シエンタは旧型中古車がお勧め?新型の納期長期化が続くコンパクトミニバン

シエンタ旧型と新型

新型シエンタは2022年8月にフルモデルチェンジを経て3代目として登場した。旧型を上回る性能だが、納期の長期化が続いている。価格や納期を踏まえると旧型である2代目シエンタも中古車として購入検討に入るだろう。今回は旧型シエンタの中古車がおすすめ出来る場合について解説する。

新型シエンタは発売直後から「2023年4月以降の生産」

新型シエンタ3代目

※上図:新型シエンタ(3代目)

3代目となる新型シエンタは、2022年8月にフルモデルチェンジしたモデルだ。

近年の販売台数ではトヨタ車が常勝を続ける中、シエンタの販売台数は2020年~2022年の3年連続でホンダ フリードに負けている。それだけに、今回のフルモデルチェンジは「負けられない戦い」といえる。

 

そんなシエンタの販売状況は、フルモデルチェンジ後である2022年9月以降、絶好調だ。9~12月の新車販売では、フリードに勝る販売台数を維持している。

 

しかし、すべてが好調という訳ではない。コロナ禍における半導体不足や部品不足によって満足に生産出来ず、大量のバックオーダーを抱えているのだ。2022年12月末の時点で、納期は「販売店に要問い合わせ」状態だ。

トヨタは、シエンタの発売開始時点でこうなることを予想済みだった。一部グレードやオプション選択次第では8ヵ月先から生産と告知していた。

 

これだけ納期の長期化が進むと、ユーザー側にとってはデメリットばかり。

現在乗っているクルマの車検が切れてしまうリスクや、長く乗るほど下取車のリセールバリューの下落が生じる。

旧型シエンタ2代目

※上図:旧型シエンタ(2代目)

そこで注目したいのが、すぐに登録できるメリットがある中古車だ。

あえて一世代前の2代目シエンタを選び、新車の納期長期化が収束するのを数年待つべきか。 それとも現在のクルマの車検を取りながら乗り続けて新車が来るのを待つべきか。

性能や価格等も含め、比較検討してみよう。

旧型シエンタと新型シエンタを比較

ボディサイズ、室内スペース比較

数値上での大きな差が無いが、より広く使いやすくなっている新型シエンタ。

旧型と新型シエンタのボディサイズは以下の通りだ。(双方ハイブリッド/FF/7人乗り)

シエンタ

全長×全幅×全高

ホイールベース

室内長×室内幅×室内高

旧型
(2代目)

4,260×1,695×1,675mm

2,750mm

2,535×1,470×1,280mm

新型
(3代目)

4,260×1,695×1,695mm

2,750mm

2,545×1,530×1,300mm

新型、旧型シエンタの後席シート

※上図:後席シート(左:旧型シエンタ 右:新型シエンタ)

両モデルのボディ・室内サイズの数値的な差はほとんどないレベルだ。新型シエンタは、前後のカップルディスタンスが先代比+80mmの1,000mmであり、2列目シートがより広くなっている。

また、新型シエンタではスライドドア開口部の高さが+60mmの1,200mmとなった。大人でも頭をあまり下げなくても乗車しやすくなっている。

狭い駐車場などでの取り回しの良さの指標となる最小回転半径は、旧型シエンタが5.2mに対し、新型は5.0mと小さく、クラストップレベルの数値を誇る。コンパクトミニバンらしく、狭い駐車場などでとても扱いやすいクルマに仕上がっている。

走行性能&燃費比較

よりパワフルで高い操縦安定性を誇る新型シエンタ

旧型と新型シエンタの出力と燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)

<1.5Lハイブリッド>

シエンタ

システム出力

燃費

旧型(2代目)

100ps

22.8km/L

新型(3代目)

116ps

28.2~28.8km/L

<1.5Lガソリン>

シエンタ

出力

燃費

旧型(2代目)

109ps&136Nm

17.0km/L

新型(3代目)

120ps&145Nm

18.3~18.4km/L

新型シエンタは、よりパワフルになり低燃費化されている。パワフルさだけで比較すると、それほど大きな差は感じない。

燃費は、新型シエンタハイブリッドが性能を伸ばしている。この差は大きい。1.5Lガソリン車は、それほど大きな差が無い。

走行性能は、最新のGA-Bプラットフォームを得たことで新型シエンタが圧倒した。新型は重心がグッと低くなっているので、背の高いクルマだが意外なほど車体は安定する。静粛性や乗り心地も、やはり新型が上回る。

安全装備比較

性能差は圧倒的

新型シエンタの予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、以下を検知し衝突回避・被害軽減が可能となった。

