの寿命は2年~3年が一般的

一般的に車のバッテリーの寿命は2年~3年といわれています。ただし車のタイプや利用状況によって寿命は変わっていきます。

バッテリーの寿命の判断方法は大きく2つ

バッテリーの寿命を判断する方法は、主に以下の2つです。

  • 使用年数から判断
  • 実際の電圧値や充電量から判断

もう少し深く掘り下げて解説しましょう。

使用年数で確認。車のタイプ毎の交換時期

バッテリーの寿命を判断するひとつの目安は、使用年数です。
ただし、車の乗り方次第で目安の年数も大きく変わってきます。
主に以下の2パターンに分けて、車のタイプ毎に目安となる交換時期をまとめました。

  • 一般的な使用の場合…毎日、通勤等で片道30分〜、数十km乗るなど
  • チョイ乗り多い,乗る頻度が少ない場合…週末の買い物のみ、毎日乗っても数km、10分前後程度

都会でストップアンドゴーの多い場合は、チョイ乗り多い&乗る頻度が少ない側で見てください。

バッテリー交換時期の目安 一般的な場合 チョイ乗りが多い場合
ガソリン・ディーゼルエンジン(アイドリングストップ付き) 2〜5年 2〜4年
ハイブリッド車・EV車(PHEV含む) 3〜5年 2〜4年
ガソリン・ディーゼルエンジン(アイドリングストップ無し) 4〜6年 2〜4年

複数人の整備士にアンケートを取りましたが、意外と車のタイプが異なってもバッテリーの寿命に大きく差異がないことがわかります。
また、同じ大きさのバッテリーでも容量が違うと寿命の長さに影響します。
車のバッテリーの交換時期の目安として、チョイ乗りで2年経過以降、一般的な使い方だと3年以降で交換の必要が出てくると考えて、急な出費に備えておくのがベストでしょう。

専用テスターでバッテリー寿命を判断する

車の使い方は千差万別です。バッテリー寿命年数の目安で判断するにも同じ車でも使い方が違ったり使用しているバッテリーが異なれば、倍以上寿命がかわることも珍しくありません。
そこでもう一つの目安として、専用のバッテリーテスターでバッテリーの健康状態を測定する方法があります。
テスターでは電圧値だけではなく、充電量(SOC)や健全値(SOH)も測定ができ、総合的な診断が可能です。
テスターは、整備工場や整備ができるガソリンスタンドには必ずあります。
整備工場への点検入庫時は確実に点検してもらえます。
それ以外のタイミングで点検したい場合は、行きつけのガソリンスタンドのスタッフに声を掛けて点検してもらうのが、手間も少なくおすすめですが、お世話になってる整備工場に問い合わせするのもOKです。
いずれにせよ、ある程度は使用年数を目安にしながら、交換に備えておくのがよいでしょう。

バッテリーの寿命が来る主な前兆

バッテリーには寿命が来ることが予想できる前兆があります。
ここでは主に3つの前兆を紹介します。

エンジンがかかりにくい

車がもっとも大きな電力を要するのが、スターターを駆動させてエンジンをかける時です。(ハイブリッドやEV車を除く)
バッテリーが弱ってくると、スターターを回す力も弱くなります。
エンジンをかける時の「シュルシュル/キュルキュル音」が弱くなったり、エンジンがかかるまでの時間が長くなります。

バッテリーが膨らんでる。液が変色している

身近なものだとスマホのバッテリーにも当てはまりますが、バッテリーは劣化が進むと本体が膨らみます。
車のバッテリーも同様です。
劣化が進むと、バッテリー内部で酸化によりガスが発生することが原因です。
また、本来は透明なバッテリー液が黒ずんだりしているのも、内部が劣化してきているサインです。
バッテリーの膨らみの判断は、新品と比較できないと難しい場合があります。
また、バッテリー液の点検ができない密閉型のメンテナンスフリーバッテリーや、液の代わりにゲルを採用しているドライバッテリーだと、液の変色によるチェックはできません。
そのため、これらのバッテリー寿命の前兆のチェックは、ある程度の車の知識を有している人でないと難しいでしょう。

アイドリングストップが機能していない

アイドリングストップは、バッテリーが健康な状態で十分な充電量がなければ作動しません。
アイドリングストップの頻度が減ったり、まったくしなくなったのであれば、原因のひとつにバッテリーの劣化が考えられます。

