エアバッグ警告灯が点灯。消し方や点滅の原因について整備士が解説

エアバッグ警告灯が点灯。消し方や点滅の原因について整備士が解説

エアバッグの警告灯が点灯した状態を放置することはNGです。そのままだと車検にも通らないので、警告灯を消さなければいけません。
そもそもなぜ、エアバッグ警告灯は点灯・点滅するのか、消す方法はあるのか?現役の整備士が解説します。

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エアバッグ警告灯の点灯を放置はNG

エアバッグの警告灯が点灯している状態を放置してはいけない理由として、「車検に通らない(保安基準不適合の状態)」、「もしものときにエアバッグが作動しない」ことがあげられます。

エアバッグは万が一の事故から乗員を保護するための大切なシステムです。
警告灯が点灯している状態は、システムのどこかに不具合や異常があることを示します。
誤作動を防ぐために、警告灯が点灯しているときはエアバッグが作動しないようになっています。
いつ起こるか分からないエアバッグが必要となるシチュエーションで、エアバッグが作動しないのはとても危険です。
そのため、エアバッグのシステムが正常かどうかは車検のときに検査する項目にもなっていて、警告灯が点灯していると車検に通りません。

エアバッグ警告灯の消し方

エアバッグ警告灯が点灯しているときは、かならず現在進行形でエアバッグシステムに不具合が発生しています。不具合を修理しなければエアバッグ警告灯は消すことができません。

エアバッグ警告灯がついたり消えたりする場合

エアバッグの警告灯がついたり消えたりするときは、不具合箇所が悪くなったり良くなったりを繰り返しています。いずれにせよ、そのまま放置するのではなく、点灯したときと同様に、その原因となっている場所の特定と修理をおこなわなければいけません。

また、車種やメーカーによってはエアバッグ警告灯が点滅表示することがあります。
その場合、点灯の場合と点滅の場合とを分けて、特定の不具合を示している可能性があります。くわしくは、整備工場での診断が必要です。

エアバッグ警告灯が点灯する原因

エアバッグ警告灯が点灯しているとき、具体的にシステムのどのような不具合が考えられるかを解説します。
エアバッグ警告灯が点灯する原因は以下のような不良が考えられます。

  • エアバッグのコントロールユニット(コンピューター)の不良
  • シートベルトの不良
  • エアバッグインフレーターの不良(エアバッグを膨らませるためのガス発生器)
  • 衝撃などを検知するセンサーの不良
  • クロックスプリングの不良
  • 各配線やコネクタ部の接触不良や断線
  • バッテリーの電圧不足(発電不良やバッテリー上がり)
  • 事故でエアバッグが作動したのに修理していない

シートベルトもエアバッグと同じ乗員保護装置にあたるので、不具合が出ているとき、それを知らせるためにエアバッグ警告灯を点灯させます。

クロックスプリングとは?

一般的に聞き慣れない言葉として「クロックスプリング」と呼ばれる部品があります。
これはステアリング(ハンドル)についている部品です。
ステアリングを回したときに内部のエアバッグの配線ケーブルが、クロックスプリング内部でゼンマイ方式で伸びたり縮んだりすることで、インフレーターへの配線の導通を確保する役割があります。

エアバッグシステムが問題なくても警告灯が点く例

イレギュラーな例としては、バッテリー上がりやオルタネーター不良による充電不足でバッテリー電圧が低下したとき、エアバッグのコントロールユニット(コンピューター)に供給される電力が不安定になり、エアバッグ警告灯を点灯させることがあります。
この場合、そのほかの警告灯も同時に点灯している場合があります。

エアバッグが作動すると警告灯が点灯する

事故で作動・展開したエアバッグやインフレーターは再使用不可能です。
その場合にもエアバッグ警告灯が点灯して、部品の交換を促します。

エアバッグ警告灯の修理代の目安

エアバッグ警告灯の修理代は10万円を超える高額なケースもあります。これは考えられる原因にあたるエアバッグ関連の故障は、基本的にすべて部品の修理や修正での対応は不可で、交換することが大前提となっているからです。(一部除く)

エアバッグシステムは安全装置として重要かつ、人命に関わる部分なので非常に繊細なシステムを採用しています。よって、仮に修理したことによって警告灯が消えることがあっても、正常に作動しないリスクがあるためです。

各箇所の交換にかかる修理代の目安について以下で解説します。目安は一般的な国産車を基準としたものとします。

エアバッグコントロールユニットの交換

コントロールユニットはエアバッグシステムを制御するコンピューターです。部品代が高額になるパターンが多いです。
工賃も含めたトータルの修理代の目安は50,000円〜です。部品代だけでも10万円程度することもあります。

シートベルトの交換

いまの車のシートベルトは複雑な機構を持っているので、部品代が高額になります。
工賃も含めた修理代の目安は40,000円〜です。

エアバッグインフレーターの交換

エアバッグインフレーターの交換費用目安は15,000円〜です。
エアバッグを膨らませるガス発生器であるインフレーターは、エアバッグやシートベルトそれぞれに備え付けられています。
場所によって、交換が簡単なものから時間の掛かるものまでさまざまなので、交換費用もそれに伴って大きく変わってきます。

各センサーの交換

エアバッグが作動するとき、衝撃センサーが受けた衝撃を元にコンピューターが演算をおこない、エアバッグを作動させるかどうかを判定します。センサー類の修理費用目安は10,000円〜です。

クロックスプリングの交換

クロックスプリングの交換費用目安は15,000円〜です。車種によって大きく作業性が異なる箇所ではないので、部品の調達が困難といった理由がない限りは、費用が極端に前後することはないでしょう。

配線の交換

配線の交換費用目安は10,000円〜です。ただし、配線のパターンは千差万別です。
すこしの部分だけ(ショートハーネス)で交換できるものもあれば、車内の配線をまとめて引き直して交換しなければいけないようなパターンもあり得ます。
高額な場合には、10万円を超えるようなこともあります。

オルタネーターの交換・バッテリーの交換

エアバッグに悪いところがなく、電圧の低下で間接的に警告灯が点灯したパターンの場合には、オルタネーターの交換やバッテリーの交換が必要なことがあります。
オルタネーターの交換の場合は50,000円〜、バッテリーの交換は【10,000円〜】程度が修理費用の目安になります。

整備士のまとめ

エアバッグ警告灯が点灯したときの修理費用は、高額となるケースが多いです。
警告灯が点灯したままだと車検に通らないので、走行に支障がないからと修理しないで放置することはできません。
年式の古い車や走行距離の多い車の場合には、車の買い替えを検討するキッカケにしても良いかもしれません。
また、事故などでエアバッグが作動した後は展開・作動したエアバッグシステムはすべて部品の交換が必要になります。この場合、高額な修理となるので、保険で修理できないときにはこれをきっかけに乗り換えを検討されるケースも多いです。

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Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。