  • 昼夜の歩行者・自転車
  • 昼間の自動二輪車
  • 右左折時の歩行者
  • 右折時の対向車

設計の古い旧型シエンタでは、太刀打ちできないレベルの差が付いた。

旧型シエンタも一部グレードを除き歩行者検知式自動ブレーキが装備されているので、一定レベルはクリアしている。

価格比較

中古車価格は高値だが、新型より圧倒的安価の旧型シエンタ

<ハイブリッド車比較>

  • 旧型シエンタ(2代目) 中古車相場(2020年式) 約180~240万円
  • 新型シエンタ(3代目) 新車価格 約258~311万円

2020年式旧型シエンタハイブリッドの中古車価格は、新車価格の約81~93%だ。人気車とはいえ、新車の超長期納期が影響して高値傾向にある。それでも旧型なので、新車よりはかなり安価だ。新型シエンタハイブリッドと比較すると、約70~77%も安価になっている。

新車で新型シエンタハイブリッドか? 中古車で旧型シエンタハイブリッドか?

重要ポイント

  • 中古で旧型シエンタハイブリッドは、新型シエンタハイブリッドより約70~77%も安価
  • 新型シエンタハイブリッドは納期不明。半年以上という情報が多い。

旧型シエンタと新型シエンタを直接比較すれば、当然、新型が勝る。しかし上記2点を加味すると、旧型が優勢な点もある。つまり、クルマに何を求めるか次第でお勧めが変わるということだ。

ここからは、旧型シエンタの中古車をお勧めしたい場合のシチュエーションとその理由を解説する。

ボディサイズ、室内スペース評価

確かに広い新型だが・・・

お勧め:旧型・中古車シエンタ

新型シエンタの室内空間は、確かに広くなっている。しかし、旧型シエンタが、特に狭いとか使い勝手が悪いという印象もない。

新型の広さや使い勝手がどうしても必要!という人以外は、安価ですぐに乗れる旧型の中古車で十分だ。

走行性能&燃費評価

燃費、走りの質も価格で帳消し!?

お勧め:旧型・中古車シエンタ

旧型シエンタハイブリッドと新型シエンタハイブリッドの燃費差は、かなり大きい。しかしハイブリッドなら、ガソリン車に比べれば旧型でも圧倒的な低燃費性能を誇る。しかも車両価格は旧型シエンタハイブリッドの方がかなり安価だ。

この価格差を燃料差による燃料費で埋めるのは、ほぼ不可能だ。ガソリン車の燃費差は僅か。これなら旧型シエンタでも十分だ。

走行性能も新型シエンタが優れる。静粛性や乗り心地ではあまり進化がなかった。しかし、操縦安定性では大差が付く。カーブでの安定感や、キビキビとした気持ちよい走りを望むのなら、新型シエンタがお勧めだ。

だが、こうした走りの質のこだわらないのであれば、旧型シエンタでも十分だろう。

安全装備評価

もはや、旧型が勝る部分はひとつもない・・・

お勧め:新型シエンタ

予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、もはや雲泥の差と言える。とにかく安全性能を重視するのであれば、新型シエンタしかない。

旧型シエンタも歩行者検知式自動ブレーキが用意されているものの、マイナーチェンジ前は歩行者非対応だ。マイナーチェンジ後も、一部グレードはトヨタセーフティセンスがオプションだったので、中古車での購入時もしっかりとチェックしなくてはならない。

また、サイド&カーテンエアバッグも旧型シエンタはオプション。安全重視だと選びにくい。

価格、納期の優先順位が高いのなら、旧型で中古車シエンタがお勧め

価格は重要だ。

中古の旧型シエンタと、新車の新型シエンタとでは、おおよそ70~80万円もの開きがある。旧型シエンタ(2代目)も完成度は高く、室内の広さ・使い勝手・燃費・走行性能など、新型(3代目)とそれほど大きな差がある訳でもない。より安価であることを考えれば、十分納得できるレベルにあるのが中古車2代目シエンタだ。

 

加えて、新型シエンタの納期はほぼ不明な状態が続いており、6ヵ月以上になるという情報が多い。値引きもほぼゼロベースだ。

いつ納車されるか分からない新車シエンタをひたすら待つより、一旦、中古車で旧型シエンタを買って数年乗り、コロナ禍による半導体不足や部品不足が収束した頃に、大幅値引きで新型シエンタを買うという選択肢もありだろう。

特に、「新型シエンタを買うには予算が少し厳しい」「下取車の車検が切れてしまう」といった理由があるなら、中古車で旧型シエンタがさらにお勧めだ。

2020年式以降のシエンタをチェック>

シエンタのカタログ情報

トヨタ,シエンタ
現行モデル
令和4年8月(2022年8月)〜現在
新車時価格
195.0万円〜310.8万円

シエンタの在庫が現在323件あります

以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員