【補足】ヘッドライトの暗さとかでは判断しにくい

バッテリー寿命の前兆として、「ヘッドライトが暗くなる」「パワーウィンドウの動きが遅くなる」…といったことを聞いたことはありませんか?
ひと昔前の車やバッテリーであれば、それもバッテリー劣化のサインのひとつとして判断基準になりましたが、最近の車(の各部品)やバッテリーは性能も良くなっているので、これらを判断基準とすることは非常に難しいです。
たとえば、ヘッドライトの明るさの変化に関して言うと、従来のハロゲンタイプからLEDに変わってきており、消費電力がかなり小さくなったことでバッテリーの影響を受けにくくなっています。
また、バルブ本体の不良や発電機(オルタネーター)の不良なども考えられるので、一概にバッテリーの劣化とは判断しづらいこともあります。

【補足】バッテリーが寿命を突然むかえる場合

ここまでバッテリーの寿命を迎える前兆や、寿命の判断基準について解説してきました。
しかし最近のバッテリーは突然死するパターンが非常に多いです。
技術の進歩により、寿命ギリギリまで性能を十分に発揮できるようになったことの弊害とも言えます。
だからこそ、定期点検時などに専用のバッテリーテスターで点検して、予防整備として交換時期を判断するのが、未然にトラブルを防ぐためにも大切です。

バッテリーを長持ちさせるメンテナンス

バッテリーの寿命は、普段の使い方である程度前後します。
バッテリーの消耗を早める乗り方と、長持ちさせるためにできることを紹介します。

バッテリーの消耗を早める乗り方

バッテリーの消耗を早める乗り方として一般的なもので、以下のようなものがあります。

  • チョイ乗りが多い
  • 乗る頻度が少ない
  • ドラレコの駐車監視モードの使用
  • エンジンをかけずに、オーディオやライト類などの電装品を使用する

これらの環境下では、電気の使用量に対して発電量が十分でないので、バッテリーの充電量が低下します。
その結果、バッテリーの寿命を早めることにつながります。
特に最近は、ドラレコに起因するトラブルが増えています。

日常的にできるメンテンナンス

一方でバッテリーを少しでも長持ちさせる方法・メンテナンスもあります。
ここでは3つ紹介します。

アイドリングストップの機能を使わない

アイドリングストップ付きの車であれば、アイドリングストップの頻度を減らすことも一つの方法です。
車がもっとも電気を消費する【スターターが駆動する時】を減らすことで、バッテリーへの負荷も減らすことができます。
アイドリングストップにはメリットも多くありますが、バッテリーの寿命という側面だけを見ると、上記のような選択肢もありでしょう。

バッテリー液量を適切に保つ

バッテリーの上部に6つのキャップがついており、側面にバッテリー液量を目視で確認できる目盛の付いているものであれば、使用過程により減ったバッテリー液を補充できるバッテリーもあります。
液量を適切に保つことで、ある程度寿命を延ばすことができます。
ただし、簡単なことのように見えますが、正しい整備の知識がないとトラブルの元にもなりかねないので注意しましょう。

バッテリー充電器を使用する

ユーザー向けにバッテリーのメンテナンス用品として販売されている充電器を使用することで、バッテリーの寿命を延ばすことができます。
過充電などを防ぐ自動診断機能のついているものであれば安心です。
特にチョイ乗りの多い方や、乗る頻度の少ない方には効果的面なのでおすすめです。

バッテリー上がりになったらすぐ交換した方がいい?

バッテリーが上がってしまった場合は、早急にバッテリーを交換しましょう。
バッテリーの劣化が原因の場合は、ジャンピングやレスキューでエンジンを始動することができたとしても、一度エンジンを切ってしまうと再び始動ができないことが多いです。
【全てのバッテリー上がり=要バッテリー交換】ということではありませんが、安心安全なカーライフのためには、基本的にすぐに交換する必要があると覚えておきましょう。

バッテリーの寿命について整備士のまとめ

バッテリーの寿命は、普段の乗り方で大きく左右されます。
長持ちさせるコツは電気の使用量が発電量を大きく上回らないようにすることです。
チョイ乗りを避けたり、ドラレコなどの電装品の使用環境を見直したり、充電器の使用などさまざまな方法があります。
それでも、おおむね2〜5年に一度は交換の必要があることを覚えておきましょう。
また、長く交換していない場合やエンジンの掛かりが悪くなった気がするといった違和感を感じた時は、テスターで診断してもらいましょう。
バッテリー上がりトラブルに遭わないためにも、バッテリーの劣化が分かったときには、早めの交換をおすすめします。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。